昼食は、セバスチャンのカリプソキッチンで軽く「ソーセージとベーコンのピザ」を食べた。具がたっぷり乗って、安くて美味しいピザだった。
アンダー・ザ・シーの曲が流れ、魚の提灯やクラゲの装飾が色とりどりで幻想的な美しさ。そんな景色を眺めながらの楽しい昼食となった。
待ち時間の少ないアトラクションから攻めていたが、遂にあの大人気アトラクションへと歩みを進めた。
50分待ちの「ソアリン」。
今回、ディズニーシーの予備知識ほぼ0で臨んだ。それは、17年ぶりの飛行機に一人でちゃんと乗れるか、ということにとらわれすぎて、事前学習まで頭が回らなかったというのもあるが、そもそも初めてのことを予備知識無しで“驚きたい”という願望もあった。
SOARINGは“滑空”という意味らしい。
ほぼ5分の世界旅行。ただでさえなかなか行けない外国。ましてやコロナ禍の現在はなおさらだ。それを一気に解消してくれる世界の空の旅。
この体験と感動は、夫にも体験させてあげたいなあと思った。
現在のディズニーシーの入場料を聞いてその高さに驚いたけれど、ソアリン体験後は、娘も言っていたが、入場料を払っても惜しくないほどだ。
会場内では、スタンディングオベーションや拍手が少なからず起きる。万人が感動できるアトラクションなのだ。
ドリームフライヤーという空飛ぶ乗り物に乗る設定で、シートはABCの3列ある。1度目はA列のシートだった。感動の初体験だったのだが、若干景色が歪む事に途中で気がついた。それを知っている娘は、2度目に乗る時、B列がベストポジションである事を教えてくれた。B列のシートは位置が中央なので、視界が最大限に生かされ、1度目は見えなかったものも良く見え、景色も完璧だった。
一体誰がこんな素敵なことを考えたのだろう。館内にいながらにして、旅ができる。風に吹かれ、雲の中を、雪氷の大地を滑空し、鼻孔をくすぐる草の香りと象の群れ…なんて素晴らしい体験なんだろう。
息子と娘が私に強く勧めてくれたように、誰かに勧めたくなるようなアトラクションだ。
待ち時間を考えると、この大人気アトラクションを体験するには、平日がおすすめだ。
その後、「海底2万マイル」のアトラクションへ。小型潜水艇に乗って、海底探査。少し地味なアトラクションだが、静かな海底の眺めも悪くはない。
SFの父、ジュール・ベルヌの作品は昭和世代の子供達に多くの夢を与えてくれた。子供の頃に映画「海底2万マイル」を観た。このアトラクションは私の世代にひびくものだ。
子供達と私が好きな映画「トイ・ストーリー」のアトラクションも超人気だった。この日、一時は350分待ちを表示した「トイ・ストーリー・マニア!」。
私達が並んだときは45分待ちだった。
3Dメガネをかけて挑むシューティングゲーム。
最初は小型砲の紐を引っ張り、のんびりと的を狙っていたが、同乗者と対戦形式になっている事を行程の後半で気付いた。
何と、娘に数千ポイント負けている。一気に本気モードへ。一箇所終わるごとに、娘のポイントをチェック。なかなか追いつくことが出来ずに焦る。最後の的では、老体のフルパワー全開!紐をこまめに引き高得点の的を狙う。娘は腕の筋肉の疲労にうめいていた。ラストシューティング終了。ポイントはわずかに娘を上回り、私の勝ち。ヤッター!
しかし、その裏で老体の体の中ではとんでもないことが起こっていたみたいだ。ゲームが終わった途端、錐揉み的な胃痛と突然の激しい頭痛。日頃頭痛と無縁の私なのだが、興奮して一気に上がった血圧で、毛細血管の1本でも切れたのだろうか。
娘の前では何気ない風を装っていたが、その日一番の危機的状況だった。文字通り「年寄りの冷や水」。
幸いなことに、アトラクションのカートを降りる頃には収まったが、無理はできない年齢であることを思い知らされた。
でも、今回はレースに出遅れて、いきなりトップギアに入れたのがまずかったのだ。次回は、出足から大差をつける意気込みで娘と再戦だ!
その後、娘がネットで知ったというキャラクターのスイーツを探しに行った。
キャストの方に尋ねて、ニューヨーク・デリで売っていることが分かった。
それがこれ。トイ・ストーリーでお馴染みの「リトルグリーンまん」。
中にクリームの入ったお餅。味は3種類。カスタードクリーム、チョコクリーム、イチゴクリーム。何れも美味しかった。
晩ごはんは冷製パスタとピザで済ませ、最後のアトラクションへ。
夕方6時頃になっても、まだ人の行列が絶えない大人気アトラクション「タワー・オブ・テラー」。私が最後の最後に目指した絶叫系アトラクション。待ち時間45分。娘は乗らないので、他の所で待つことに。
大富豪のハリソンハイタワー三世がオーナーのホテルハイタワー。
ロビーには朽ちて枯れ果てた花が今も当時のまま、円形ソファーの背もたれ中央部分に置かれている。古びた壁一面には、ハイタワー三世の骨董品蒐集の旅の様子が描かれた絵画。
持ち帰った骨董品の中に呪いの偶像があり、ハイタワー三世の失踪につながった。それを告げる新聞らしきもの等も飾られてリアルだ。
アトラクションのテーマに不可解な事件が絡み、いやがうえにも恐ろしい雰囲気が盛り上がる。
至る所に置かれた骨董品の数々。エジプトのミイラの棺、巨大な黒いアヌビス神?の像。ミイラ作りの際に使用する内臓を入れるカノプス壺などなど。壁際の戸棚の中には大量の古びた品々が収められていたが、行列から遠ざかるのでじっくり見ることが出来ずに残念だった。いわく有りげな品々は魅力的で、なんぼでも見ていられるのに…。
とにかく待ち時間が長かった。アトラクションの一部が始まっても、要所要所で待たされた。
やっとエレベーター内部に着席し、シートベルトは乗用車と同じタイプのものを装着。上昇したエレベーターが落下するのは承知していたが、“落下が途中で止まり再び上がる状態”が2~3度繰り返される。
落下するだけだと思っていたので、ちょっと意外だった。それが恐怖を楽しめるかというと、私にはさっき食べたピザと冷製パスタが、胃袋の中で上下しているのを感じられるだけだった。
朝から遊んでいたので、老体にはこたえるアトラクションだったのかも知れない。
これに似た単純な乗り物で「フリーフォール」というアトラクションが北海道のルスツリゾートにある。40年ほど前に乗ったことがあるのだけれど、単純に落ちるだけのこちらのアトラクションの方が、私にとっては気持ち良く怖い。
この日の万歩計は15,000歩を超えていた。午前9時から午後7時まで、体験したアトラクションは12種類。複数回乗ったものも3種類。平日ならではの体験数だったと思う。
64歳「まだまだ行ける」と今後の体力の自信につながった1日だった。
混雑を避け、早めにディズニーシーを後にし、本日の宿泊先、娘の家へと向かった。