減圧をはかる。
選択肢は2つだ。。。人工肛門をつくるか、経肛門的なイレウスチューブを挿入
するか?どちらかをしないとこの人の大腸は破裂する。。。
カルテをみる。婦人科の癌はかなり進み、癌性腹膜炎の状態。しかも、術後、
脳梗塞を併発し、血をさらさらにする薬を投薬されていた。
別の病気でステロイドも投薬され、全身状態としては悪かった。手術に対して
リスクはかなり高いと考えられた。
内視鏡は空気を入れながら腸をふくらませ、腸の内くうを見る検査である。
圧がかかるので、腸が破裂する可能性がある。しかし、破裂しなければ、
全身麻酔、切開、出血といったリスクを避けることができ、この患者では、
まず、内視鏡的に経肛門的イレウスチューブを挿入し、減圧がかなわなければ
全身麻酔による人工肛門造設に踏み切ろうと考えた。。。
そのころには夜中の2時だ。。。
内科の先生には申し訳ないが、患者のためである。。。
他の小さな病院ではこうは行かないかもしれない。
外科でさっさと手術してしまって、簡単に人工肛門にしているかもしれない。
案の定内科の先生は寝ていた。状況を説明し、内視鏡の依頼をする。
スタッフをそろえ、準備をするのに1時間程度かかるという。。。
ひとりの患者をみるのに医者が4人。。。夜中に。。。
こういった実態を世間はしっているだろうか?うちの病院ではこの間の
給料はでない。。。そんな状況をもっと知ってもらいたい。。。
それはそれ。いまは目の前の苦しがってる患者のため、自分の身を守るため、
できるだけ、最大限のこと、最良のことを淡々と勧めていくことだ。。。
「お願いします。」電話なのに頭を下げ、お願いした。。。
つづく。。。