横浜の弁護士(元社会保険労務士)寺岡幸吉のブログ

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一人目の夫の氏への変更

2015年03月29日 | 裁判

 すごくお久しぶりです。

 この間、ネットで何もしていなかったわけではなく、時間があると、弁護士ドットコムの法律相談に、回答を書いていました。

 一時は、かなり時間を割いて書いていた時もあったのですが、最近は、私の時間があるときに、主に労働法の分野で、他の弁護士が回答していないものを選んで回答しています。

 こちらの回答にきちんと反応して、お礼などを書いてくれる人も多いですが、何も反応が返ってこないことも結構あります。それでも、質問者以外の人の参考になることもあるかと思って、他の弁護士より丁寧に回答することを心がけています。

 寺岡がどんな回答を書いているのか見てやろうという方は、こちらのページの真ん中あたりをご覧ください。


 話は変わります。最近、ダメだと思っていた氏の変更許可申立が認められました。

 この依頼者(70歳台の女性)は、離婚を二回して、現在は独身です。

 1回目の結婚で夫の氏になって、離婚の時に元の姓に戻しました。その後、2回目の結婚をして夫の氏になり、10年ほど前に離婚したのですが、その時は元の氏には戻さず、夫の氏を使い続けました。その理由は、夫から、自分の生きている間は自分の氏を使い続けて欲しいと頼まれたからだそうです。この夫の気持ちは、理解できるような理解できないような・・・。

 ちなみに、最初の夫との間には子どもが3人いて、いずれも最初の夫と同じ氏です。その3人とは、今も行き来があります。二人目の夫との間には子どもはいません。

 そして、数年前に二人目の夫が他界し、依頼者は、氏を変更したいと考え始めました。主な理由は、最初の夫の墓に入って、子ども達に墓守をしてもらいたいということ。

 さて、ここで法律の説明を少し。離婚すると、結婚によって氏を変えた者の氏は婚姻前の氏に戻りますが(民法767条1項)、離婚後三ヶ月以内に役所に届出れば、婚姻時の氏になります(同条2項、戸籍法77条の2)。

 これとは別に、戸籍法105条1項は、裁判所の許可を得ることによって氏の変更ができることを定めています。

 今回の場合は、離婚から3か月以上経過しているだけでなく、2回目の婚姻の前の氏は、1回目の婚姻の夫の氏ではなく、生来の氏でしたから、民法767条2項・戸籍法77条の2ではなく、戸籍法105条1項による氏の変更ということになります。

 審判例を調べてみると、離婚して夫の氏を使い続けた人が、生来の氏に戻ることを望んだ場合には、離婚からかなりの年数を経過していても、氏の変更が認められた例がいくつも見つかりました。しかし、今回のように、2回の婚姻・離婚の後、二人目の夫の氏から一人目の夫の氏に変更するという例は見つけることができませんでした。また、生来の氏への変更を認めた審判例は、ほとんど全て、生来の氏への変更であることを主な理由としていましたので、本件では、認められる可能性は低いと予想されました。

 そのため、依頼者にはその旨を話して理解してもらうとともに、考えつく限りの理由を記載して、申立書を家裁に提出したところ、3週間くらい後に、氏の変更を認める旨の審判書が届きました。

 ということで、依頼者は喜んでくれて、私もホッとしたのですが、このような裁判所の判断が一般的なのかどうか、いまだに分かりません。情報をお持ちの方がいらっしゃったら、このブログのコメント欄等を利用して教えていただけるとありがたいです。
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 気長にお待ちしますので、よろしくお願いします。


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