私は、読み聞かせをした絵本はそのまま皆さんにもらってもらおうと、
新品をクレヨンハウスで20冊買ってきて、女川に来ました。
集合時間も近づき、手元にまだまだたくさんあるので、全部は読めないけど、
子供たちのお渡しすることにしました。
あるご家族のところで「ぐりとぐらのいちねんかん」という絵本が荷物の中にあるのが見えたので、「お子さん、『ぐりとぐら』好きですか?」とお母さんに聞くと、
「好きです」とおっしゃるので、「『ぐりとぐら』の絵本、もらってもらえます?」
といって、お渡ししたら、
「わー」とお母さんが目を輝かせます。
「この本、うちに同じのがあったんですけど、(津波で)流されちゃって。
そうそう、同じだ。あーうれしい、ほんとにいいんですか?ありがとうございます!」
と、めくりながら歓声をあげてくださって、本当にうれしかったです。
授乳中のお母さんもいました。
寝ながら3ヶ月くらいのお子さんに授乳してるんですが、その様子も見えてしまう
ダンボールの壁の低さ、プライバシーのなさ・・・。半年前まで授乳をしていた
身としては、その気持ちがわかってつらかったです。
声をかけるのはもちろん躊躇されましたが、時間もなく、私の応援の気持ちも伝えたかったので「授乳中、ごめんなさい!」とお子さんのお年を聞き、3冊絵本をおいていきました。上に2人小学生のお子さんがいるそうです。
子供のいる場所は、子供に聞くのが一番。
絵本を渡すと大事そうに抱えてくれて、他の子の場所も案内してくれるという
男の子二人について、数少なくなった絵本を配ってまわりました。
一ヶ所いくと「じゃ、次は大体育館だから、入り口で待ってるね」
遊びながら待ってくれてて、他にもスムーズに配れました。
「ここ!」といってくれたところにいくと、そこは、囲いはあるけど、もう荷物がありません。
この日は、この避難所から内陸の鳴子温泉への二次避難も行われているというのも、
他の避難してる方から聞いていました。
「引っ越したんだ・・・」と男の子が少し悲しそうな顔をしました。
「そっか、そっか、他にもこのあたりはちいちゃい子いるんだっけ?」と思わず
話をそらすしか、私はできなくて、今となっては何か他にできたこともあったろうに、と思います。
しかし、ここでタイムアップ。
集合時間になりました。
すごく残念ですが、見かけた子供みんなに声をかけて絵本をあげることはできませんでした。
事前の情報で、幼児20人、小中学生70人ときいていたので、せめて小さい子だけでも
と、20冊、本を用意しました。
でも、兄弟がいる子は大勢いて、妹だけでお兄ちゃんにはあげないということもできず、二人にあげてしまったし、そうすると、小学生でももらった子ともらってない子が
でてしまったことになります。
あと、絵本を配っていて感じたのは、一階ロビーに図書コーナーがあり、
絵本も30冊ほどあるのに誰も読んでないのに、
絵本を「あなたのよ」とあげると途端にページをめくって読み出す子や
大事に抱えて「ありがとう」という子がいたことです。
生活スペースを見ると、皆さんの家財道具がどれだけか、というのがわかります。
3畳のスペースに寝泊りして、かつそこに置けるものが、現在の持ち物なのです。
きっと、お子さん達も「自分のもの」がたくさん津波で流されて、今残っているものは
そこにあるだけなのでしょう。
そこに「どうぞ、あなたのものよ」ということで、手にしたものは、
本であれ、何であれ、大切に感じてくれているような気がしました。
次回、もし来る事があれば、あまっちゃったから持って帰んなきゃね、ぐらいの
たくさんの本を持って来たい!
と思いました。
女川リポート、次で締めとしたいと思います。つづく。
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