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78枚のタロットカード、シャッフルがだんだん面倒になってきたこの頃。

獅子の時代

2012-06-19 23:30:14 | 雑記

台風の低気圧と湿気で我が体は苔むしたみたいにドンヨリとなって丸2日間。
歯科の予約もキャンセルして、この時間でやっと元気が復活。
庭では植木鉢3っつとラティスがぶっ飛んでいた。

 

今うちの方のケーブルテレビで「獅子の時代」という番組が放映されている。
1980年のNHKの大河ドラマで、タイトルは記憶にあるけど見た事はなかった。

パリの街中を武士と芸者が歩いてる画面に興味を引かれ見るようになったんだけど、
こんな見応えのある作品があったのかと刮目している。
大河ドラマというと坂本龍馬とか新撰組とかの幕末ものはよくあるけれど、明治に
なってすぐ後の日本や日本人を描いた物は少ない。
明治維新後いかに明治政府が日本国の形を作り出していったか、という時代背景の
中で、この作品に描かれるのは時代の変化とともに大きく境遇を変える事になった
人々の懸命な姿だ。 (親方日の丸と言われたNHKがよくこんな官軍・明治政府に
大向こうから斬り掛かる作品を作ったもんだと感心する。)
 

官軍、つまり勝ち組の薩摩藩の下級武士と、江戸幕府側についたため賊軍となった
負け組会津藩の下級武士、この二人の男達の必死の生き様が対比されて描かれている。
特に主人公の会津藩士・平沼銑次(せんじ)の過酷な運命とそれに立ち向かっていく姿
を毎回見ていると、私は一つの小説の主人公を思い出し重ねるようになってきた。

スタインベックの小説「怒りの葡萄」のトム・ジョードだ。高校生の私に恐怖と絶望
感しか与えず、読み上げた翌日は学校を休み、長く後遺症の痛みをを持たされた作品。
1995年にブルース・スプリングスティーンがGhost Of Tom Joadのアルバムを出し
た時、今なおアメリカではトム・ジョードの幽霊がさまよっているのだと思った。
同時に恐怖に後ずさりしそうになったり、弱さや痛みを抱えるのが私だけでなかった
ということ、またジョードの魂を暗闇から人前へ引き出すブルース個人の強さに共感
を持つこともできた。

この「獅子の時代」というタイトルからは「坂の上の雲」みたいな立志伝が想像され
るけれどそれとはまるでちがう。いやきっとそうなんだ、登場人物みんなが男も女も、
赤ん坊も年寄りも、道半ばで絶命した人達も獅子だった時代なのだ。

幕末には大勢のヒーローが出現した。龍馬や海舟や西郷隆盛や高杉晋作やらが。でも
ヒーローのいない時代もあるのだ。いくら待っても登場してくれない時代があるのだ。
いつの時代でも困難はあるけれど、現代こそこの時代の人達に倣(なら)い地を這うよ
うに、そして誇り高く生きなければならないのだろう。


こうしてこのドラマを見る事2ヶ月あまり。先日、金星太陽面通過を調べていると
前回この現象が起った時期が、ちょうどこの明治維新すぐ後と知った。テレビでは
佐賀の乱をしていたけどその頃。この偶然は何?と考えてしまう。
夫に言わせれば『は~いこじつけです、後出しです』と一笑だろうけどね。 


脚本は山田太一さんです。

 

 

 


 

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