前回続きです。
まず、条文をもう一度見てみましょう。
・・・・・・
(地代等増減請求権)
第十一条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
・・・・・・
では、今回は、この1項の請求権が発動されたら、どうなるかです。
一方的に、請求できますが、相手方がそれではどうしても納得できない、またはもう少し安いのではないか、など文句を言えるかということです。
2項では、増額したときのバージョンです。3項は、減額したときのバージョンですね。
具体的に考えると、Aが地主、Bが借地権者、これまで月に10万円の地代を30年近く支払ってきたとしましょう。しかし、ここらあたりは都市化が進み、もし今正規の地代を決めるときには、20万円でもおかしくない状況とします。
AがBに変更を申し込んでも、応じてくれません。ですから、Aは条文をもう一度読んでみたら(勉強熱心)、この権利を行使できることを知り、20万円にしてくれと行使したわけです。
Bにとっては、次回の支払いから、一気に2倍になるので、やはり戦いたいとすれば、それはできるとしているのが、2項ですね。最終的には、裁判で白黒できることになっています。
問題は、その間はどうなるかも決めておかないとマズイということでこの2項を見てみましょう。
決着するまで、とりあえず請求を受けたつまり借地権者が相当と思われる地代を支払っていけばいいとなっています。相当ですから、これまで通りのお金ではないと思います。しかも、少ないとあとで差額とそれに年1割の利息も付けないといけないことを考慮すると、争う以上20万円は合理的にみておかしいと思っているはずですから、そうでない地代をある程度さがしてきて、それを払うべきでしょう。
そうすると、10万円から20万円の間での金額であり、いろいろなアドバイスから、情報から、17万円程度なら合理的と思ったらそれが相当と認める地代でしょう。つまり、この額を支払っていけば、債務不履行とはならず、それを理由に解除などはできないことになりますね。
それで、裁判が確定しました。そこで、裁判では、16万円と18万円とで考えておきましょうね。
まず、条文では高い場合が書いてありますね。そうすると、この確定は、実は請求した時に遡ることがわかります。裁判が確定したときから18万円ではなく、請求したときだと・・。だから、請求した時から、差額の1万円が足りなかったから、それを返すこと、さらには不足時から年1割の利息も計算して返しなさいよ、といっています。
では、少なかった場合はというと、書いてありませんが、遡って16万円となることは同じだと思いますね。そうすると、今度は毎月1万もらいすぎですから、それは返すべきでね。それは、民法の不当利得が根拠として考えてばいいでしょう。
・・・・・・
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
・・・・・・
さらに、金銭の返還の場合には、さらに債務不履行とかその損害も民法の規定があり、それもみてみましょう。
債務不履行とするのはやりすぎですけど・・・。
・・・・・・
(金銭債務の特則)
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
(法定利率)
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。
・・・・・・
そうすると、今度は、この404条の一般的規定が適用されてもよさそうでうから、年5分の返還が必要になりますね。
ここまで、詰めなくてもいいのですが、いろいろ自分で考えていくと、このような壁にぶつかるので、書いてみました。
今は、増額請求ですが、減額の場合には、逆で、借地権者がこれまで月20万円だったのが、過疎化でまわりの土地の値段が不釣り合いになったとして、10万円の減額をした時を念頭に考えておけばいいのですね。
そして、それは安すぎるとして、相当とする地代を17万円として、考えておきましょう。裁判で16万円と18万円とに分けて、考えてみてください。
ここまで受験中に考えている人はほとんどないですね。条文を見て、よく理解せず、過去問を解いて、何となくできるので、まあいいか、と試験にのぞむ人が多いです。時間がないからですね。
でも、しっかり理解しておくと、確かに少しの時間はかかりますが、しっかりした力になりますので、どちらがいいかといえば後者の方がいいですね。
ということで、今回はこれで講義終了です。また次回をお楽しみに。
では、また。
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まず、条文をもう一度見てみましょう。
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(地代等増減請求権)
第十一条 地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。
2 地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
3 地代等の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等の支払を請求することができる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた地代等の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。
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では、今回は、この1項の請求権が発動されたら、どうなるかです。
一方的に、請求できますが、相手方がそれではどうしても納得できない、またはもう少し安いのではないか、など文句を言えるかということです。
2項では、増額したときのバージョンです。3項は、減額したときのバージョンですね。
具体的に考えると、Aが地主、Bが借地権者、これまで月に10万円の地代を30年近く支払ってきたとしましょう。しかし、ここらあたりは都市化が進み、もし今正規の地代を決めるときには、20万円でもおかしくない状況とします。
AがBに変更を申し込んでも、応じてくれません。ですから、Aは条文をもう一度読んでみたら(勉強熱心)、この権利を行使できることを知り、20万円にしてくれと行使したわけです。
Bにとっては、次回の支払いから、一気に2倍になるので、やはり戦いたいとすれば、それはできるとしているのが、2項ですね。最終的には、裁判で白黒できることになっています。
問題は、その間はどうなるかも決めておかないとマズイということでこの2項を見てみましょう。
決着するまで、とりあえず請求を受けたつまり借地権者が相当と思われる地代を支払っていけばいいとなっています。相当ですから、これまで通りのお金ではないと思います。しかも、少ないとあとで差額とそれに年1割の利息も付けないといけないことを考慮すると、争う以上20万円は合理的にみておかしいと思っているはずですから、そうでない地代をある程度さがしてきて、それを払うべきでしょう。
そうすると、10万円から20万円の間での金額であり、いろいろなアドバイスから、情報から、17万円程度なら合理的と思ったらそれが相当と認める地代でしょう。つまり、この額を支払っていけば、債務不履行とはならず、それを理由に解除などはできないことになりますね。
それで、裁判が確定しました。そこで、裁判では、16万円と18万円とで考えておきましょうね。
まず、条文では高い場合が書いてありますね。そうすると、この確定は、実は請求した時に遡ることがわかります。裁判が確定したときから18万円ではなく、請求したときだと・・。だから、請求した時から、差額の1万円が足りなかったから、それを返すこと、さらには不足時から年1割の利息も計算して返しなさいよ、といっています。
では、少なかった場合はというと、書いてありませんが、遡って16万円となることは同じだと思いますね。そうすると、今度は毎月1万もらいすぎですから、それは返すべきでね。それは、民法の不当利得が根拠として考えてばいいでしょう。
・・・・・・
(不当利得の返還義務)
第七百三条 法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。
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さらに、金銭の返還の場合には、さらに債務不履行とかその損害も民法の規定があり、それもみてみましょう。
債務不履行とするのはやりすぎですけど・・・。
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(金銭債務の特則)
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。
(法定利率)
第四百四条 利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、年五分とする。
・・・・・・
そうすると、今度は、この404条の一般的規定が適用されてもよさそうでうから、年5分の返還が必要になりますね。
ここまで、詰めなくてもいいのですが、いろいろ自分で考えていくと、このような壁にぶつかるので、書いてみました。
今は、増額請求ですが、減額の場合には、逆で、借地権者がこれまで月20万円だったのが、過疎化でまわりの土地の値段が不釣り合いになったとして、10万円の減額をした時を念頭に考えておけばいいのですね。
そして、それは安すぎるとして、相当とする地代を17万円として、考えておきましょう。裁判で16万円と18万円とに分けて、考えてみてください。
ここまで受験中に考えている人はほとんどないですね。条文を見て、よく理解せず、過去問を解いて、何となくできるので、まあいいか、と試験にのぞむ人が多いです。時間がないからですね。
でも、しっかり理解しておくと、確かに少しの時間はかかりますが、しっかりした力になりますので、どちらがいいかといえば後者の方がいいですね。
ということで、今回はこれで講義終了です。また次回をお楽しみに。
では、また。
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