きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

箸の上げ下げ

2020年08月08日 | CORONA
お盆休みに入りましたが、ウィルス感染拡大を終息させたいので、自宅ですごしています。

帰省や旅行に関して、国や自治体のリーダーによって言うことが違うので、
ハッキリしてもらいたいなどといった声が巷では多いとの報道がされています。
ホントに?
そもそも、国や自治体のトップにいるような政治家たちに、公にハッキリ物言うことを求めてもむだです。

担当大臣が「箸の上げ下げまで言うつもりはありませんが」と言っているのを聞いて、思わず笑ってしまいましたが・・・


パンデミックも半年以上続いています。

世界じゅうの人々が待ち望んでいるワクチンも、ドロドロした利権問題が見えて、いやな世の中ですね。
これだけ長引くと、感染症問題が医学、医療の枠を越えて、政治、経済問題など、さまざまな要因が絡み合い、問題が複雑化、慢性化してしまうんですね。

このままの慢性的状態が続いて、八方塞がりのまま、突如急性転化して、大変なことにならなければよいけどなあという不安な気持ちは、医療者であれば、いま共通して抱いている感情ではないでしょうか。



がんや感染症、その他多くの疾患に治療ガイドラインというものが存在しているのをご存じですか?

信頼性の高い研究結果を元に、専門学会の名のもと、ベテランたちが集まって、内容を決めて作成、発行し、広く発信しています。
医学は日進月歩。
ですから、ガイドラインそのものも常に見直しと改善が行われ、常にリニューアルされています。

病気の治療においては、どの医療機関においても、このガイドラインに書かれている「エビデンスに基づいた標準的かつ最新の治療」が誰でも平等に受けられることが理想です。

けれども、レシピどおりに作れば、だれでも、いつでも、必ず最高に美味しい料理ができあがるとはかぎりません。

病気の治療も同じです。
医者も職人です。
経験とセンスが要求されます。
たとえガイドラインを熟知しているとしても、AI(みたいな医者)にはみてもらいたくないですね。


さて、お盆休み直前、政府の有識者会議が、「新型コロナ感染症の流行状況の主な指標」というのを公表しました。
流行状況を6つの指標(病床利用率、療養者数、PCR陽性率、新規陽性者数、直近1週間と前週の陽性者数の比較、感染経路不明者割合)によって判断、分類するというものです。

これをうけて、「具体的に数字が示されて安心」「行動判断に役立つ」といったことをテレビでコメントしている人がいました。

勘違いしないでください。

国民が旅行してよいか、帰省してよいかなどといったことを決めるために作られたわけではありません。

(数字を求められがちなのは、男性中心にものごとが進められていっているからでもあるのですけどね・・・)


では、箸の上げ下げまで言ってもらわないと困るという人は、いったいどうしたらよいのかって?

身近に信頼できる賢人がいませんか?
その人の行動を見習ってください。








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