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線香読みのすすめ - リンカーンの演説

2005年08月11日 | 英語生活ノおト
以前発音のカタカナ表記のこころみでご紹介しました、「英語は独学に限る」という、ファナックヨーロッパ社長、アジア社長などなどを歴任した英語の達人、遠藤尚雄氏の本(主婦の友社)で、遠藤氏は「5文型」とそれにくっつく「修飾語」を見極めれば、英文の謎解きは簡単、とおっしゃっています。これ管理人の提唱する何がなんでもまず主語と動詞(とTHAT)に通ずるものがありますね。

遠藤氏はかの有名なリンカン大統領のゲティスバーグ・アドレスを例に挙げて説明しています。同じ例を使用させていただいて、ちょっと管理人風に説明。使う原則は



何がなんでもまず主語と動詞(とTHAT)
自動詞:取るのは第1文型(S + V)と第2文型(S + V + C)のみ
他動詞:その他の文型


(1) Four score and seven years ago our fathers brought forth
on this continent, a new nation, conceived in Liberty, and
dedicated to the proposition that all men are created equal.


読み方ですが、線香読みを基本とします。「線香読み」は名著「英語に強くなる本」で岩田一男氏が提唱した、線香の明かりで一字、一字読むように、頭から順に読んでいく。関係代名詞があるからといって逆読みしない。日本人にしたって、英米人にしたって、思考の流れるように文章をつづるのだから、頭から読むのが一番いい。

さて、だいたい主語(あるいは主部)は文頭、もしくは文頭に近いところにあるものですが、agoとあることから、Four score and seven years agoは副詞句、よって主語より除外、つづくour fathersがなんとなく臭い。そのすぐあとに動詞(あるいは述部)が来るなら、まず間違いなし。Broughtは動詞bringの過去形で、他動詞、bringh forthは熟語で「生む」という意味だから、主語はour fathers、動詞はbrought forthで決まり、更にbrought
forth
は目的語が必要。直後のon this continentは副詞句なので除外、次に出てくるのがa new nation、目的語はこれで決まりですね。つまリ、この文章の主文はour
fathers brought forth a new nation
。あとはすべて修飾語です。あ、ちゃんと
thatも使っていますね。

以上まとめると、

Four score and seven years ago(87年前) our fathers(我々の祖先は)
brought forth(生み出しました) on this continent(この大陸に), a new
nation
(新しい国を), conceived in Liberty(自由を基本とし), and dedicated to the proposition(との考えに徹した) that all men are created equal(すべての人々は平等につくられた).

若干日本語らしく、体裁を整えて、

87年前(Four score and seven years ago)、我々の祖先は(our fathers)、この大陸に(on this continent)、自由を基本とし(conceived in Liberty)、すべての人々は平等につくられた(that all men are created equal)との考えに徹した
dedicated to the proposition)、新しい国を(a new nation)生み出しました
brought forth)。

(2) Government of the people, by the people, for the people,
shall not perish from the earth.


いきなり先頭の Government、主語はこれで決まりですね。続く、 of the people, by the people, for the peopleはそれぞれ形容詞句ですので、動詞とはならないので、除外すると、次の shall not perishが動詞。 Perishは自動詞なので、ここで主文は終わり。つまり、この文章の主文は Government shall not perish

以上まとめると、

Government(政府は) of the people(人民の), by the people(人民による), for the people(人民のための), shall not perish(消滅させてはならない) from the earth(地上から).

若干体裁を整えて、

人民の(of the people)、人民による(by the people)、人民のための(for the
people
)政府は(Government)、地上から(from the earth)消滅させてはならない
shall not perish)。

一見非常に複雑に見えるこれらの文章も、枝葉をまず除外して考えれば、根幹が見えてくるものです。

ついでに句(phrase)と節(clause)について説明しておきましょう。句は文章の形をしていないひとまとまり、節は文章の形をしたひとまとまりです。最初の文章のthat以下、all men
are created equal
は形容詞節といいます、文法用語はともかく、この文章は主文の中に別の文章を含む2層構造ですね。ただ、話し言葉はたいてい1層です、ご心配なく。