横浜の弁護士(元社会保険労務士)寺岡幸吉のブログ

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ダンダリン第4回

2013年11月04日 | 労働法
 ダンダリンについての話題がちょっと途切れていました。

 実は、最近ちょっと忙しく、第4回と第5回についてはちらっとしか見ていないので、コメントはやめようかとも思ったのですが、少しだけ書きます。的外れな内容になっていたらごめんなさい。

 第4回は、採用内定者の問題でしたね、採用内定者と会社との法的関係については、労働関係は既に成立していると考えられるのが一般です。ただ、入社日まではまだ働かなくていいことから、始まる時期が決まっていること、それから、入社してもらって実際に働いてもらうまでは、適性など分からない部分があるため、既に働いている人に比べると、若干広い範囲での解約が認められるということから、「始期付き解約権留保付き」の労働契約が成立していると考えられています。

 このように、内定でも労働契約は既に成立していますので、内定を取り消すということは、解雇にあたります。従って、内定取り消しが有効かどうかは、解雇権濫用について定めた労働契約法16条の「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」という規定が適用されます。
 ところで、労働基準監督官は、ある解雇がこの条文に該当して無効であるかどうかを判断することはできません。「客観的に合理的な理由を欠く」かどうかや、「社会通念上相当」かどうかを判断するには、具体的な事案を詳しく把握し、当事者の主張なども十分に聞いた上で、高度に法的な判断をする必要がありますが、行政官である労働基準監督官には、このようなことはできません。解雇が有効か無効かを争えるのは、訴訟だけです。

 ダンダリンでは、内定者が研修に嫌気がさして自分から辞めると言っていますが、これが内定取り消しにあたるかどうかは、非常に微妙な問題です。少なくとも、労働基準監督官が判断できるような事項ではありません。

 また、内定取り消しの場合に、解雇予告手当(労働基準法20条)を支払う義務があるかどうかも問題になりますが、試用期間中の人で、働き始めてからまだ14日を越えていない人については解雇予告手当を支払う義務がないこと(労基法21条)とのバランスから、内定段階にとどまる人については解雇予告手当を支払う義務はないと考えるのが一般です。

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