ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

クワイエット・プレイス

2022年06月27日 | ネタバレなし批評篇


「音をたてたら即死」いわゆるドント○○○シリーズの映画だと思って今の今まで後回しにしていた1本。廃墟と化した町のスーパーに必需品を漁りにきた家族。活動的な長女は聾唖で、長男は病弱な臆病者、よく事情がわかっていない次男は店で飛行機のオモチャを見つけ、帰り道無邪気に音を鳴らし遊びはじめたのだが.....

隕石の落下によりクリーチャーが街中に出現、人間のたてる“音”に反応し突如として人間を襲い始めた。それ以外の説明はほとんどなく、いきなりその状況下におかれなんとか生き残っている家族のサバイバル・ホラーである。家の中でさえ物音をたてないよう手話で話す家族を見ていて、電車の中で人と話すことさえはばかられたコロナ隆盛期をちょこっと思い出した。

こんな時にわざわざ子供を作らなくてもなんて思ったりもしたのだが、一番下の男の子を失なった喪失感を埋めるためなのか、ブラント姉さん、プライベートでも実際の夫であるジョン・クラシンスキーとの間に4人目の子供をもうけてしまうのだ。この身重の母ちゃんが、クリーチャーと対峙する『エイリアン』系フェミニズム・アクションかと思いきや、クライマックスは別の所に用意されている。

おそらく、出産時の破水シーンまでどことなくお品の良さが漂う美人女優エミリー・ブラントを主人公にしたままのシナリオだったら、批評家筋からこれほどの高評価は得られなかったであろう。次男の○をめぐって、いつのまにか心の垣根を作ってしまっていた聾唖の長女と責任感の固まりのような優しい父さんの深い絆は、あの『アルマゲドン』や『大草原の小さな家』?をふと思い出させるのである。

観客を置き去りにした複雑なストーリーや大どんでん返しにさほど度肝を抜かれることもなくなった昨今、どストレートに親子愛を描いた本作にはむしろ新鮮ささえ覚えるのである。「お前のことを、前からずっと変わらず愛していた」その父の深い愛に触れた時、「なーんだこのクリーチャー、スパイダーマンのヴェノムのコピーじゃん」なんてバカにしきっていたあなたの涙腺は確実に崩壊することだろう。

クワイエット・プレイス
監督 ジョン・クラシンスキー(2018年)
オススメ度[]

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