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「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」感想

2023-03-12 22:52:00 | ドラえもん
今年も映画ドラえもんを観てきた。
前2作はいずれも公開が延期されてしまったため、予定通りに公開されるのは実に4年ぶりになるようだ。
以下、感想を列挙する。一応、ネタバレ注意。




全体の感想としては、1本の作品としてよくできていただけでなく、「これぞドラえもん映画!」と強く感じられるものだと思った。
2019年の「月面探査記」は、F先生の描く物語に近く感じこれもとても良かったのだが、本作はそれに加えわさドラの個性、わさドラらしさというものも感じ、それらの"いいとこ取り"を実現していたと思う。新しくありつつ、間違いなく「ドラえもん」じゃないとできない作品であり、好印象だった。
巧みな伏線や意外性のある展開、「理想郷」というテーマを活かしたメッセージ性など、単体の映画としても見応えは十分だった。

今回はただの非日常世界での冒険にとどまらず、レギュラーメンバー各人の個性や関係性に改めてスポットが当たったものとなっている。ここでの「理想郷」の実態が明かされていき、いつもの彼らからかけ離れていく様はこちらもやはり不安を感じるもので、そこからの巻き返し(?)展開に強い説得力を持たせていた。前評判で、のび太とドラえもんの友情描写が良いという旨のことを聞いており、それも間違いなかったが、いつもの5人全員にそういった見せ場があったのが良かった。

5人の描写にも力が入りつつ、本作のメインゲストキャラたるソーニャとの描写も疎かになっておらず無理なく挿入されていたのも上手かった。彼については一貫して味方側のキャラクターというわけではなかったことも、最後に自らを犠牲にして散っていくことも(あのシーンはやはり圧巻だった)驚いたが、それで終わらず最終的な落とし所としてはとても納得のいくものだった。エンドロール中の描写の意味を完全には汲み取れないのはちょっと悔しいが。


キャラクター面ではソーニャ以外だとやはりマリンバが強く印象に残っている。今回の事件の動向においてはなくてはならないポジションで頼もしさもあり、賞金稼ぎという立場に徹するワイルドなかっこよさ、テントウムシ形態の愛らしさなどキャラクターとしての魅力は十分で物語中においても良いアクセントとなっていた。


今回の映画のテーマは、自分にも響くものになっていた。僕は何かと、「自分はダメだ」という考えに陥りやすい人間だと思う。過信したり、何も考えずにいたりするのも違うが、あまり理想を高く持たず肩の力を抜いて、ありのままの自分を受け入れるというのも大事かもしれない、と感じられた。

今回は、映画ドラえもんとして非常にスタンダードな楽しさと感動をもたらしてくれる作品だと感じた。ただそれ故にやや平凡さも感じる部分はあるが、それでも他人に勧められる作品であるとは思う。
来年はまたオリジナルのようだ。見た感じだとこれまで意外とありそうでなかったテーマを扱っているようなので、どんな作品になるか今から楽しみだ。