勘違いから学ぶこと
さて「本来作動しなければならないはずの批判精神」が働かなかった私だったが、ここは気を取り直してかつてのいくつかの「賢治年譜」の昭和6年における、このことに関する記述を拾ってみると、
『宮澤賢治研究』(草野心平編、筑摩書房、昭和14年)所収:なし
『昭和文学全集14宮澤賢治集』(角川書店、昭和28年)所収:なし
『宮澤賢治全集十一』(筑摩書房、昭和32年)所収:なし
『校本宮澤 . . . 本文を読む
勘違い
さて、私はなぜつい先ほどまで
昭和6年の冷害で、花巻も米の作柄がかなり悪かった。……①
という勘違いをしてきたのだろうか。それは今にして思えば、昭和6年7月10日付『岩手日報』の記事の中に宮澤賢治の稲作予想
平年作以下の減収と観測してゐる
があったこと。しかも、『校本 宮沢賢治全集 第十四巻』(筑摩書房)所収の年譜によれば同日の7月10日の項に、
なおこの頃に、花巻駅で . . . 本文を読む
それでは、昭和4年~6年の稗貫郡等の米の実収高を見てみよう。それは下図表のようになる。
たしかに、
昭和6年の岩手県の米実収高=1.66石/反
だからかなり作柄が悪い。そこで今までの私は、当然、稗貫もまた同様であったであろうとすっかり思い込んでいた。
ちなみに、以前『岩手県農業史』(岩手県、森嘉兵監修)の841pに、
昭和6年 災害現象
早春雪が異常に多く4月以降気候不順で冷夏、 . . . 本文を読む
昭和6年7月10日付『岩手日報』の記事の中に宮澤賢治の名が出てくる次のようなものがある。
【昭和6年7月10日付 岩手日報】
文字に起こしてみると、
本年稲作は平年作以下か 宮澤元花農教諭予想を発表 花巻地方の分蘖状況
花巻豊沢町元花巻農学校教諭宮澤賢治氏は、農事の実際的研究家として知られてゐるが宮澤氏は過去数年間にわたり、七月初旬の花巻地方における水稲の分蘖状態に就いて仔細な研究をつゞけて . . . 本文を読む