「来る」を川崎109シネマズにて観て来ました
数ヶ月前に劇場でかかった予告をみた際に面白そうだなと何となく思ってたんですが、チョイ役で登場してるという伊集院光がラジオにて、”ホラー界のシン・ゴジラなんじゃないか”…的な紹介をしていたのが決め手となってみることにしました
以下ネタバレ感想:
”二千年の長きに渡るまつろわぬ民の呪詛の声を聞け!”
…いきなり何だと思われたでしょうがw、これは「帝都物語」という小説において帝国陸軍の中尉でありながら陰陽師でもある、魔人・加藤のセリフです(細部は記憶違いかもしれません)
平成が終わろうとしてるこの時に、まさか昭和の終わりに読んだ小説に思いを馳せる事になるとはこの奇妙な符合に驚きですが(←考えすぎw)、今作「来る」の終盤の展開は実に意外で面白かったなあ( ゚∀゚)o彡゚
改めて思い返してみると ”ホラー” と呼べるシーンはそんなに無くて、主人公が妻夫木聡→黒木華→岡田准一へと変遷して行く三部構成の中で、まず妻夫木編にて様々な違和感や伏線をバラ撒き、黒木編では妻夫木の裏側というか実態が、そして岡田編(解決編)では総括的な謎が徐々に明かされていく構成はむしろ ”ミステリー” と表現する方が相応しかったかもしれません
人類史における ”普遍” と言っていい、”間引き” やら、”堕胎” やら、”虐待” といった哀しい ”家族の想い” が積もり積もって ”怨念” と化し、ラスボス的な存在となってしまったのが今作の世界観なのだと思いますが、一見するとどこにでもありそうな普通の夫婦関係や友人関係が壊れただけで、これ程の ”闇” が溢れ出てしまう展開は実に見応えありました
とことんアホだけど娘への愛情だけは本物だった妻夫木聡、幸薄そうでホントに幸薄いままだった黒木華、完全に狂ってるけど(妻夫木への)愛憎と執着が面白かった青木崇高、一番外見でまともじゃなさそうなのが一番まともだった小松菜奈、ワンパンでのされたシーンが一番印象的だった岡田准一(←ファンの方すんませんw)、完全に西尾維新のキャラだった松たか子、霊能者っぷり一等賞の柴田理恵、鮮魚部から店長に出世していた伊集院光と人間模様も様々でしたが、”子ども” からしたら周りの ”大人” を選べない(親も含む)不幸は最初から最後までどんよりしっぱなしでしたな…
ホラーではないと書きましたが、柴田理恵が演ずる霊媒師が ”もうこれからは闇の時代になる” 的なセリフを言っていて、妻夫木達の暮らすマンションに象徴される、親戚付き合いや近所づきあいどころか隣の住人が誰なのか顔すら知らない気ままな ”個” があっという間に ”孤” へと転げ落ちていく時代性みたいなのは見事に観客をゾッとさせたのではないでしょうか(゚д゚;)
そして終盤の ”解決編” の面白さは余りにも少年マンガ的でオレの好みにどストライクでしたw
ヒューマンドラマな決着要素も勿論面白かったんですが、伊集院光がラジオで ”シン・ゴジラ的な~” と表現していた、国家公認の霊媒師たちが登場して政府や行政が当たり前の様に周辺住民の避難やらお札による防御策みたいなのを講じてるシーンが面白くてたまらんかったですヽ( ̄▽ ̄)ノ
かつての「GS美神」や「うしおととら」、今も進行中の作品だと「双亡亭」や「物語シリーズ」などの現代社会とオカルト要素が普通に同居してる世界観って何でこんなに魅力的なんだろうw……全国から集結する松たか子の仲間達が次々と ”妨害” に遭いつつも、”一人でも多く辿り着くぞ” とあくまで冷静に振る舞う様とかもシビれまくりで、現代的なJK巫女さんたちも含めた血みどろの陰陽道バトルはまさに「帝都物語」の興奮をありありと甦らせてくれました
ただ、現代日本が誇る最精鋭のオカルト陣営は今回の事案で全滅してしまったようにしか見えなくて(松たか子自身の生死は不明ぽいですが)、どうやら柴田理恵のセリフはこうなる事(相討ち?)を見越していたって事なのかな……おそらく松たか子は式神とかもあっさり使えそうですしw、日本全国のいろんな事案をバッサバッサと解決しまくるスピンオフとか見たくて仕方ありませんσ(*´∀`)
追記:
ちょっと書き逃した事をば
妻夫木の後輩の太賀(←wikiみたら中野英雄の次男なのだそうでビックリ)についてはイマイチどう受け止めたらいいのかわからなくて、青木崇高が ”呪詛返し” みたいなのを食らったのとは別にただ ”悪意” に巻き込まれただけの運の悪いやつと片付けるのも微妙で気にはなってたんですが……そもそも青木崇高が妻夫木に執着していた ”底意” が描写されてなかったのと同じで、何かしら ”不誠実さ” に対して気に障るバックボーンみたいなのが家族や身内にあったのかなとか想像するしかないカンジですかねえ…
あとラストで誰もが虚をつかれたであろうw ”オムライスの歌” についてですが、”子ども” の立場とか視点とか感情の象徴的な意味合いを持たせていて、あのコがオムライスについて言及してたり歌ってたりしたシーンをちゃんと思い出せと ”大人” の観客に突きつけたのがあのラストだったのかなと……松たか子が相討ちとなったのかはともかく、怨念に ”勝利” などはしてなくて(出来なくて)、本質的には何の解決もしてないぞ同じようなことは何度でも繰り返されるぞ(実際繰り返されてるぞ)というホラー映画でもお馴染みの警鐘の意味合いも強いんだろうなとオレは解釈しました
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