病棟転換型居住系施設について考える会

世界に誇る日本の精神病院の病床数と長期入院者の問題とは…。削減した病床を病院敷地内の居住系施設に転換する問題とは…。

全国「精神病」者集団 声明

2014-03-24 19:23:44 | 声明文
「病棟転換型居住系施設」構想への反対声明

2014年3月24日
全国「精神病」者集団

 私たち全国「精神病」者集団は、精神障害者個人及び団体の全国組織として、今年で結成40周年を迎える。
 2013年6月、精神保健福祉法が改正され、国は「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針」を定めることになり、2013年7月に「精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針等に関する検討会」を設置した。
 第6回検討会の席上で構成員から精神科病院の病棟をグループホーム、アパート、介護精神型老人保健施設等に転用できる病棟転換型居住系施設の導入が提案された。
 当該検討会で最終的にまとめられた「良質かつ適切な精神障害者に対する医療の提供を確保するための指針案」では、「病床を転換することの可否を含む具体的な方策の在り方について」2014年に新たに立ち上げる検討会で引き続き議論していくこととされた。
 病棟転換型居住系施設の狙いは、表向きは入院医療の必要性がないのに長期入院している社会的入院患者の退院を促進するための段階論に位置づくものとされているが、要は精神科病院の経営に配慮しながらの健康保険費の抑制である。そこに患者の視点があるとは、到底言えない。
 また、地域移行に向けた段階論として提案されたのならば、最終的な目標となる完全地域移行状態までのロードマップとその中で病棟転換型居住系施設がいかなる位置付けであるかが示されていなければならず、段階論の体をなしてさえいない。
 すると、単に新規に施設を提案するものに過ぎず、結果的に地域移行は見込めないといわなければならない。
 そして、新規施設の設置は、施設を維持するための供給体制を必要とし、再び施設化社会へと逆行していくことになる。
 障害者権利条約19条は、障害者が、他の者との平等を基礎として、居住地及びどこで誰と生活するかを選択する機会を有すること、並びに特定の生活様式で生活するよう義務づけられないこと旨を規定している。ここでいう特定の生活様式とは、障害者運動の動向から考えて当然ながら施設が含まれる。
 障害者がどこで誰と生活するかを選択する機会を有することは、人権の問題である。病棟転換型居住系施設構想は、精神科病院によって制限されてきた精神障害者の地域生活の権利を、再び新規施設によって制限しようとするものである、障害者の権利を抑圧する結果を招く。
そのため、私たち精神障害者は病棟転換型居住系施設に断固として反対の意志を表明する。

追記
 全国「精神病」者集団は昨年5月の拷問等禁止条約委員会に日本の精神医療の問題を訴え全面的批判の勧告を引き出しましたが、7月の自由権規約の政府報告書審査に向けてもこの病棟転換居住系施設の問題を訴えます。
 すでに日本の精神医療が入院に偏っていることについては自由権規約委員会から日本政府は質問を受けています。

最新の画像もっと見る