徘徊オヤジの日々是ざれごと

還暦退職者が、現在の生活と心情、そしてちょっとした趣味について綴ります。

北海道の里山をあるく・・・23

2014-12-27 06:03:23 | 北海道の里山をあるく
札幌-石狩市・茨戸

 ふだん私が歩いているような小道はいっさい除雪されていないので、このごろは郊外まで行こうという気になりません。また冬道はとても時間がかかるので、あまり長いルートははじめから予定しないことにしました。

 札幌市街を東西に分ける創成川通をさらに北上すると石狩市にいたりますが、この境界のあたりは茨戸川(旧石狩川)に、創成川、伏龍川、発寒川という比較的大きな川が注いでいる面白いところです。

 たくさんの橋がかかっていて(数えてみるとこの付近に9本の橋がありました)、茨戸川には、川中に道路もあり(道道508号線・まるで沖縄本島から平安座島にいたる海中道路のような)、途中には中島にいたる橋もあって、まるで利根川下流域の水郷地帯を思わせるところです。

 この日は寒い日でしたが久々に雪がふっていないので、出かけてきました。


茨戸福移橋から見た伏龍川


茨戸大橋から見た茨戸川


←昭文社発行1万5千分の1スーパーマップル「北海道道路地図」より

←このあたり




あらしの夜明け・・・54(第4章・・・1)

2014-12-23 04:48:02 |   (第4章 故郷の村)
第4章 故郷の村


2009年とかぷち第24号掲載予定作品(発刊されず)
2014-15年一部改変


 ニムシリ村とラサン村の双方が緊張を高めつつあるとき、マトナはアペという初老の男といっしょにカムエク村からニムシリ村へと向かう山越えの道をひたすら歩いていた。アペはモノブの信頼が厚く、留守中、長老とともに村をまかされていた男だ。

 25名の援軍が出発したあと、マトナは毎日いても立ってもいられなかった。

 タカトはいくさをやめさせるために行くのだといっていたが、村と村の対立の根は深く、グズリたちは血気さかんだ。簡単にできることではない。

 本当にいくさになったらどうなるのだろう。相手は自分たちより、ずっとすぐれた道具をもっている。きっとたたかいの武器だってずっと強力だろう。ただ人数がまさっているだけで勝てるとは思えない。

 それにもしそうなったら、タカトはどうなるだろう。『もしいくさになったら、私両方からねらわれる。たぶん生きては‥‥』といっていた言葉が、マトナの胸に深くささっていた。タカトが死ぬ。そう思っただけでマトナの胸ははりさけそうになるのだった。

(あらしの夜明け…55)に続く…

北海道の里山をあるく・・・22

2014-12-18 04:06:14 | 北海道の里山をあるく
札幌市・琴似発寒川に沿って

 とうとう雪のシーズンになりました。冬の札幌は雪の日が多く、この日も晴れるとの予報だったので出かけたのですが、ずっと雪が降っていました。

 十勝では冬の間も車で現地まで行って、歩くスキーやスノーシューを用いて道なき道を進んでいたのですが、札幌での移動手段はバスや列車なので、そこにこうした用具を持ち込むのは(昔とちがって)はばかられるので、すべて処分し、札幌では除雪された道を歩くことにしました。

 しかし実際には小さな道はまだ除雪されておらず、車や歩行者の踏み跡もあったりなかったりで、通れそうな道を行ったり戻ったりし、また雪道はとても歩きづらく時間もかかって、この日も小別沢の方まで行く予定だったのを断念し、途中から街の方へ戻ることにしました。

 それでもこのあたりは「発寒川緑地」として整備されており、歩くスキーを楽しんでいる人もいて、春になってからまた訪れてみたいと思いました。


琴似発寒川


三角山に続く右岸の山並み


←昭文社発行1万5千分の1スーパーマップル「北海道道路地図」より

←このあたり



老いの日々・・・13

2014-12-13 04:42:50 | 老いの日々
原動力

 「老いの日々」と称して本欄に記すのは今年9月以来のことだ。エッセーとしてそれなりの文章にまとめるには、日常の生活でいくらかでも心にひびく事柄がなければならないのだが、このごろの私は、引っ越しでバタバタしていても、とても心が動くものとはいえないので書こうという気にならないのだ。

 ブログを始める前(つまり現役で働いていたころ)は、20年以上も新聞に拙文を寄稿していたのだから、(こうした文章をつづることにはもう慣れていて、これからも同様のペースで続けていけるだろう)と思って、本欄を設けたのだった。

 しかし実はそうでなかったことが、このごろようやくわかってきた。

 現役のころは仕事を通じて多くの刺激を受けており、患者のことをはじめ、家族や地域社会との関係などさまざまなことを考えないわけにいかなかった。また退職してしばらくは新しい生活に心を動かされることも多く、はからずもこのことがエッセーを生み出す原動力となっていた。

 しかしいま私が多少とも心を動かされるのは、私の家族のことや趣味のことであり、ともに日々そんなに変化するものではなく、文章にしづらいこともある。ときにマスコミを通じて社会の問題に目を向けることもあるが、いずれも心に深くひびくものとはなりえない。

 それだけ刺激の少ない世界に生きるようになったということで、それは決して悪いことではないのだが、エッセーを生み出す原動力とはなりえない。

あらしの夜明け・・・53(第3章・・・14)

2014-12-09 06:20:33 |  (第3章 再会)
 人々の圧倒的な総意でもっていくさが決定された。ときは明日すぐ。太陽が真南にたっしたとき、いっせいに攻撃の開始だ。作戦はスクとグズリが中心になって進められた。

「ところでモノブ殿はどうされるのかな。もうお年だから、村でゆっくりされておられるかな」

「何をいう。私は援軍のかしらだ。いくさとなれば、先頭に立って突きかかるまでだ」

 いくさをさけることはできなかった。だがいざたたかいとなれば、何としても負けるわけにはいかないとモノブは考えていた。

「ところでタカトはどうするのかな」

 グズリがふりむいたが、タカトの姿はどこにも見えない。

「やつらのところに行ったにちがいない。おらたちの作戦を知らせに行ったのだ。やっぱりあいつはやつらの仲間なのだ。とうとう本性をあらわしたな。スク殿、どうしましょう」

「放っておくがいい。わしらは夜襲をかけるわけではない。正々堂々と正面からぶつかっていくのだ。作戦など知られても心配にはおよばない」

 スクは自信たっぷりにこういいはなった。

(あらしの夜明け…54)に続く… 第3章…終