時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
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香港問題の先にあるもの

2020年06月01日 | 時のつれづれ・水無月

多摩爺の「時のつれづれ(水無月の3)」
香港問題の先にあるもの

首相官邸のホームページで確認すると、総理は5月25日の記者会見(質疑応答)で、
注目すべき発言をしている。
発生源を巡っては、相当激しい議論がされていると前置きし、
「今回の新型コロナウイルスは、中国から世界に広がったというのが事実と考えている。」と
明快に答えた。

もちろん中国は「ウイルスの発生源を政治問題化し、汚名を着せることに断固反対する。」と
即座に反発し、両国共同のウイルス対策の努力と期待に反すると批判しているが、
総理が言い切った、この発言が持つ・・・ 意味は大きい。

WHOを抱き込み、他国より一足早く、新型コロナウイルスの危機を脱した中国が、
他国が対策で大変な真っ只なか、どさくさに紛れて、
傍若無人というか・・・ 火事場泥棒的なことをやり始めている。

オーストラリア政府がウイルスの調査を求めた途端、
牛肉の輸入禁止や、大麦の関税を大幅に上げるといった暴挙
年に一度のWHO総会へ、封じ込めに成功した台湾のオブザーバー出席を、
WHOに圧力をかけて拒否させたり、
我が国の領海である尖閣諸島沖では、日本漁船を中国海警局の巡視船で執拗に追い回すなど、
まぁ、やりたい放題

極めつきは、2カ月遅れで行われた、国家の最高権力機関でもある全国人民代表会議(全人代)で、
中国本土の治安機関が、香港で活動することが認められる「国家安全法」を採択
今後は全人代の常務委員会で立法が進められ、香港政府の公布によって施行されることになるが、
この法律が施行されると、中国政府への反乱や分離独立が禁止されるだけでなく、
一国二制度の崩壊にもつながり兼ねない。

そもそも1997年7月、イギリスから中国に香港が返還されたとき、50年の期限付きだが、
外交や防衛を除く分野で、高度な自治を維持する(一国二制度)との約束が交わされており、
香港は特別行政区として独自の行政、立法、司法権を持ち、
中国本土では認められていない言論・集会の自由や、
通貨(香港ドル)やパスポートの発行権を持っていた。

この法律が施行されると、アジアの金融経済の拠点でもあった香港は、
これから、どうなっていくのだろうか?
アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの4か国は、
明らかに国際公約に違反すると、すかさず共同声明をだした。

さらにアメリカは、香港に対する特別扱な扱いを撤廃するとともに、
輸出管理に関する取り決めの見直しや、
関税や渡航面での優遇措置の撤廃などの制裁を実施するとしている。

これに対して中国は、香港の特別な地位が剥奪されても問題ないと、
チョー強気なコメントで切り返した。
例え関税が引き上げられても、その影響は微々たるもので、
こういった措置は、むしろアメリカにブーメランとなって跳ね返ると警告し、
一歩も引く構えを見せていない。

経済的にも、地政学的にも中国との関係が深く、
アメリカとは同盟国でもある我が国は、どういった立場をとるのだろうか?
ひょっとしたら・・・ 事態は相当に、風雲急を告げているのかもしれない。
年金暮らしの爺さんには関係ないことだが、暇なもんで少し勉強(ネット検索だけど)してみたら、
その行きつく先には、けっこう大変なことが待ち受けていそうだった。

アメリカが本気で制裁するなら、
関税の引き上げや渡航の優遇措置の撤廃などといった、悠長な制裁ではなく、
香港ドルとアメリカドルの交換(両替)を禁止するだろう。

アメリカには、香港の自治が崩れたと判断した場合、通貨の交換を禁止できるという法律があり、
アメリカが本気だということを示す場合、
この法律が切り札となるんではないかという記事がネットにあった。

アメリカドルと香港ドルの通貨交換が禁止されると、香港ドルは一瞬にして市場での信用が失墜し、
アジアにおける国際金融都市・香港は衰退するだけじゃなく、
いずれ消滅してしまう可能性すらあるらしい。

アジアの金融市場の拠点を、シンガポールに移せば良いという声もあったりするが、
そんなに簡単なものではないだろう。

通貨交換に手を付けると・・・ その影響(損害)があまりにも大き過ぎて、アメリカのみならず、
香港でビジネス展開する、他国を巻き添えにしてしまうことも忘れてはならない。

もちろん香港を経由して、関税優遇を受けて中国国内に入っていた様々なものへの影響も大きいが、
それよりも、アメリカが自ら引き金を引いて、
国際的な金融市場を崩壊に導いたとの誹りを受けることの方が大きく、
さすがに、それはできないだろうと・・・ 中国は高を括っている。

どこまで、ずる賢いのだと・・・ 腹立たしさ、すら覚えてしまうが、
それこそが、中国共産党の正体なのだと、改めて認識しておく必要があるだろう。
アメリカが先月末に発表した制裁ぐらいなら、中国の分析のとおり痒いぐらいで、痛くはないだろう。

国際取引や、為替取引に使用される、国際決済通貨の取引高を調べてみると、
44%がアメリカ(ドル)、16%が欧州(ユーロ)、11%が日本(円)で、
この三つの通貨で世界の70%を占め、
以下、イギリス(ポンド)、スイス(フラン)、豪州(ドル)、カナダ(ドル)が続いている。

世界2位の経済大国を自負する中国であっても、為替取引における、人民元の信用は極めて低く、
通貨交換を止めると、香港を経由して取引があった中国経済は、
大混乱に陥るが・・・ さて、どうなるのだろうか?
国際社会での、人民元の信用を過信しているようにも思える。

世界はいま、新型コロナウイルスへの対策から、経済の再スタートに舵を切り始めている。
「ウィズ・コロナ」をキーワードにして、共存戦略を模索するなか、
その元凶となった中国は、隠蔽のなかで密かに牙を研ぎ、
混乱に乗じて様々な場面で覇権を握るチャンスを窺っていた。

大事なことは・・・ 中国人民と、中国共産党政権を区別しておくことだろう。
文化、芸術、スポーツの交流はあっても良いが、
政治と経済だけは、中国共産党の一党独裁が無くならないまま信用すると、
とんでもない目に合うということだ。

それにつけても、人権や差別に敏感で、ヘイトに関しては特に厳しい、
我が国のレフトスタンド陣営が、今回の中国政府の行動に対しては不満の声を発するわけでもなく、
行動すら起こしていないのは・・・ 何故だろう。

「アベ政治を許さない。」のカードをもって、
官邸周辺や議事堂周辺で抗議する方々を見かけることはあっても、
「中国政府を許さない。」のカードをもって、中国大使館周辺で抗議する方々は見かけない。

たまには同調できる、良いこと言ってるときもあるんだけど、
やっぱり、そういう方々の集まりだったと思えば・・・ 実に分かり易い方々でもある。

他国のことなんで、直接的な被害はないと思っていたら、それは大きな大きな思い違いである。
南シナ海に人工島を作り、領土や領海を主張する国であることを忘れてはならない。
香港の次は台湾、台湾の次は沖縄、沖縄の次は・・・ さて、どこだ。

中国にしても、アメリカにしても、その本気度がどれぐらいのものか、
残念ながら、見極める力はないが、
国内各地で、中国人が土地を買いあさっていることを見過ごしていると、
いずれ大変なことが起こっても・・・ 不思議ではないのだ。

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