横浜の弁護士(元社会保険労務士)寺岡幸吉のブログ

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ダンダリン 第6回

2013年11月12日 | 労働法
 ダンダリン第6回、やっと録画で見ました。外国人研修生の問題でしたね。

 外国人研修生については、数年前に、労働審判をやったことがありました。会社から集団で暴行を受けたという事案でした。会社は、もちろん、暴行の事実はないという主張でした。

 一般的に言って、事実関係を争う事案には、労働審判は向きません。事実関係を争うのであれば、訴訟で本人尋問・証人尋問をやるべきです。ただ、訴訟では時間がかかります。この事案では、在留資格との関係もあって、訴訟をやる時間的余裕がなかったので、労働審判にしました。

 ちなみに、この当時は「研修」という在留資格だと、労働基準法や最低賃金法が適用されないという時代でした。ただ、私の依頼者は日本にやってきて2年目に入っていたので、「特定活動(技能実習)」という在留資格に変わっていて、労働基準法等が適用される立場でした。ちなみに、現在は法律が改正されて、1年目の在留資格は、「技能実習1号ロ」という名称になり、1年目から労基法や最賃法などが適用されるようになりました。

 この事案では、賃金は、確か最賃法ぎりぎりだったと思います。ひどかったのは、給料の振込先である銀行口座通帳を、会社が管理していたことです。この点について会社の代理人弁護士は、「親心」だと書いてきました。20歳をとうに越えた、立派な大人に対して、「親心」で通帳を預かっていたんだと主張してきたわけです。私は、差別意識の現れだと反論しました。もちろん、当時でも、法律的に許されないことでした。

 この事件の依頼者は、日本語がほとんど理解できませんでした。ダンダリンに出てきた外国人研修生は、英語や日本語を話していましたが、このような人は多くありません。普段、同じ国の仲間とだけ過ごしているので、その中に何人か日本語を話せる人がいれば、日常生活はさほど問題無くできてしまうということが理由のようでした。
 しかし、日本人労働者ともコミュニケーションをとるべきではないのか、何より、1人で行動しなければいけなくなった時、特に私の依頼者のように、自分の権利を主張しなければいけない場面では、日本語が話せないと非常に困るのだ、ということに、もっと早く気づいていて欲しかった。

 というわけで、言葉の問題では苦労しましたが、労働審判の結果は、こちらの要求をかなり入れた形での和解となりました。

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