田添菜穂子の一期一会

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被災地 宮城県女川に行く ③女川の避難所できいたこと

2011-04-25 16:24:06 | 東日本大震災について

私たちのバスがついたのは、女川総合体育館。

一時は2300人を収容したそうですが、行った時点では700人ほどが避難生活を
送っているという情報でした。

大きくて立派な体育館、2階にある大体育館以外にも、それぞれの中くらいのレクリエーション室や会議室などがあり、そこで皆さん避難生活を送っています。
ダンボールの壁を作って小さければ一畳分、5人ぐらいの家族であれば、三畳分ぐらいのスペースで生活を送っています。

一階にはロビーがあり、子供たちが10数人遊んでいました。ちいさな滑り台がある、キッズスペースになってました。

私たちのボランティア隊は、基本『自分でやることを見つけてください』というスタンスでしたので、バスを降りて室内に入ったら、自由に動くことになっています。

一緒に行った大道芸人さんやマジシャン、紙芝居師さんは、早速キッズスペースでパフォーマンスを始めます。子供たちには大人気!みんな先を競ってパフォーマンスを見ようとしています。

私は、その隅で3,4歳の女の子二人に早速絵本の読み聞かせを始めました。
『きんぎょがにげた』という隠れた金魚を見つけて遊ぶ絵本をまずは選びました。
二人とも興味津々。金魚のいるところを指ですばやくさしてくれました。
まずは楽しんでくれたようでよかった。

ただ、ロビーは子供たちがパフォーマンスに釘付けなので、皆さんの生活スペースに入らせていただいて、個別の読み聞かせをすることにしました。

子供はどこかな、と捜していると『あ、田添さんですよね』と、もう東北放送をやめて5年も経つのに覚えてくださってる視聴者の方がいました。本当にありがたいことです。

そちらのご家族や周りの方とお話をしばらくさせていただきました。

私は今回、マスコミの取材としてきているわけではなくボランティアとしてきています。ボランティアの心得として行きがけのバスの中で注意事項がありました。
『質問はしないで下さい』(ただでさえ取材は多く、みなさんはおつかれです。)
『今、何が欲しいですかと聞かないで下さい』
(欲しいのは流されてしまった家と家族、ふるさとですが、違うことを答えなくちゃいけない、とストレスを与えてしまいます。)
主催者の方が臨床心理士の方に聞いてまとめた注意事項でした。
マスコミ出身者はついやってしまいがちで聞いていてよかったです。

その注意事項をふまえながらお話をしていても、
みなさん、いろいろとお話してもくださいます。

テレビは一階に一箇所、二階に一箇所しかないからほとんど見られないこと。
ラジオは体育館の中は受信状況がよくなくてほとんど聞けないこと。
新聞はようやく先週から手に入るようになったこと。

『女川の町は見た?すごいでしょ。ほんと、大勢の人に見てもらいたいんだよね。
そしたら、支援の仕方もいろいろ考えてもらえるかな、と思って』
と50代の男性の方はおっしゃってました。

また、別の60代の男性は、うれしそうにセカンドバッグを抱えて自分のスペースに戻ってきて、バッグからぬれてべちゃべちゃになった古い紙幣と預金通帳を出していました。

『あっら~みつかっだの~、よかったっちゃ~、何入っでだの?』とおばあさんが話しかければ『よぐわがんね、かあちゃんが始末しでぐれでだがら~』と男性はいいます。

『あの人ね、奥さんとお母さんが流されて、まだ見つかってないんだ~』
と私におばあちゃんは教えてくれ、
『バッグみづがっだから、次は私みづげで~って奥さん思ってるよ~』と
おばあちゃんがいいましたが、男性は返事をする代わりに
『ほら、百円札、見だごとある?』と私に百円札を見せてくれました。

新聞で「・・・さんは妻と母が津波で流され、まだみつかっていない」
という一文は何度も何度も目にしたことがあるけれど、
目の前の人がそんな目に遭ってると思うと、言葉につまります。

あの一文は、つまりこういうことなんだ、とようやく実感。つらいです。

数人のおばあちゃんに絵本を読んだら、「お茶飲んでって~」とおもてなしを受けました。
『コーヒーがいい?紅茶がいい?ああ、混ぜるのこれ使って。漬物あるから、これも食べて。このきゅうり、結構美味しいよ。』

この避難所はまだ食事が二回しかなくて、あとでおなかがすいたら食べたいだろうに
私に分けてくれました。仙台の銘菓『白松が最中』もくれました。
漬物はとっても美味しくて、入れてくれたインスタントのカフェオレも
格別の味がしました。

そろそろ、子供に絵本配ってくるね、と別れ際握手する時、
『なんか、元気になったわ、ありがとうね、がんばります。』って言ってもらえて、
おもてなしをしてもらったのは、私のほうなのに、とてもうれしかった。
もしかしたら、震災前、人をもてなすのがきっと日常だったおばあちゃん達からすると、避難所生活はそれも難しい場所で、このたった10分のできごとも避難所ではあまりないことだったのかもしれないな、と。

私がやりにきたのは、結果的に絵本を介してのコミュニケーションだったんだなぁ、と
思ったりもしました。

避難所でのお話、もう少しさせてください。リポート④に続きます。













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