時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

朝令暮改で良いじゃないか。

2020年04月17日 | 時のつれづれ・卯月 

多摩爺の「時のつれづれ(卯月の8)」
朝令暮改で良いじゃないか。

新型コロナウイルスの感染拡大にともなう緊急事態宣言とともに、
首相から発表された緊急経済対策は、
来週早々に国会で審議が始まり、週末には成立される予定だったが・・・
昨日、大きな大きな軌道修正があるとの発表があった。

収入が大きく減った世帯に対して、1世帯当たりに30万円の現金を給付する政府案が、
給付対象者を判断する基準の複雑さや、それに対応する行政の繁忙に加え、
給付対象から外れた多くの層からの不満が、あまりにも大きかったことを踏まえ、
その空気を読み取った、連立与党の公明党代表が見直しを強烈にねじ込んだことにより、
所得制限を設けず、1人当たり10万円を給付する案に補正予算そのものが見直されることになった。

野党は、自分たちは初めから1人当たり10万円の給付を求めていたという。
確かにそのとおりだから、イチャモンつけるつもりは全くないが、
とはいえ国会の審議では、いつまで経ってもモリトモ問題や、サクラを見る会の追及ばかりで、
新型コロナウイルス対策を、熱心に訴求していたという記憶はほとんどない。
毎度のことだから、驚きはしないが・・・ 焦点がズレてたとしか言いようがない。

ネット情報によれば、もともとは与党のなかで、1人当たり10万円を給付するといった案があり、
総理もその気で、野党からも同調する声があがっていたことから、
発表するタイミングだけのことだ思われていたところ、
財務省や所管大臣から猛烈な反対にあい、1世帯当たり30万円の案でいくことになったらしい。

邪推だが・・・ モリカケで財務省が盾になったこともあって、
配慮せざる得なかったことがあるのかもしれない。
口が裂けても「そのとおりです。」とは言えないだろうが、
そこらあたりの胡散臭さは、正直なところキレイに拭い去ることはできない。

とはいえ、非常事態という一点を除き、公平な視点で捉えれば、
所得制限などの諸条件を付けず、1人当たり10万円を給付するということは、
明らかにバラマキであり、閣議決定を審議の直前で変えた事実は、
今後の政権運営に大きな禍根を残すことになるだろう。

その理由は、4月3日に「マスクの次は現金給付」、
7日に「伝家の宝刀だが・・・」と題したブログで書いた通りで、
公務員、年金生活者、生活保護受給者など、
収入減にならない公金で生計を立てている人たちに給付することは、
明らかに不公平をともなう公金の支出だし、公金の原資が国債の発行になることを踏まえれば、
その返済を、将来の世代にツケを回したという指摘は間違っていない。

しかし・・・ 国難ともいえる、天下国家の一大事である。
人の行動に対して制限(外出自粛)を依頼したにも拘わらず、
楽観的な展望が見えてこない現状から察するに、
生きて行くための生活資金や事業の運転資金を求めて、申請を待つ人々が行政窓口に列を作るなか、
諸条件の整備に時間をかけたり、チラシやQ&Aを作ってる余裕はないはずだ。

どうしても、不公平を調整したいなら、課税対象にして、
来年の確定申告で回収すれば良いし、必要がない人は福祉団体などに寄付することもできるだろう。
ただ、それでも・・・ 1世帯30万円か、1人10万円かの不公平は調整できても、
原資となった国債の返済を将来世代に託したという、世代間の不公平までは調整することはできない。
こればっかりは無責任かもしれないが、世代間の不公平じゃなく、
次世代への宿題として理解してもらうしかないだろう。

一度は閣議決定したとはいえ、世の中の空気を感じて、法案提出前に修正できるなら、
それにこしたことはない。
非常時なんだから・・・ マニュアル通りの対応をしていたら、手遅れになることもあるだろう。
だったら、世の中の空気感を読んで、臨機応変に行動することは間違いではない。

ひょっとしたら、自民党の二階幹事長と公明党の山口代表が仕掛けた出来レースだったかもしれない。
仮にそうだったとしても、政治は結果が全てであり、見えないところを詮索する必要はない。
攻めが遅すぎるとの批判はあるが、徳俵からのうっちゃりは、
アッパレと言っても良いんじゃなかろうか。

それでも・・・ 昨日までは、1世帯30万円の条件不備について厳しく指摘し、
1人10万円の方が良いと云ってた芸能人、知識人、文化人を看板に掲げるコメンテーターたちは、
一夜明けると、驚いたことに手のひらを返して、1人10万円の案を批判するんだから、
この国のワイドショーは、自由奔放を通り過ぎて、
病んでいるんじゃないか?とすら思ってしまう。

なにをやっても、一定数の批判はつきものだし、
なにをやっても、反対のための反対を繰り返し
、世の中が混乱することを是とする者たちがいる。
情けないことだが、それを面白おかしく取り上げるワイドショーやSNSもある。

故にトップという立場に立てば、100%称賛されることはあり得ない。
そこんとこに覚悟があれば、朝令暮改で構わないし・・・ 朝令朝改でも良いと思う。
朝令暮改だったら、なにが悪いのか、その説明を聞いてみたいものだ。

発表を受けて、野党は「前代未聞だ。」、「ブレまくっている。」、
「ガバナンスが欠如している。」と声を上げ、「内閣総辞職に値する。」と一斉に非難した。

閣議決定を覆したんだから、野党が云ってることはそのとおりで、間違ってるとは言わないが、
このコメントを聞くにつけ、彼らには政策の中身がどうであろうと、
国民の声がどうであろうと、そんなものは関係なく、
なんでも政局にしたいだけの本心を、恥ずかしげもなく露呈させている。

それは、非常事態に新たな最善手が見つかったとしても、
臨機応変な対応を取ってはダメだと云ってることに等しく、
戦況の分析はできても、正しい判断ができず、
先の大戦に突き進んだ大本営と同じ轍を踏むことになる。

「国民を守る。」という一点について、ブレてはダメだけど、
国民の声を聞き、進行方向がズレていると気づいたとき、それを修正することを躊躇してはならない。 

事態を俯瞰して捉え、その時々に打つべき最善手が見つかった時、
為政者たる者は、その着手の変更に躊躇すべきではないし、そのタイミングを逸してはならない。

さて、こういった場面で、野党はどういった対応をするのか?
国民は・・・ それを見ている。
どうでも良いような、くだらない質問や、人を小馬鹿にしたような、舐めた質問を繰り返し、
がっかりさせないようにしてほしいと願ってやまない。

課題は一つ・・・ スピードである。
いつ、給付されるのか?
マイナンバーがあるんだから、つまらぬ確認手続きはこれ1枚で簡略化して欲しい。

金融機関の窓口に申請用紙を置き、マイナンバーと振込先を記入すれば時間はかからない。
未成年の場合は、保護者が代行できるようにすれば良い。
行政がどこまで詳細な作業をしても、一定数の漏れはでてくる。
しかし、マイナンバーを照合すれば、あとからいくらでも対応でき、
行政が想定するミスや漏れはカバーできるだろう。

あとは、寝たきりの独り暮らしの方や、
路上生活者、ネットカフェ生活者をどこまでフォローできるかだけだと思う。

ICTがどんどん進化する時代に、マイナンバーとネット申請を組み合わせて活用しない手はない。
システムの不備や信頼性の課題もあったが、左派勢力の反対でマイナンバー制度の導入が遅れ、
消えた年金問題が発生したことを忘れてはならない。


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