時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

雪ざくら 角館

2022年01月13日 | 旅のつれづれ

多摩爺の「旅のつれづれ(その10)」
雪ざくら 角館(秋田県仙北市)

雪の衣をまとい、凜とたたずむ黒板塀に、
純白の化粧を施した枝垂れ桜が、しなやかにもたれかかる。
みちのくの小京都、「角館(かくのだて)」の冬は・・・ 雪ざくらが満開だった。

北日本を中心に、吹雪と北風が吹き荒れ・・・ 列島が猛烈に冷え込んでいる。
冬のこの時期、日本海で形成される1,000㎞程度の巨大な日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)が、
北陸から東北や、北海道にかけての広い範囲を・・・ 災害級の雪雲が覆ってしまった。

警報が出されている地域にお住まいの方々は、次なる警報をけっして聞き逃すことなく、
くれぐれも、細心の注意を払っていただきたいと願ってやまない。

朝昼晩、ニュースが伝える、天気予報に気を揉みながら、
「たしかあのときも、けっこう吹雪いていたなぁぁ・・・ 」と、記憶を12年ほど遡りながら、
整理整頓が苦手で、捨てられないで持っていた、古い手帳を引っ張り出し、
そこに記されていたメモを見て、角館を訪れた日のことを・・・ 思いだしていた。

城下町に生まれたわけじゃないし、城下町で育ったわけでもないが、
黒板塀の上から、もたれかかるように伸びた枝垂桜の枝先に、ちょこんと積もった雪が、
妙に郷愁を誘い・・・ ぼんやりとした記憶の引き出しに手が伸び、なにやら探し始めていた。

見つけたものは、半世紀以上の歳月をかけて描き溜めた・・・ 思い出の画集
1ページ、1ページを丁寧に捲り、うろ覚えで薄れゆく記憶と突き合わせながら、
この景色は、どこかで見たことがあると、白と黒で描かれた墨絵のようなページを探していた。

さて、なん分ぐらい・・・ 経ったのだろうか?
思った以上に、時は経過してないはずだが、
求めていた光景は、四季の国に生まれた者の、遺伝子にインプットされ、
なん代もの時空を超えて、大事に育まれ続けていた・・・ 遠い昔の記憶に秘められていた。

枝垂れ桜の枝先に、ちょこんと乗っかった、積もったばかりの粉雪が、
出羽の山々からの吹き下ろす風に・・・ ふわりと舞い飛んで行った。

こんなにも風雅で、なんとも言えない趣を、独り占めしても良いものだろうか?
だれかに教えてあげたいと思うものの、そこには人の姿はなく・・・ なんともはや勿体ない。

モノクロ写真のような町並みに、賑わいが戻ってくるのは、まだまだ先のようだが、
寒いときに、ちょっとだけ頑張って、寒い地域を訪ねてみないと、
心の琴線は・・・ そう簡単に共鳴してくれない。

冬真っ盛りの、みちのくの小京都「角館」
雪ざくらは・・・ おそらく、いまが見頃ではなかろうか?


黒板塀にもたれかかる雪を纏った枝垂れ桜、白と黒のコントラストがなんとも言えず美しい。
この後直ぐに降りだした雪で、視界は真っ白になるんだから・・・ 雪国の空は移り気すぎる。

コメント (12)    この記事についてブログを書く
« 成人の日に思いを寄せて | トップ | 本物のアスリートとは »

12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (びこ)
2022-01-13 06:00:29
雪桜なんて言葉があるんですね。なんと風流な言葉でしょう。
返信する
Unknown (けいこ)
2022-01-13 06:39:09
おはようございます。
雪桜 素敵な言葉ですね。

桜隠し この言葉も好きです。
四季のある日本なればこそ 素晴らしい言葉 表現があるのですよね。
返信する
Unknown (多摩爺)
2022-01-13 06:44:20
びこさん、おはようございます。

私の記憶が確かなら、JR角館駅に秋田新幹線「こまち」で、雪桜を見に行こうというポスターがあったと思います。
たぶん、その時の記憶があって、なんの迷いもなくこの表題がでてきたのだと思います。
返信する
Unknown (多摩爺)
2022-01-13 06:50:04
けいこさん、おはようございます。

四季の国ならではの風流な例えは、心を和ませてくれ、ほっこりさせてくれます。
爺さんがこんなことを言うのもなんですが、これからも美しい言葉を探してみようと思います。
いろんなところに旅をされてるけいこさんも、各地に伝わる美しい言葉に気づかれた際は、教えていただけると幸甚です。
返信する
雪桜っていう言葉を知らなかったです (くちかずこ)
2022-01-13 12:02:31
冬桜の仲間かと思いました。
先日、咲いていたので・・・

角館、懐かしいです。
5年前に、一度行きましたが、こちらは、本当の桜が咲いていた頃でした。
長いので、もし、お暇だったら↓
https://blog.goo.ne.jp/kazukomtng/m/201705

くちこも、ちょっと当時のブログをまとめて邂逅しようかと思ったりして。
返信する
Unknown (多摩爺)
2022-01-13 13:38:38
くちこさん、こんにちは

角館の枝垂れ桜を見られたなんて羨ましい限りです。
弘前、北上、角館はみちのくの三大桜として有名なので、私も見に行きたいと思っていますが、
いままでは出かける機会がなくて、これからは経済的に厳しくて無理かもしれません。
雪ざくらはJRのポスターにありましたから、PR用に作られた言葉かもしれませんが、
日本人の心にストンと落ちる、美しい言葉だと思っています。
返信する
雪の角館 (tadaox)
2022-01-14 08:56:35
おはようございます。
雪の角館は、ことのほか静まりかえっていますね。
写真一枚で、街の様子が思い描けます。
ぼくが訪れた時は4月の終わりだったか、5月の初めだったか。
花見まっさかりの頃で、メインはすぐ近くの河岸の桜並木ですが、武家屋敷はけっこうな人通りでした。
「たびのつれづれ」シリーズは、これからも楽しみにしております。
返信する
Unknown (馬鹿も)
2022-01-14 09:35:14
秋田角館には行ったことありません。
こちらのブログを読み
深く想い出ずるのです。

恋を引き裂かれた女性は角館出身
既に70歳を過ぎています。
一人身だとの噂を聞いています。

https://blog.goo.ne.jp/kikuchimasaji/e/a3deeb0b470c36661158b409601c4d63
返信する
Unknown (多摩爺)
2022-01-14 10:11:12
tadaoxさん、こんにちは

角館の枝垂れ桜を見られて羨ましい限りです。
黒板塀の武家屋敷通りと桜の光景が目に浮かぶようです。
旅のつれづれと歴史のこみちのシリーズは、思い出と思い入れが込められたエッセーとして、いつも以上に力が入っています。
楽しみに読んでいただき、ありがとうございました。
返信する
Unknown (多摩爺)
2022-01-14 10:15:03
馬鹿もさんと呼ぶのも如何なものかと思いますが、コメントを頂戴しありがとうございました。
一期一会とはいえ、辛い思い出に触れてしまい申し訳ございませんでした。
次はどの地域のことを書くか分りませんが、喜んでいただけるようなところの話であればと思います。
返信する

コメントを投稿

旅のつれづれ」カテゴリの最新記事