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t-rockの…

毎日の適当な生活を。。。

遺作のタイトルが「名残り火」?

2008-06-01 23:05:39 | 読んだ本
名残り火 (てのひらの闇 (2))
藤原 伊織
文芸春秋

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昨年亡くなった、藤原伊織さんの遺作。
これが、また、すごい勢いで読ませる。

展開の描写が詳細だけどスピーディ。

サスペンスとして、結論が推定しやすい部分は
あったものの、映像を見ているような感覚で
読み進める自分にとっては、非常に読みやすい。


前作「てのひらの闇」がどっかにあるはずだから、
もう一度読み返してみよう。
なんとなくの記憶を甦らせながらなので、ちょっと中途半端。

前作を読んでから、続けて読んだほうが楽しめるかな。

★★★★

ずれた歯車

2008-05-29 22:55:20 | 読んだ本
タックス・シェルター
幸田 真音
朝日新聞社

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先日、ラジオ番組の対談本を読んでから気になっていた、幸田真音さんの小説。
日本国債とか、いろいろ書かれてるんだけど、
諸般の事情から、タックス系からスタート。

金に絡んだ、いろんな人間模様を描きながら、
「税」ってなんなの? という、みんなが心に
持っている問いかけが込められてる。

小説なんで、あまり抜いてもいかんのだけど、
主人公と中学生の会話に、著者の一番の問いかけが
盛り込まれている。

物語としても、やや強引な面はあるものの、
よくできている。

しかし、国税調査官に狙われると、
ちょっとやそっとではかわせそうにありませんな。
そんな雰囲気を、ちょっと感じることはあるんですが。

★★★

ニッポンのフランスパン職人

2008-05-26 23:21:26 | 読んだ本
ビゴさんのフランスパン物語
塚本 有紀
晶文社

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フランスパンといえば、芦屋ビゴ。その成り立ちと想いは、とても勉強になった。

「何度で何分という目安は教えることができても、感性は
 教えることはできない。それは感じ取るものだからだ。
 体で覚えるしか方法はないものだ。それがビゴの教えだ。」

「食は好き嫌いで片付けるのではなく、エクスペリエンスであると
 ビゴは語る。食に関してさびし環境に育った人の味覚の幅は
 どうしても狭くなるし、良い悪いの区別も付きにくい。
 (中略)
 美食を尽くせといっているのではもちろんない。何でも食べて
 みようという興味と幅広い経験が重要なのだ。」

「一回だけとてもよくできたパンを提供することはたいして難しく
 ないとビゴは言う。その品質を毎日毎日、変わらぬ状態で作り続
 けることが、真に大変なことなのである。」

「今の世の中、働くことが悪いことのように思われているとビゴは
 嘆く。人の手が作れる範囲はしれているから、そのぶん時間をか
 けてやっていかなければならないのだ。」

働くことに迷っている人なんかは、励みになる内容。
ちょっと下がったテンションを上げる役にも立ったし、
うちの若い人にも読ませたい。


ノーフォールト

2008-05-17 19:25:37 | 読んだ本
ノーフォールト
岡井 崇
早川書房

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これは、本当にフィクションなのかと思うくらい、リアリティ満点。

報道でも、最近の産婦人科、特に産科の惨状が取り上げられていますが、
この小説は、高い問題意識を持つ、医師でもある著者が、
一人の若手産科医が巻き込まれたトラブルと心の葛藤、
そして、仕事の過酷さを描いている。

産科医って大変なんだろうなぁという淡い理解が、
濃い理解に変わったし、小説としても、非常に良くできている。

手術のシーン、患者と接するシーン、裁判のシーン、主人公の心の動き、
いずれも、著者の経験を活かした臨場感で、冒頭から結末まで一気に
読ませる。

ラストシーン手前あたり、展開は想定できていたにもかかわらず、
電車で読んでて不覚にも目から。。。

最近、どうも、緩んでいていけません。
お腹じゃないですよ。

話を戻しますが、
ビジネス系以外で
久しぶりのオススメです。

★★★★★

原点の再認識

2008-05-16 23:09:18 | 読んだ本
株式会社の原点
久保利 英明
日経BP社

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面白いコラムの書籍化は、功罪あるけれど、この本は良い。

企業法務で名高い久保利先生が書かれた、日経ネットでのコラムが
まとめられている。
弁護士としてあれだけの仕事をしながらのコラム執筆なんて、
とても大変だろうと思いながらも、かなり鋭い視点で書かれていた
ものがまとまっているだけに、読み応え十分。

なぜ今内部統制なのか、よくわからないわたくしでしたが、
これを読んで、いくつかの疑問が氷解。

「コーポレートガバナスとは、取締役会による経営者への監視や、
 経営者のステークホルダーへの説明責任により社長が裸の王様に
 ならないようにする仕掛けなのである。」

「内部統制は、部下が違法行為を重ねた結果、企業と経営者本人が
 奈落の底に突き落とされることを防いでくれる命綱である。(中略)
 「survive」するのは、倒産を免れた企業であり、株価低落を免れた
 株主であり、雇用喪失を免れた従業員であり、退任と敗訴判決を
 免れた社長本人である。」

「最高の企業防衛策は企業価値を高めることなどというのは、
 アービトラージャー対策にすぎず、企業価値を高めた結果、
 格好のシナジー相手として買収の対象とされるのである。
 その意味で、適切な買収防衛手段を保有しなければ、割安な
 価格で買われたり、企業価値を損なうこともあり得る。」

なんで内部統制に取組むのか、うちの会社としても、もう少し
わかりやすい説明が必要ですね、きっと。

そして、
「会社は誰のものか」から「会社は誰のために」へ。

序章に書かれたこの言葉。
大切にしていきたいと思います。

★★★

野蛮人のマナー?

2008-05-15 23:15:43 | 読んだ本
野蛮人のテーブルマナー
佐藤 優
講談社

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最近、著作が続々と登場していますが、こいつはちょっと疑問。

テーブルマナーというよりも、酒の席でどうやって相手から
情報を得たり、こちらの思いを伝えたりするかを、外交官的な
方法でレクチャー(!?)されているんですが、

これまでの著作を焼きなおしただけのように思える。
新鮮味がまったくない。

インテリジェンスと呼ばれる世界を、AV業界に例えた対談の
くだりは、比喩としてわかりやすかったけど。

たくさんの著作を読んでいるだけに、ちょっと残念。
無理に書かされたんだろうかと思ってしまうくらい。


表と裏

2008-05-13 23:52:05 | 読んだ本
ウォルマートに呑みこまれる世界
チャールズ・フィッシュマン
ダイヤモンド社

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「安さ」を付加価値としたスーパーの表の面と裏の面がうまくまとめてある。

うまくまとめたうえで、トーンとしては全否定。
「安かろう」を追求した結果、得られたものと失ったものが比較されていて、
本当に顧客のためになっているのか、考えさせられる。

「サム・ウォルトンが大事にしていた価値観は、いまやその本質が逆転し、
 この価値観が時には搾取のみならず違法な行為まで引き起こすように
 なっている。とすれば、それはどんなに素晴らしいカルチャーであっても
 常に自らを問いただし、その価値観によって引き起こされる結果を
 吟味していかなければならないことを意味している。」

「サウスウェスト航空は、ただ安いだけではない。楽しいのだ。
 ウォルマートも安いだけではない。ただしサウスウェスト航空とは逆だ。
 買い物に行けばいらだつこともあるし、いらだちを感じないまでも、
 面白みなどは感じない。」

そして、
雇用があるから消費がある。消費があるから設備投資がある。
この循環が断ち切られた場合の恐ろしさが伝わってくる。

どんどんイオンに集約される日本の流通に懸念を持ちながらも、
この文化を日本に持ち込もうとして、西友で失敗しているだけに、
極端には消費者の性向はぶれないんでしょうかね。

この本を読んで、「付加価値」の置きようが、企業にとって
必要であることを再認識できた。

んで、チリ産のサーモンを買うのは、とてもためらわれるように。

★★★★

「の」と「と」の違い

2008-04-22 23:58:17 | 読んだ本
私のマルクス
佐藤 優
文藝春秋

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佐藤優氏の自叙伝なんだけど、難解さは折り紙つき。

冒頭に、タイトルを「私とマルクス」とせずに、
「私のマルクス」にした理由から入る。
内容は、この方が、役人として外務省に入るまでの自叙伝。
正直、2割すら頭の中に入ってきた自信もない。

内容は理解できなかったけれど、自分のために、
これくらい考える時間を取るということがすごい。

最近、大学のときに、もう少し性根を入れて勉強して
おけばよかったと思うことがある。

この本を読んで、もう一度、基礎知識を叩き込んで、
その上でしっかりと考えることができるようになりたい。

★★

アイドルといえばアイドル。

2008-04-21 23:20:43 | 読んだ本
ぼく、ドラえもんでした。涙と笑いの26年うちあけ話
大山 のぶ代
小学館

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ぼくら世代から下の方々は、この方の認知度は100%でないのかな?
タイトルも、彼の良く使っていた言葉が過去形にしてあるし。

ついつい、手に取ってしまった。

いろいろと大変だった裏話が満載なんだけど、
それよりも、彼に対する愛情が伝わってくるようで。

テレビ版のスタートが1979年。わしが7歳のときですね。

そして、初めて映画館に映画を見に行った(だと思う)、
「ドラえもんとのび太の恐竜」がその翌年の1980年。
あの時の記憶は、今でも頭の中に残ってますね。

この本を読んでいると、いろんな昔の記憶が甦る。
そして、なんとなく、心地よい感じ。

★★

カフカくんの心情

2008-03-11 23:56:34 | 読んだ本
友人のススメで、「海辺のカフカ」を読んでみた。

村上春樹の小説というのも久方ぶりである。
「ノルウェイの森」を読んで、合わないと思ってから
十年以上たつんだろうか。

食わず嫌いもよろしくないので、チャレンジしてみた。

ビジネス本と違って、ネタバレはよろしくないので、
深くは書けない(書くつもりもない)。

ストーリーには引き込まれる。
冒頭の入り込みには苦労したけれど、
一度話が動き出すとやめられない。

しかし、出てくる表現が難しいことこの上ない。
私には、ちょっと理解できない言い回しが多数。
理解が完全にできないけれど、それでもなんとなく
ニュアンスを含みつつ、読み進めていくしかなかったりして。

全体のストーリーは把握できたので、
もう一度ゆっくりと読んでみようかな?
そうすると、わかるようになるかな?