きんえんSwitter

医者の心の目で日々を綴ります

痛くない注射

2022年11月30日 | CORONA
私はどちらかといえば手先が器用なほうなので、もしも内科医でなく、外科医になっていたら、ひょっとしたら神の手と呼ばれるような名医になっていたかもしれません。
というのは冗談です。
手先の器用さだけで手術の上手下手が決まるわけではないですから・・・

でも、内科医でも、採血や注射など、日常多くの場面で手先の器用さは求められます。
スキルは、ある程度トレーニングすれば会得できますが、もって生まれたものというのは大きい気がします。
その点では親に感謝です。

100年に一度のパンデミックの時代に偶然、医師として生きているいま、縁あって、小児科医や家庭医でもない私が、ある自治体で小児のワクチン接種に携わっています。
どうも最近、町では「注射が痛くないセンセイ」として知られるようになったようです(笑)

その原因を冷静に考えてみますと、私自身、子供好きな性格であること、禁煙治療のカウンセリング技術や喫煙防止教室で培った話術を接種の際に駆使していること、そして手先の器用さなどが相互作用して、注射の痛みを最小限にしているのかもしれないなあと思いました。

先日、5歳の女の子が、歌いながら診察室に入ってきました。
彼女なりに気を紛らわせて、恐怖感と戦っているのでした。

なので、私も彼女の名前を歌詞にして即興の歌をうたって、注射の準備をしました。

自分の名前を歌ってもらって、終始ご機嫌な様子の彼女でしたが、いざ「打つよ」という段階になったら、「痛いの、いやあ」とぐずりかけましたので、即効で注射。
バレーボールでいえば、多くの先生方がやっているのが後衛からのバックアタックとすれば、私のはクイックアタックです。

前の日から痛い注射を想像して、怖くて、それでも朝から歌をうたって自分を奮い立たせ、ワクチン会場に来た勇敢な彼女。

なのに、予想を大きく外れて、打たれたこともわからないうちに終わってしまった・・・
彼女は大きく目を見開いて、文字通り、「唖然」としていましたが、そのあと突然、「もんしろちょう、つかまえたことある?」ときいてきました。

脈絡の無い突然の質問に、今度はこちらがビックリです。

おそらく、予想外の展開に大いに驚いて、ちょっと冷静になってみたら、いやだよーと騒いだ自分自身のこともちょっと恥ずかしく思って、彼女なりにその場をうまく取り繕うとした結果なのかもしれません。

人間て面白いですねえ。



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