横浜の弁護士(元社会保険労務士)寺岡幸吉のブログ

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残業代請求と労働時間把握義務

2014年04月13日 | 労働法

 このところ、ある労働審判事件で時間をとられていました。労働審判は、期日は原則として3回までしか行われず、また、その3回の中でも1回目が特に重要なため、1回目の期日の前に行わなければならない準備が大変です。

 特に今回は、こちらが審判を申し立てられた側(使用者側)であったため、審判の申立があったことを知った時から第1回期日までの日数が短かったのです。

 おまけに、申立人の基本的な請求は未払いの残業代だったのですが、使用者が労働時間をほとんど把握していなかったために、本来は労働時間の把握のためではない資料を元に、過去2年分の労働時間を推測する必要がありました。そのため、事務所の女性職員と一緒に、資料を1枚1枚確認してエクセルで集計するのに時間がかかってしまいました。

 でも、頑張った甲斐があって、500万円超の請求に対して、その6分の1以下の金額で和解することができました。

 ちなみに、既に何回か書いていますが、私が労働事件を引き受ける場合は、基本的に労働者側ですが、使用者より労働者の方が悪質だと思われる場合などでは使用者側の依頼を受けることもあります。

 この、私のスタンスについては、以下のページに詳しく書いてありますので、そちらをご覧下さい。

労働者の味方? 使用者の味方?(1)

労働者の味方? 使用者の味方?(2)


 ちなみに、労働時間の把握義務は、使用者にあります。

 労働時間によって時間外割増賃金の額が変わる、通常の労働時間制などが適用される労働者の場合は、支払うべき賃金額を算出するために労働時間を把握する必要がありますし、労働時間によって時間外割増賃金の額が変わるわけではない、みなし労働時間制(裁量労働制など)が適用される労働者の場合であっても、その健康管理などのために労働時間の把握が必要です。

 この、労働時間の把握については、過去に、経営者向けの雑誌で8千字程度の文章を書いたことがありますので、それに手を入れて後日掲載したいと考えています。また、上でちょっと書いた、労働時間制についても、近日中に説明する予定です。

 今日のところは厚生労働省のパンフレットを紹介しておきます。経営者の方は、是非読んでおいてください。

 なお、私の著作などについては、弁護士ドットコムの私のページをご覧下さい。

 



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