以前にも書いたのだが、Mochaさんは石垣島に暮らす方。
ベランダから広々と見渡せる、石垣島の青く広い空と海。海辺での磯遊び、ご自宅の緑の多いお庭のガーデニング、石垣島の自然、響く野鳥の声、メインのパン作りと自家焙煎のコーヒー等など。
動画を見ていると、慌ただしくせせこましい自分の雑多な生活を一瞬忘れる。
楽しいパン作りの行程、美味しそうな食卓、こちらに香りまで感じられそうなMochaさんのコーヒー。BGMの選曲もとても良い。そして時折見られるおちゃめなMochaさんの行動にほっこりする。
言葉少なくさらりと語られるMochaさんの人生哲学。すんなりと心に受け止め、共感する。
美しい映像、音楽、Mochaさんのつぶやき、それらすべてが相まって、何とも言えない心地よさにとても癒やされる。心のマッサージとでも表現したくなる様な、そんな気分。
ブログのコメントをのぞいてみると、国内だけでなく、国外の方のコメントもある。Mochaさんのファンは世界中に居るようだ。それほど魅力的な人であり、ブログ動画なのだ。
そんなMochaさんがエッセイを出版した。ああ、いつか読んでみたい、そう思っていた。
10月の終わり、友人から連絡があった。コロナも以前ほどの脅威では無くなり、落ち着いてもいるので会おうというお誘いだった。
名目は、だいぶ時間が経ったが、私の退職祝いをしたいということだった。私が新しい仕事を見つけたことを伝えると、再就職祝いもしてくれるという。ありがたいお誘いだった。また、丁度友人の誕生日の翌日でもあったので、私は彼女の誕生日のお祝いをすることにした。
友人は、札幌では老舗のフランス料理店、「フレンチレストランカザマ」のランチの予約をしてくれた（現在店名は「ブラッスリ風間」に変わっている）。
かなりご老齢のご夫婦が営んでいるお店なので、ランチの営業がお身体の負担になられるのだろうか、その日でランチの営業をやめ、ディナーだけの営業にされるということだった。記念すべきラストランチの日。2022年10月31日。
地下鉄西11丁目駅で降りて、前に来たときの記憶をたどりながら住宅街の中に入っていくと、何とか見つけることが出来た。小さなお店だ。
娘が大学を卒業した時、お祝いに娘と来たのが最初。お料理も美味しく、雰囲気もとても素敵だったので、その後友人を誘って訪れたお店。今度は、逆に友人が誘ってくれた。
お店はいつも繁盛している。テーブルは6卓ほど。こじんまりとした店内だが、大変居心地の良い空間だ。
ランチコースと思えないほどのリッチな内容に舌鼓を打ちながら、積もる話に花が咲いた。
そこで、彼女が色々と私にプレゼントをしてくれたのだが、その中にMochaさんの「今日もコーヒーを淹れて」の一冊があった。タイムリーなプレゼントが、とても嬉しかった。
ブログ動画と同様に、本も心地よく読み終えた。
Mochaさんは単独の男性と思っていたけれど、ブログ制作はご夫婦でされているので、どうやらご夫婦二人で“Mochaさん”ということらしい。撮影担当が奥様だ。とても仲の良いご夫婦のようで、その家族関係の良さ、幸福感が映像にも本書にも表れるのだろう。こちらも幸福になる。
レストランで友人と話した時に、Mochaさんは理想の旦那様だと意見が一致したのだった。もちろん、あまり画面上には出て来ない奥様もまた、素敵な方に違い無い。
ブログ動画に惹かれたのは、パン作りの行程の楽しさもあったが、私が心底引かれたのは、彼らの生き方だったようだ。
精神的にも物質的にも、無理のないシンプルな生活。物に囲まれた生活から、不要なものを削ぎ落とし、スッキリとした負荷のない彼らの生活への憧れ。そして、家も家具も食器も趣味が良くて、オシャレで素敵だ。何より遊び心があるのが良い。
ブログ動画を見て、本を読んで、どちらにも明るく爽やかな石垣島の風が吹いているような、そんな心地の良さを味わっている。
とはいえ、常夏の島は湿度が高いことから、あっという間にカビがはびこるという事実も知った。私のような無精者が住んだとしたら…考えるだに恐ろしい。
Mochaさんの生き方、考え方、それは半世紀を生きてきて、たどり着いた「ベスト」なのだろう。いや「ベター」なのか…。さらにベストを目指し、モアベターへと進んでいくのだろう。肩肘張らずに…。
本の最後のページを閉じ、心地よい余韻を感じながら、自分の現実へと目を移す。
ワーストな私の生活空間。Mochaさんの気持ち良い生活空間を感じた後に引き戻される現実は、厳しい。
Mochaさんを目指せ！物を減らせ！
嗚呼、大掃除をしなければ。
