気の向くままに

KLOの風の吹くまま気の向くままの日常雑記 

アントニー・ゴームリー展in葉山を観る

2012-10-18 02:18:31 | アート
日々の雑感を綴って行こうと思い始めたが、
忙しくなるとどうしてもおろそかになり、
こうして約半年も更新してなかった。
その間にいろいろ見たり聞いたりしたんで、
ゆっくりとアップして行ければと思う。

8月の末に神奈川県の葉山へ行った。
目的は神奈川県立近代美術館・葉山館で開催されている、
アントニー・ゴームリー展を見るためだ。
アントニー・ゴームリーは、自らの身体を型に取り、
鉄やFRPで等身大の彫刻を制作することで知られる、
イギリスの大御所アーティストだ。
詳しくはwikiなどで







葉山。もう20年位前に行って以来、
すっかりご無沙汰してしまった場所。
御用邸がある、関東では由緒ある風光明媚な土地。
美術館へ向かうバスの車窓からは、
森戸神社の鳥居が立つ岩礁の様な島、名島や、
都知事、石原慎太郎が裕次郎を偲んで建てた「裕次郎燈台」
そしてその向こうには江ノ島が見える。







JR逗子駅からバスで約20分。
美術館に着くと、至る所に今回の展示
「アントニー・ゴームリー彫刻プロジェクトIN葉山
TWO TIMES ふたつの時間」
の案内掲示板が付けられている。







が、ゴームリーは後にして、
庭に展示された他の彫刻作品をさらっと見学。
保田春彦『地平の幕舎』



富樫一『ハーモニーⅡ』



西雅秋『大地の雌型より』
の他、李禹煥の『項』や吾妻兼治郎の『YU-4』など、
さすが近代美術館らしく、
懐かしい近代然とした作品が展示されている。
西雅秋『大地の雌型より』は、
かつて訪れたベネッセ直島の屋外に展示してあった、
大竹伸郎の作品を思い出した。







ひとしきり庭の展示を見学しながら海岸に近い所へ辿り着くと、
あずまやの向こうにお目当てのゴームリーを発見。
それにしても西洋現在彫刻とあずまや、
一見合わなそうな二つが見事に融合しているのに驚く。
まあ、要は<動かない人>だから、
どんなシチュエーションでも合うか。。。







あずまやの前に一体、そして美術館の屋上に一体、
2体のゴームリーが展示されている。
それでタイトルが「Two Times」なのか。
一体は手前側、つまり海を見つめ、
屋上の一体は山側を見つめている。
決して見つめ合うことのない2体のゴームリー。







周囲には和的な松林が茂り、
その中にひょろり~んと立つ彫刻は、
法隆寺の百済観音をも彷彿とさせる。
特に腕と腰の曲がり具合はまさに百済観音。
いつのまにか異世界へ引きずり込まれている自分に気がつく。







鉄という素材は決して消滅しない素材だそうだ。
人間の体内に含まれる鉄分も、
遥か何十億年も昔に、ある星で生まれたものが、
その後宇宙で細かくなり、地球に降り注ぎ、
そして体内に入り込んでそのまま残存していると聞いた。
もしかしたら、体内で最も太古の記憶を宿しているのは、
DNAではなく、鉄なのかも知れない。

海を見つめてゆら~っと立つゴームリーを眺めながら、
そんなことを想った。

会期は2013年3月初旬まで。
詳細はこちら→オフィシャル・ブログ







美術館を後にして海岸へでた。
海岸には、嘗て原宿にあった伝説のカフェ、
「カフェ・ド・ロペ」を復刻した海の家があった。
原宿のそれとは全く違うカフェだったが、
しばし懐かしさに浸りながらビールを飲んでいると、







日が沈む頃につれて雲が晴れ、
残照にシルエットを浮かべる富士山がくっきりと見えた。