暖かな秋の日差しに照らされながら遊歩道に入った時、夫が、こうして私と一緒に歩ける幸せを感じるというようなことを、唐突に言った。
一瞬うれしく感じたけれど、言葉の真意は別のところに有るのだと感じた。
日頃ワイドショーとニュースを中心にテレビを視聴する夫は、連日報道されるガザの瓦礫と硝煙の中で血を流し、叫び、怒り、絶望に慟哭する人々を見続けている。
当然同じ空間にいる私も同じ映像を目にしているのだが…。誰もどうすることも出来ないこの現状に、鬱屈した気持ちだけが積み重なる毎日だ。
そんな中、戸外に出てお日様の陽光を浴び、のんびりしていると、日本の平和をしみじみとありがたく感じる。
天神山まで歩くと、艶やかな紅葉の赤が映える景色が広がっていた。こんなに鮮やかな紅葉は初めてだ。何年も住んでいるのに、気づかなかった。この時期に天神山に来たことがなかったのだな。

国道に出て見ると、相馬神社の大きなイチョウの木の下は黄色い落ち葉が溜まっていた。その合間に銀杏の実が落ちていたので、お正月用に拾った。


そのままスーパーへ向かい買い物をして帰宅した。
何の変哲もないこんな一日が、平和で、ありがたく、幸せな日であることを、つくづく感じる。
この平和がずっと続きますように。
そして、世界が平和になりますように、と祈る事しか出来ない。