多摩爺の「旅のつれづれ(その27)」
血脈と絆の「つわぶき街道」(島根県津和野町)
「つわぶき」という野草がある。
漢字にしたら・・・ 石蕗とか、艶蕗と書くらしい。
フォローさせていただいているブロガーさんが・・・ 「ふき」をいただき、
奥様と一緒に、あく抜きなどの手間暇をかけて調理され、
「きゃらぶき」を作られたという、ほのぼのとした記事を読ませていただき、
似て非なるものではあるが、ふと「つわぶき」のことが頭に浮かんできた。
おふくろが得意の料理でもある「きゃらぶき」に使われる「ふき」は、夏になると葉を広げるが、
「つわぶき」は一年を通して茂り、葉っぱにも艶があって緑が濃く、
「ふき」とは違って、ツウが好む苦み走った美味「ふきのとう」は出てこないが、
晩秋にかけて茎が伸びると・・・ 菊の花に似た、黄色い花を咲かせてくれる。
私の記憶が確かなら、「つわぶき」は亡父のルーツ(本籍地)があって、
山陰の小京都として、毎年多くの観光客が訪れる島根県津和野町の、町の花だったと思う。
実家のある山口県下関市から、島根県津和野町に向かうには、
通常なら国道2号線か、中国自動車道を経由して、山口市内を通過し、国道9号線を北上するが、
3年前の6月に、相続に必要な亡父の戸籍謄本を取りに、津和野町に行く用があり、
前々から知ってたものの、機会がなく通ったことがなかった「つわぶき街道」を利用したことがある。
義母の葬儀を終えた直後だったので、実家からではなく、山口県長門市からのスタートになったが、
松下村塾(山口県萩市)を過ぎて直ぐに右折し、県道13号線を道なりに北東に向かうと、
昔はむつみ村という村だったはずだが、いまは萩市に合併された農村が点在し、
山あいに作られた水田を渡る水無月の風が・・・ 数週間前に植えたばかりの苗を揺らしていた。
対向車とすれ違うことが少なく、前を走る車を追いかけることも滅多にないまま、
適度なスピードで、快適なドライブを楽しみながら、
山口県と島根県の県境辺りから、島根の県道13号線に入ると、
ここから津和野の町外れにある道の駅「なごみの里」までが・・・ 「つわぶき街道」である。
県境の近くで、国道315号線を間に挟むが、
その前後をつなぐ山口県と島根県の県道が、ともに13号線というのが・・・ ちょっと面白い。
偶然の一致なのか、それとも示し合わせてのことなのか、そこんところは分からないが、
なんとなく、なにかしらの意味があるような気がしないでもない。
なお、津和野という地名は「つわぶきの生い茂る野」というところから来ているらしい。
古よりこの地に住んでいた先人たちは、群生する「つわぶき」の可憐な花に魅せられ、
自分たちの住む里を「つわぶきの野」と呼び、いつしかそれが・・・ 「つわの」に至ったのだと、
かつて津和野高校で教員をしていた、叔母から聞いたことがあった。
今風に「紫陽花ロード」だとか、「シクラメン街道」だとか、お洒落なネーミングではないし、
「ひまわり畑」や、「桜並木」といった・・・ 目を見張るような艶やかさもないが、
日陰であっても緑を絶やさず、晩秋から初冬にかけて黄色い花が彩りを添える「つわぶき街道」は、
飾り気のない田舎道だけど、私にとっては血脈が誘う「きずな街道」でもあった。
追伸
「きゃらぶき」つながりで恐縮だが、
今春で94歳になった母は、野草や野菜の料理が抜群に上手くて、
それだけを食べに帰郷しても良いぐらいの・・・ 凄腕の持ち主でもある。
思いつく品目を上げれば、
・きゃらぶき ・せりのお浸し ・きんぴらゴボウ ・レンコンの素揚げ ・たまねぎステーキ
・高菜や白菜の漬け物 ・焼きナス ・里芋の煮っ転がし
などなどだが、どれを取っても美味で、さらに安上がりで、
おかずにも、酒のつまみにもなるんだから、
ひょっとしたら・・・ 魔法使いのお婆さんだったのかもしれない。
来月には1年ぶりに帰郷する予定だが、すでにいまからワクワクしてるんだから、
まさに・・・ 恐るべし「お袋の味」だろう。
大好きな津和野のお話、楽しく拝読しました。よく歴史が分かりました。娘婿にお嫁さん、みんな維新の頃の話が大好きで、津和野も山陰の小京都として人気沸騰の頃、旅しました。
こんなにご子息様からお袋の味を熱望され、お母様はお幸せですね。私の息子などお嫁さんのお料理に馴染み、そんな風に言ってはくれないと思います。お母様ひょっとしたら「奥様は魔女」ならぬお料理の魔法使いかもしれませんね。お会いになる日が楽しみですね。 なおとも
津和野を訪問されたことがあるようで、とっても嬉しく思います。
山口の萩と島根の津和野は、セットで観光される方が多く、行き来するルートに「つわぶき街道」はあり利用されています。
町のキャパからして、ホテル等が津和野には少ないことから、萩もしくは山口(湯田温泉)に流れるのが残念ですが、
時が経つのを忘れて、ゆっくり出来るので、山口に居た頃は、たまにですけど思い立って行くことがありました。
なお、先月の補選で当選された亀井さんは、津和野藩の殿様の子孫で、世が世ならお姫様でした。
津和野へは1度しか行ったことがありませんが萩へは5回も行きました。
山口市へは瑠璃光寺の五重塔にひかれて2度観に行きました。
何時の時か大内氏の遺構を観に行った近くに
「萩往還の道」の案内があったように思います。
山口県は錦帯橋や秋芳洞などだけではなく広くて見所いっぱいですね。仙崎のみすず記念館も行きましたよ。
長州の思い出をまたかいてください。
楽しみにしています。
お邪魔しました。
山口を旅され、気に入っていただき嬉しく思います。
萩から山を越えて山口に出て、三田尻(防府)に抜ける萩往還の街道沿いには見どころのある観光地も点在しています。
長門市のセンザキッチン、萩市のシーマート、下関の北浦街道も、人気の道の駅ですから機会があれば寄っていただけると嬉しく思います。
人気のお酒、岩国の獺祭や萩の東洋美人もありますから、私も毎年帰郷を楽しみにしています。