丁未堂画室二の丸 TeibidoStudioBranch

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南郷『義成永画荘』年画芸術文献展

2013-04-08 13:35:47 | 旅行


 かつて天津楊柳青の南にあった三十六の村には、たくさんの版画工房があり、神様の絵や吉祥画を作って売っていました。
 文革で、一旦全店が閉鎖せざるを得ませんでしたが
 90年代になって、ぼちぼち復活する工房も出て来ました。
 その中でも、若き第8代目楊鵬くんが、継承者として文献整理や家業完全復活に向けて奮闘している『義成永画荘』と
 美術史研究者・姜彦文さんが企画して
 このたび天津美術学院美術館で、文献展を開催しました。








 文革の破壊行動を免れた貴重な版木と、それを92歳のおじいちゃん(第6代目)が新たに印刷した線刻版とが並べて展示してあるという
 版画マニアにはたまらない展示方法となっております。









 天津楊柳青の木版画は、おおまかな色版のあと、手彩色で色を加えていくのが特徴です。
 こんな美人画も…









 時代毎に色の付け方が随分違うことを表した、画期的な展示方法です。








 同じカマドの神様でも、色の付け方で大分違います。ワタシは下の彼がいいわー










 こちらは有名な『連年有余』 版木の一部は紛失したままです。
 余と魚がどちらもyu発音なことに掛けて、毎年何かと余るほど、満ち足りた生活である事を願った吉祥画なのですが…








 すごくないっすか?!この魚の目のところの彫り。ピアスまでしちゃって!コーフンコーフン









 こちらは民国になってからの吉祥画。
 清時代のコドモと違って髪は弁髪じゃないし、お洋服を着ています。








 しかし、ヘアスタイルには彫り直した跡が…!








 分家した時に、兄弟で版木を分けた記録も展示されています。
 版木が、いかに大切な財産だったかを示す貴重な資料です。
 「こんな貴重な書き付け、どこに仕舞ってあったの?枕箱の中かなんか?!」と鼻息も荒く聞いたところ
 「フツーにおじいちゃんの戸棚に並んどった」とのことです。



 





 このように、展示方法にも色々と新しい試みをした画期的な展覧会でした。
 今から、深セン→上海と巡回して、また天津に戻って来るそうです。
 巡回するたび改良していくよ、とのことなので、再び天津に戻って来る時には更にバージョンアップした内容となっているでしょう。

 場所は天津美術館で、時期は今秋くらいかな?とのことなので、
 その「アゲイン展」の具体的日程が決まりましたら、またお知らせしますね!




 おまけ。美術館近所を散歩していたアラスカンマラミュートと思われる犬。
 とってもでっかく、ふわふわで、なれなれしかったです。









 同じく、美術館近所の八百屋さんで食べ放題のニワトリ。








 大股開きのカチガラス。







 次回は、去年リニュアルオープンしたばかりのドデカ天津博物館についでご紹介します。






 

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5 コメント

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猛烈に感動 (wanko@ヘイズ襲来中)
2013-04-09 11:18:50
素人ですが、いいですねえこれ。
しかもプロの画伯の解説付きで、天津に行ってないのに見たような気になるお得なブログ!
村の皆さんの版木隠しのご苦労もしのばれます。昔見たタリバン政権下、博物館員さんたちが水彩絵の具を油絵の人や動物の上に塗り重ね、風景画にしたとか、映画などのフィルムを隠し部屋にしまったとかいうのと重なりました。

関係ないんですが、童子達の絵柄が、週末のスワトウ土産で鑑賞した「西遊」の降魔書の表紙に激似です。
その名も「児歌三百首」。
エンディングがGメン75のテーマで終わるという凄い映画でした。
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好好! (ふうめい)
2013-04-10 09:34:32
いい展覧会ですね、こういうの見ると
民間レベルでの文化の蓄積の重さを感じます。
そしてまた、勿体無いことをやってしまった時代のことは残念ですが
今から間に合ううちに回帰の意気があがるといいですねぇ。。

悪魔の板・にゃんパッドに入れたアプリ「カラーガイド」に中国伝統色というのがあり、
「木槿紫」なる色の説明に「天津楊柳青の年画及び北京西郊外の法海寺の壁画にこの色が見られる」って。
このアプリ、欲しくないですかーー、画伯!!
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Unknown (丁未堂)
2013-04-12 10:03:43
>わんこさま
 たりばん政権下も大変そう~~しかし油絵の上に水彩絵の具とは頭イイ!「スワトウ土産」「西遊」「児歌三百種」「Gメン」と来て、えっっ?!最初の方なんだっけ??さすがは「西遊」ですね。
 お土産と言えば、昨日もらったシンガポール土産は『ティマサラ』『ビリヤニマサラ』…ムスタファセンター行ったね?て聞いたら「何で分かったの?!」だって。

>ふうめいさま
 色見本情報ありがとうございます!インク屋さんは何でそんなこと知ってるんだろう?と思って調べてたら、年画社から出てる画集にその色をテーマにしたものがあるみたいですね。プロは勉強熱心やね!
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さかな! (satsuki)
2013-04-12 22:04:11
素敵な版画展ですね、行きたかったなぁ~。
もうあのお魚の目玉とピアスがたまりません。
更にあのお子の表情もすごく良いですね。
年画は結局買わずに帰国しましたが、一枚
買ってくれば良かったなぁと今更ながらに
思っています。
あ、丁未堂さんの作品は通年飾らせていただいて
いるので年画扱いじゃないのです…。
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satsukiさま (丁未堂)
2013-04-14 02:09:04
ご無沙汰しています。お元気ですか?
『パンダ連年有余』かわいがってくださり、ありがとうございます。
 あ、そういえば5月31日ー6月23日まで、東京の飯田橋というところにある日中友好会館美術館で早稲田コレクションの古い年画展がありますよ。『義成永』の古い版画も10点ほど出ますので、お時間あったら是非お出かけ下さい!
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