NACK5でAge Free Musicをやっているのが著者の富澤一誠、1951年の生まれだというから私より少し年上のほぼほぼ同年代の音楽評論家。今になって同窓会のメンバーと二次会のカラオケで何を歌うかと言われれば、出てくるのが80年代から90年代前半の歌謡曲、J-POPといわれるジャンル。そこで歌いたい曲は同窓会メンバーと学生時代に歌っていたフォークソングではなくて、その後就職してから若い時代に流行したバブル時代の曲である。本書からちょっと一部を羅列してみると次の通りで、だいたい歌えそうな曲ばかり。
81年ではルビーの指輪、サンセットメモリー、I Love You、夢の途中、シルエット・ロマンス。82年はチャコの海岸物語、匂艶Theナイトクラブ、リバーサイドホテル、待つわ、悲しい色やね。83年はキャッツアイ、ギザギザハートの子守唄、ワインレッドの心、クリスマスイブ。84年は涙のリクエスト、星空のディスタンス、君たちキウイパパイヤマンゴだね、桃色吐息、六本木心中、恋の予感。85年はRomanticが止まらない、二人の夏物語、翼の折れたエンジェル、恋に落ちて。86年はMyRevolution、ガラス越しに消えた夏、BAN BAN BAN、夏の終りのハーモニー。87年はろくなもんじゃねえ、ロンリー・チャップリン、Just a Man In Love、88年は乾杯、みんなのうた、とんぼ、89年Diamonds、17歳、シングル・アゲイン。90年踊るポンポコリン、恋しくて、会いたい、真夏の果実、愛は勝つ、サイレント・イブ。91年、ラブ・ストーリーは突然に、はじまりはいつも雨、どんなときも、Say Yes、Piece of My Wish。92年涙のキッス、世界中の誰よりきっと、93年ロード、渡良瀬橋、負けないで、揺れる想い、エロティカセブン、94年空も飛べるはず、夏を抱きしめて、Tommorrow Never Knows、95年ロビンソン、Hello Againー昔からある場所。
「ルビーの指輪」なんか、その年の暮にどのスナック、居酒屋に行ってもかかっていたし、「待つわ」はポプコンでグランプリを獲得したと思ったらあれよあれよという間にベストテン入りした、二人の声色がマッチしていて何度聞いても聞き飽きなかった。中原めいこの「パパイヤマンゴー」はディスコに妙に合っていた。「桃色吐息」は初めの頃は高橋真梨子が恥ずかしそうに歌っていたのが途中から自信満々に変わっていった。「六本木心中」は赤坂で飲んで二次会で六本木に行って歌う定番だった。六本木で遅くなるとタクシーがつかまらないのでもう一軒行く、そうすると「ろくなもんじゃねえ」となる。
本書がいいのは、同窓会メンバーと二次会にいった時の話題。岡村孝子はあの時まだ椙山女学園大学に行っていたんだ、とか、「YaYaあの時代を忘れない」のジャケットは先生と生徒だった、とかで盛り上がれる。最近はすぐにスマホで調べるやつがいるので、最初に「スマホで調べるのは禁止」と宣言しておかないとせっかくの盛り上がりが、すぐに正解がわかってしまいつまらないことこの上ないのが注意事項である。同窓会二次会のための予想問題集と考えると「一度目を通しておくか」となる。