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FREENOTE 「キライチューン」

2005年08月30日 | よしなしごと
キライチューン

記念すべきメジャー1stシングルの「キライチューン」、かなりおふざけの強いアニメ、「ボボボーボボボーボボ(ボの数、合っているかな?)」とのタイアップ、しかも疾走感溢れるギターイントロ、キャッチーなメロディーと、明るい曲としてのの条件が整っているし、ざっと聞き流したくらいなら、ちょっとおセンチな、ポップな曲という感じです。ところが、聴き込んでみると、かなり印象が違ってきます。

 サクラ 咲く頃想うよ
 戻ることのない柔らかな夜明け
 いつか傷つけたみたいに
 傷つけば楽になれると想ってた

 サクラ 咲く頃想うよ
 二度と戻れない柔らかな夜明け
 午前6時の学校で
 震えてぎこちなく繋いだ手と手



いずれもAメロ部分。「傷つけば楽になれると想ってた」というかなり暗めの表現、「震えてぎこちなく繋いだ手と手」という、いじらしい表現で、恋人同士の微妙に揺れ動く気持ちを表現。チカコさん、とあるインタビューで次のように語っています。「ただの日常だけでなく、何かそこから突き抜けたいっていう思いを込めていつも歌詞を書いています。けっこうツライことを歌詞にすることが多いんですね。「キライチューン」もそうだし。キライチューン」は迷っている自分から一歩踏み出すっていうコンセプトがあって、そこから歌詞を作っていったんですけど。」そう、確かに「傷つけば楽になれると想ってた」と、「震えてぎこちなく繋いだ手と手」との間には、「一歩踏み出した」感情の変化が見れます。


 耳に染みた昨日の声がループして
 ゆらり 思い出に何度も
 濡れちゃいそうだ

 服に染みた昨日の匂いがループして
 くらり 思い出を何度も
 追いかけるような

いずれもBメロ部分。「ループして」という表現がすばらしいですね。

 キライばっかり持っていた
 何をまた描いてた?
 ぐるぐる想って何度目の
 弱さ わかって
 もがいてまた泣いたって
 まだ 限界なんかじゃないよ
 見えない向こうへ

Cメロはだいたい上の繰り返し。この曲以降、だんだん明確になっていくFREENOTEの曲の主題、「でも明日があるんだ、がんばって生き抜こう、もがきながらでもいい、格好わるくってもいいからね」が見えてきていますね。ポップなチューンに包まれた、青春の葛藤の歌でした。

キライチューン FREENOTE|(C)2004 TOY'S FACTORY


ボクラリズム

 まだ耳に残る 君と僕とのハートビートを 爆音で
 動き始めた 揺らぎ続けるリズム(いつか止まっても 消えはしないリズム)

 僕ら
 断ち切って また繋いで(また繋いだ)
 いくつも 眠れない夜を
 転んで ちょっと泣いたって(弱くって 思い出したって)
 僕らリズムはフリー(強くなんなくていい)

「「ボクラリズム」はリズムが気持ちいいから、語呂のよさとかを最大限に生かしてっていう言葉遊び的なものです。」とチカコさん自身が言っているように、リズムに合わせ、一つ一つの言葉が心地よく耳に入ってきます。

ボクラリズム FREENOTE|(C)2004 TOY\'S FACTORY


スロウ

「キライチューン」や「ボクラリズム」の陰に隠れて目立たない存在ですが、パワーでぐんぐん押すだけがFREENOTEのメロディーではないことを証明するような曲。アコギの音が心地よい。

 夜中の2時半から
 君とやりとり してる メール
 君がどんな顔してても
 離れてちゃ 見えてこないよ

 親指だけで 消せちゃうような
 曖昧な言葉が 重なる

「私はは歌詞を描くことで誰かとリンクしたいんだと思うんです。」誰でも経験があるような、何気ない1コマに潜む感情のヒダを切り出し、言葉にする、それがセンスというものでしょうね。

 今は
 光を指して
 強く強く 映し出して
 雲を切り裂いて
 その向こうを見せて
 遠い空

あえて感情を押し殺すことにより、かえってスゴ味を感じさせる中村由利(ガーネットクロウ)さんとはまったく異なり、思い切り感情を込めて、切なく、切なく歌い上げるのがチカコさんですね。