徘徊オヤジの日々是ざれごと

還暦退職者が、現在の生活と心情、そしてちょっとした趣味について綴ります。

クワガタムシのかしらとスイカ・・・17

2016-10-30 13:05:33 | ・クワガタムシのかしらとスイカ
「さあて、それはどうですかね。サガメ様がおられない間にクワガタ界のみんなは私に忠誠をちかっております。今さらあなた様がかしらになるといっても、みんなが承知しないでしょう」

「ふん、どうせそんなことだろう。おまえはかしらの座を返す気なんぞないのよ」

 ガシイは何もいわずにふてきな笑いを浮かべているだけだ。

「よし、それならおれともう一度たたかって、どちらがクワガタ界の真の支配者なのか決着をつけようじゃないか。おまえは忘れてしまったわけではないだろう。やっと暑い夏になって、くさった木の中の長い生活から、ようやくはい出てきた日のことを。そしておきてに従って、クワガタ界のかしらの座を争ってたたかい、おまえはおれに敗れたことを」

(クワガタムシのかしらとスイカ…18)に続く…

北海道の里山をあるく・・・106

2016-10-26 09:02:54 | 北海道の里山をあるく
岩見沢市-新篠津村・上幌向(かみほろむい)付近の沼

 先日は北村温泉近くの沼を見てきましたが、その少し南のJR上幌向駅から新篠津村にかけても大小の沼や湖が点在しています。

 地図で見ると、やや大きなしのつ湖を含め、鮒沼や長沼や猫沼など大小9つの沼があり、そのほかにも、石狩川右岸の河川敷には無数の小さな沼が認められます。

 それぞれの沼へ足を運びましたが、豊かな水をたたえた沼もあり、すっかり原野に変わっているところや沼の上に大きな橋がかけられているところもあって、まったく様々でした。

 岩見沢大橋の下流で石狩川の右岸はゴルフ場となっていて、河川敷の沼の一部はゴルフ場内の池になっていました。

 帰りは新篠津交通のバスで岩見沢まで出ました。


駅北東部の沼


ここにはたくさんのカモたちが


橋の下になった大沼


しのつ湖


←2万5千分の1地形図「上幌向」より

←このあたり

クワガタムシのかしらとスイカ・・・16

2016-10-22 08:04:04 | ・クワガタムシのかしらとスイカ
 おれは泉のそばで待った。怒りで体はふるえていた。泉にやってくるのはチョウやコガネムシばかりだ。クワガタはちらっと姿を見せても、2匹を見ると足早に去っていった。

 そしてついにガシイがやってきた。においでわかる。忘れもしない、あの強れつなけもののようなにおいをかくさずにふりまいているのはガシイだ。

 ガシイはゆっくりとサガメの前に現れた。2匹は何もいわずに向かいあったままだ。

「久しくかがないにおいだと思ったら、これはこれはサガメ様ですか」

 ガシイが先に口をひらいた。いんぎんないい方だ。

「たいそうな身分になったんだってな、ガシイ。女たちもみんな従えているんだってな」

「サガメ様のるす中、クワガタ界を乱すまいと思って、とりあえず私がかしらになっていただけです」

「心にもないことをいいおって。それならおれが帰ってきた以上、かしらの座を返してもらおうか」

(クワガタムシのかしらとスイカ…17)に続く…

北海道の里山をあるく・・・105

2016-10-18 07:44:09 | 北海道の里山をあるく
岩見沢市・北村温泉付近の沼

 岩見沢市の北西部・石狩川および旧美唄川の流域で、北村温泉付近は数え切れないほど多くの沼が点在している地域です。

 この日は温泉近くおよびその西側にあるいくつかの沼を見て、石狩川の近くできれいな三日月の形をした雁里沼(かりさとぬま)まで歩きましたが、温泉付近の沼はきれいに整備されていても、ほかの沼は湿地帯となっていたり、埋め立てられたりして、あるはずの沼が見当たらないことがいくつもありました。

 またこの日は小春日和でとても暖かく、釣りを楽しんでいる人が大勢来ていました。

 雁里沼近くの鏡沼(があったところ)には石川啄木の歌碑が建てられていましたが、何か足跡を残していたのでしょうか。


温泉近くの沼


雁里沼


←2万5千分の1地形図「市南」「上幌向」より

←このあたり


クワガタムシのかしらとスイカ・・・15

2016-10-14 08:09:31 | ・クワガタムシのかしらとスイカ
「何! 眼中にないだと!」

 おれは思わずアゴをふり上げた。

「いえ、あたしがいったんじゃありません。女の方がそういっておいでで」

 おれはふり上げたアゴをゆっくりおろしたが、怒りはおさまらない。

「どこだ、ガシイは! どこにいるんだ。おれが直接話をしてやる。おれがもどった以上、クワガタ界のかしらはこのおれだ。え、ガシイはどこにいるんだ!」

「今はたぶんどこかの木かげで休んでおられることでしょう。日の沈むころになるといつもこの泉にきてお食事をなさいますから、もう少しお待ちいただければ必ずやってきます」

 今すぐ会いたいのはやまやまだが、森じゅうさがすわけにはいかず待っているしかない。

「あたしはもういいですか」

 貧弱なやつがおどおどしながら聞いてきた。

「わかった、もういい。とっととうせろ」

(クワガタムシのかしらとスイカ…16)に続く…