ポン太よかライフ

得した気分、首都圏見て回りの旅、美術館散歩

「東京・ミュージアムぐるっとパス」で美術館巡り1(出光美術館)

2011-12-19 10:07:07 | 博物館、美術館行ってきました


 都営deぐるっとパスを買いました。都営地下鉄の一日券2枚(1,400円分)と、都内71の美術館や博物館動物園などの入場券
や割引券が綴じられたチケットブック(2,000円分)が付いて2,800円とお得です。
都営地下鉄の一日乗車券は、都営まるごときっぷの特典として、それだけでも様々な美術館や、施設の割引券を兼ねていますが、
ぐるっとパスの利点は、入場無料になる施設があり、1,000円以上かかる美術館の企画展がいくつも含まれているところにあります。
ですから大きな美術館の企画展に2館以上行けば、都営地下鉄の一日券だけ買うよりもお得になるというわけです。

日比谷駅ー出光美術館
  
   『長谷川等伯と狩野派展』現在日経新聞の朝刊で小説「等伯」(安部龍太郎著)が連載中ということもあって
  時の権力者、信長や秀吉の城を飾った狩野派、中でもとりわけ勢いのあった永徳と等伯の二大巨匠の対立には興味がありました。
  御所対屋の障壁画の注文の取り合いや、扇の専売権をめぐる企業経営者としての手腕に絵師を生業とする者の競争の激しさを感じました。
   
   出光美術館蔵で等伯の筆とされる力強い竹虎図屏風については、両門の競争意識が孫の探幽の代においても見られるという推察が紹介され面白かったです。
  屏風絵に探幽が室町時代中期の周文の作品と鑑定書きを加えたのは意図的で、等伯の屏風絵の虎があまりによくできていたので、
  等伯の活躍を隠ぺいしようとしたのではないかというものでした。
  
   完成度の高い様式美の狩野派と、幅広い古典学習から自由で独創的な表現を試みた等伯とその一門は、たがいに優れたものと意識しあうことになり、
  それぞれの特徴を伸ばし差異を際立たせる一方で、意外にテーマや表現に親近性があることも指摘していきます。
  同じ波濤図屏風の比較からは暗く躍動的な長谷川派と、より様式的で優雅な明るさのある狩野派の個性があるものの、
  表現は似ていて影響し合っていたことがよくわかりました。
  
   また、等伯が牧谿に学んだというしっとりした空気感のある水墨画にも触れ、松林図屏風に至る道筋が示されて見ごたえがありました。
  等伯が学んだと思われる能阿弥、曽我宗誉、狩野松栄らの絵、とりわけ大徳寺山門制作の前後に寺宝の牧谿の図を見たと推察し、影響を探ります。
   足利義政のコレクションである東山御物を管理していた能阿弥が傾倒(保有の中国絵画279幅のうち103幅が禅僧の牧谿)していた牧谿描くところの
  南中国の湿り気のある大気が、のちに描かれた松林図屏風のルーツという示唆を、出光美術館の収蔵品で示せることはこの館の強みですね。

  長谷川派の人気画題柳橋水車図などのやまと絵は、「豊国祭礼図屏風」に2点描かれるほど同じ図柄の絵の需要があり、
  巷でよく見られたという当時の雰囲気も伝わりました。
  
  上質で幅広い収蔵品とTVの企画番組のようにストーリーのあるキャプション構成で、今年も最後まで見ごたえのある展示を楽しませていただきました。

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