自殺の名所ゴールデン・ゲート・ブリッジから飛び降りるシーン、関係者のインタビュー、ブリッジそのものを撮影した風景シーン。すべてが本物のドキュメンタリー映画だ。自殺者がブリッジに現われるまでカメラを構えて張っていたことを考えると、倫理的に好ましくない作品であることは間違いない。その一方で、他人の不幸を覗き見したいと願う人間の悪魔的本能をかきたてる映画であることも確かだろう。
橋の欄干を乗り越え一気にダイブする者、橋げたの溝に突っかかるようにして海へ転げ落ちていく者、逡巡している間に警察や民間人に連れ戻される者。すべてが本物の映像だけに、自殺関係者のインタヴューがかえってウソっぽく感じられるほど、それらのシーンからは異様な迫力が伝わってくる。
不謹慎というレッテルを自殺予防のためのドキュメンタリー映画という型で避けようとはしているが、衝撃的な自殺シーンを最後にもってきた編集には、観客の覗き見趣味を刺激しようとする制作側の思惑が見え隠れする。なぜ自殺者がゴールデン・ゲート・ブリッジに引き寄せられるのかを、もう少し堀り下げてくれればまたそれなりに違った見方をできたかもしれないが、ラストのテロップからは自殺者を減らそうなどという高尚な意思を感じとることはできなかった。
ブリッジ
監督 エリック・スティール(2007年)
〔オススメ度 〕
橋の欄干を乗り越え一気にダイブする者、橋げたの溝に突っかかるようにして海へ転げ落ちていく者、逡巡している間に警察や民間人に連れ戻される者。すべてが本物の映像だけに、自殺関係者のインタヴューがかえってウソっぽく感じられるほど、それらのシーンからは異様な迫力が伝わってくる。
不謹慎というレッテルを自殺予防のためのドキュメンタリー映画という型で避けようとはしているが、衝撃的な自殺シーンを最後にもってきた編集には、観客の覗き見趣味を刺激しようとする制作側の思惑が見え隠れする。なぜ自殺者がゴールデン・ゲート・ブリッジに引き寄せられるのかを、もう少し堀り下げてくれればまたそれなりに違った見方をできたかもしれないが、ラストのテロップからは自殺者を減らそうなどという高尚な意思を感じとることはできなかった。
ブリッジ
監督 エリック・スティール(2007年)
〔オススメ度 〕