(ふん、言葉がわからないと思って、本当は何をいっていたかわかったものじゃない。何といってもあいつはやつらの仲間なのだから)とグズリは思ったが、口にはしなかった。
「こうなったら殺し合いでも何でもかまわない。たがいに命をかけてたたかうまでだ」
「森を焼かれ、すぐそばの谷をあらされてだまっている手はない」
「やつらはわしらをばかにしているんだ。わしらの決意のほどを見せてやる」
村の者たちは口々にこういって、すでに話し合いの大勢はいくさに傾いていた。モノブは何とか全面対決だけは避けられないものかと考えていたが、かといって妙案があるわけではない。
「やつらは白いヤリのほかにも、強力な弓矢や、身を守るよろいや、相手の攻撃を避けるためのたてももっているという」
「それはタカトがいったまでのこと、信用できん。だがやつらがたとえどんな武器をもっていようと、わしらの兵力は双方の村を合わせると40人、やつらの戦力はせいぜい20人だ。負けるわけがなかろう」
「それに神もわしらをお守りくださるじゃろう。やつらはもともとわしらのものだった天と地をかすめとったばかりか、森を焼き、死者をはずかしめた者どもだ。そんなやつらに神が味方するとは思えん」
「の半年の間、わしらはどんなに耐えしのんできたことか。だがそれももう終わりだ。わしらにもがまんの限度があることを教えてやる」
村の者たちは次々と勇ましい発言をする。
(村の人たちは必死なのだ。だがもっと必死なのはむしろ彼らの方だ)
タカトはこう思っていたが、何もいわなかった。モノブもそれ以上はいえなかった。
「こうなったら殺し合いでも何でもかまわない。たがいに命をかけてたたかうまでだ」
「森を焼かれ、すぐそばの谷をあらされてだまっている手はない」
「やつらはわしらをばかにしているんだ。わしらの決意のほどを見せてやる」
村の者たちは口々にこういって、すでに話し合いの大勢はいくさに傾いていた。モノブは何とか全面対決だけは避けられないものかと考えていたが、かといって妙案があるわけではない。
「やつらは白いヤリのほかにも、強力な弓矢や、身を守るよろいや、相手の攻撃を避けるためのたてももっているという」
「それはタカトがいったまでのこと、信用できん。だがやつらがたとえどんな武器をもっていようと、わしらの兵力は双方の村を合わせると40人、やつらの戦力はせいぜい20人だ。負けるわけがなかろう」
「それに神もわしらをお守りくださるじゃろう。やつらはもともとわしらのものだった天と地をかすめとったばかりか、森を焼き、死者をはずかしめた者どもだ。そんなやつらに神が味方するとは思えん」
「の半年の間、わしらはどんなに耐えしのんできたことか。だがそれももう終わりだ。わしらにもがまんの限度があることを教えてやる」
村の者たちは次々と勇ましい発言をする。
(村の人たちは必死なのだ。だがもっと必死なのはむしろ彼らの方だ)
タカトはこう思っていたが、何もいわなかった。モノブもそれ以上はいえなかった。
(あらしの夜明け…53)に続く…