本屋タカクラの日記

野良(放浪)書店員の日常 25年あちこちの書店で働いた元書店員で現在ライターのタカクラミエです。

人が人を殺さない世界(は、あるのかどうか。てか、あって欲しい。)

2005-10-30 22:14:44 | 
西原理恵子の「営業ものがたり」(小学館)
を読んだ。

だいたいは、サイバラのマンガがブレイクするためには
何をしたらいいでしょうか、みたいなギャグだが、その
あいだにはさまれている「うつくしいのはら」には
ふっとばされた。

東南アジアのどこかの国。こどもたちが原っぱで遊んでいる。
くさった兵士の死体があるよ、とこどもたちが大騒ぎ。
近寄るな、くさいよ、うつるよ、のろうよ。
と、こどもたちはかまびすしい。

1人の女の子が、兵士の死体に近寄る。
死体に話しかけ、何で兵士になったかを尋ねる。
「家族を守りたかったから」

そうじゃないね。
字を覚えなさい、言葉を学びなさい、と言われて育ったのに
学ぶ前に戦火が来て、言葉を覚える暇がなかったよ。

コンタクトゾーン

2005-10-23 03:32:08 | 
を図書館で借りて読んだ。(篠田節子)
政情不安な東南アジア地域に、海外旅行慣れしている
独身女性3人組が、リゾート気分で入り込み、内戦に
巻き込まれる、というお話。

この人の既刊
「弥勒」は、ポルポトをモデルにした小説を書いており
その続きともとれる内容。

ああ、だめだ。ちゃんと書けない。ので、続きはまた。

「ボーイズ・ビー」かなりイイ

2005-10-09 06:48:30 | 日常
なんと、あの「県庁の星」の桂望実さんの前作。
デビュー作である「ボーイズ・ビー」小学館
こいつはもうかなりイイです。

母親を病気で亡くした12歳と7歳の兄弟。
主人公は兄ちゃんで、弟が「母親が死んだ」という
現実を受け入れていない事をひどく心配している。
自分自身の悲しみを自分の中に押し込めて、それに
気づかないくらいに動転しているのに。

弟の絵画教室のビルの一室を仕事場にしている靴職人
のヘンクツな爺さんと主人公が知り合い、その交流の
中で、いろいろを学び変化する少年と爺さん。
もうこの兄ちゃんがいじらしいのなんの、でもしっかり
イマドキの小学生らしさもあり、うそくさくない。
そして作る靴は世界一、なのにヘンクツで人嫌いの
爺さんのキャラクターが立っている。

母親を亡くした兄弟に必要なのは、母親の代わり
(そんなものは誰にもなれない)でもなく、ごはんを
作ったり洗濯したりしてくれる人でもない。

「東京タワー オカンと僕と、時々オトン」が今年の1位
で、ちょっと別格なのだが、この「ボーイズ・ビー」は
2位に光り輝く、かも。