高桑の社(やしろ)(4)
御鍬(おくわ)神社
高桑八幡神社の末社(まっしゃ、境内社)として、「御鍬神社」が鎮座している。縦横2尺余(約60cm余)の小さな祠(ほこら)であるが、氏子184戸とあり、高桑村にとって、この社の鎮座は意義深いとされる。
由緒不明とあるが、それは古い起源を持つという事でもある。その社名から容易に察せられるように、農耕神である。
既述の高桑水天宮が、「治水」を、当社が「農耕」を司(つかさど)って居り、高桑村民も古くから、この「水」と「土」の神を祀り、水と闘い乍ら、農耕に精根込めて来た姿が、目に浮かぶ。
当地方では、「御鍬祭り」という豊年を祈る祭礼行事が、行われていた事が、江戸から明治初年の記録文書で知られる。
当神社の祭神は、「豊受賣神(とゆけめのかみ)」とされている。「豊(とゆ)」は、美称であり、「受(け)」は、「食物」を表す古語・「食(け)」である。「賣(め)」は、「姫(ひめ)」の古語である。従って、「とゆけめのかみ」は、「食物女神」、延いては「農耕女神」となる。
伊勢神宮は、内宮と称する「皇大神宮」(祭神・天照大神)と外宮と称される「豊受大神宮」、その他の社から成る総称である事は、衆知の通りである。
処で、「豊受大神宮」の祭神こそ、高桑御鍬神社の祭神と同じ、「豊受賣大神」である。但し後者は、縦横2尺余の小祠であるが、前者は、此処で述べるまでもない規模の佇(たたず)まいである。
写真は、「高桑八幡神社」
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