ネタばれせずにCINEるか

かなり悪いオヤジの超独断映画批評。ネタばれごめんの毒舌映画評論ですのでお取扱いにはご注意願います。

リアル鬼ごっこ

2009年03月25日 | ネタバレなし批評篇
くしくも松村邦洋が東京マラソン最中に意識不明になったその日に鑑賞した1本。最も過酷なスポーツといわれるマラソンは、いわずと知れた“走る”スポーツ。アクロバットなスーパープレーも一発逆転ホームランもない地味ーなスポーツに、なぜ老若男女を問わずこんなにも夢中になれるかと不思議に思うほど、たくさんの人が走っていた。完走した人々の顔が輝いて見えるのには、きっと何か理由があるはずだ。

なーんて前置きはさておき、この映画の見所はなんといっても“走る”シーンにつきる。ポパイ刑事が走って走って麻薬の売人を追いつめたように、本作品の主人公・佐藤翼は黒装束の鬼につかまらないように、只ひたすら走って逃げるのである。「車でもなんでも使って逃げればいいじゃん」と思う人のために、物語は“乗り物をけっして使ってはいけない”というルールを設けているので突っ込むには及ばない。

サイレンと同時に“リアル鬼ごっこ”が始まる設定は『バトル・ロワイヤル』と似てなくもないが、佐藤姓の日本人たちが自殺したり、鬼に狩られる理由が後でちゃんと解明されていて、単なる不条理劇には終わっていない点にも好感がもてる。SM系ブティックホテルのような安っぽい内装の王室が何とも情けないのだが、“走る”シーンを中心に演出した点は大いに評価できるだろう。日本語もよく知らない作家が書いたことで注目を集めた都市型なんちゃってホラー小説が、一応は見れるランナーズ・ハイな映画に変化する時、観客はなぜかマラソンを走りきったようなすがすがしさを覚えるのである。

リアル鬼ごっこ
監督 柴田一成(2008年)
〔オススメ度 

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