元気とキレイは毎日の味噌汁・みそ食から
教えて!味噌の効用 1
日本は発酵食品の宝庫といわれます。その代表ともいえる身近な食品がみそ。
発酵食品の専門家で信州みそ研究の第1人者、長野県工業技術総合センター 食品技術部門 部長の吉川茂利さんをお訪ねし、最新の研究成果から解明されてきた味噌の効用についてお話をうかがいました。
聞き手は当店商品開発担当部長・青木弘美。今号から数回にわたり興味深いみその魅力と真実をお伝えしていきます。
(文中敬称略)
中国を起源に日本の工夫で誕生した味噌
青木
みそは日本の伝統的な食品ですが、日本独自のものなのでしょうか。
吉川
起源は中国古来の発酵調味料「醤(じゃん)」にあると考えられています。
その作り方を学んだ信州筑摩郡(松本市)出身の高僧、法燈国師(覚心和尚)が帰国後に作った「金山寺味噌」が日本の味噌の始まりといわれています。
ちなみに当センターとなりの信州味噌研究所の敷地内には、法燈国師を味噌醸造の始祖としてお祀りしている「味噌神社」があるんですよ。
青木
法燈国師はいつごろ生きた人なのですか?
吉川
鎌倉時代です。戦国時代には、戦に行く兵士が味噌を腰につけて兵糧として持ち歩いたそうですし、武田信玄が信濃遠征に備えて農民に味噌造りを奨励したという記録もありますので、そのころには日本人にとって欠かせない調味料になっていたわけですね。
麴?麹?糀?
吉川
起源が中国とはいえ、生きた麹菌を用いたのは日本だけ。麹菌は平安時代から酒造りなどに活用されていました。古来、醸造に多大な役割を果たしてきた菌であり、その働きが日本ばかりか世界の食文化にも大きな影響を及ぼしています。
麹菌は日本醸造学会により「国菌」に認定されています。
青木
私たちは「糀」と書くことが多いのですが。
吉川
菌の働きを伝える際は「麹菌」(正しくは旧字体の"麴")、米を原料とするものは「糀」、麦を原料とするものは「麹」と使い分けています。
味噌は「糀」も「麹」もありますが、信州みそは米こうじを使う米味噌の代表です。
青木
うちの製品もほとんどが米みそです。米みそは香りがいいですね。
吉川
その香りは、発酵によって醸し出されるんですよ。
また、発酵に由来して発生するさまざまな成分が健康にいい効果をもたらすことがわかっています。
体にいいことがいっぱいの糀、味噌!
青木
糀もみそも体にいいということは古くから言われ続けていますが、具体的にどういいのか、お客様にわかりやすく説明するのがなかなか難しくて・・・・・。
吉川
当センターでは、発酵や味噌について様々な研究を行い、全国の機関とも連携して成果を公開しています。
青木
抗がん作用など見逃せない効能がたくさんあるんですよね。
吉川
味噌は、原料である大豆そのものが良質なタンパク質・ビタミンを豊富に含む栄養価の高い食品です。
さらに大豆に含まれるイソフラボン・リノール酸などが、発酵の過程で生じるエチルアルコールと一緒になって「抗変異原性物質」という抗がん作用を持ついくつかの物質を作り出すことが確認されています。
味噌を食べ続けることで、乳がん・肝臓がんへの予防効果があることも明らかになっているんですよ。
大変興味深いことに、大豆を原料とする食品は豆腐・油揚げなどいろいろありますが、圧倒的に味噌の抗変異原性が高いのです。発酵・熟成という過程が大事なんですね。
青木
頼もしいですね。
吉川
ほかにも細胞の保水機能の低下を遅らせたり、肝臓内の過酸化脂質の増加を抑える抗酸化作用、コレステロール低下作用、胃潰瘍の防止効果、疲労回復機能、精神安定作用など、いろんな効用が確認されています。
青木
いいことずくめですね!
1つひとつ具体的に教えてください。
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対談はまだまだ続きます。
糀や味噌の期になる効能については次号をお楽しみに。
教えて!味噌の効用 1
日本は発酵食品の宝庫といわれます。その代表ともいえる身近な食品がみそ。
発酵食品の専門家で信州みそ研究の第1人者、長野県工業技術総合センター 食品技術部門 部長の吉川茂利さんをお訪ねし、最新の研究成果から解明されてきた味噌の効用についてお話をうかがいました。
聞き手は当店商品開発担当部長・青木弘美。今号から数回にわたり興味深いみその魅力と真実をお伝えしていきます。
(文中敬称略)
中国を起源に日本の工夫で誕生した味噌
青木
みそは日本の伝統的な食品ですが、日本独自のものなのでしょうか。
吉川
起源は中国古来の発酵調味料「醤(じゃん)」にあると考えられています。
その作り方を学んだ信州筑摩郡(松本市)出身の高僧、法燈国師(覚心和尚)が帰国後に作った「金山寺味噌」が日本の味噌の始まりといわれています。
ちなみに当センターとなりの信州味噌研究所の敷地内には、法燈国師を味噌醸造の始祖としてお祀りしている「味噌神社」があるんですよ。
青木
法燈国師はいつごろ生きた人なのですか?
吉川
鎌倉時代です。戦国時代には、戦に行く兵士が味噌を腰につけて兵糧として持ち歩いたそうですし、武田信玄が信濃遠征に備えて農民に味噌造りを奨励したという記録もありますので、そのころには日本人にとって欠かせない調味料になっていたわけですね。
麴?麹?糀?
吉川
起源が中国とはいえ、生きた麹菌を用いたのは日本だけ。麹菌は平安時代から酒造りなどに活用されていました。古来、醸造に多大な役割を果たしてきた菌であり、その働きが日本ばかりか世界の食文化にも大きな影響を及ぼしています。
麹菌は日本醸造学会により「国菌」に認定されています。
青木
私たちは「糀」と書くことが多いのですが。
吉川
菌の働きを伝える際は「麹菌」(正しくは旧字体の"麴")、米を原料とするものは「糀」、麦を原料とするものは「麹」と使い分けています。
味噌は「糀」も「麹」もありますが、信州みそは米こうじを使う米味噌の代表です。
青木
うちの製品もほとんどが米みそです。米みそは香りがいいですね。
吉川
その香りは、発酵によって醸し出されるんですよ。
また、発酵に由来して発生するさまざまな成分が健康にいい効果をもたらすことがわかっています。
体にいいことがいっぱいの糀、味噌!
青木
糀もみそも体にいいということは古くから言われ続けていますが、具体的にどういいのか、お客様にわかりやすく説明するのがなかなか難しくて・・・・・。
吉川
当センターでは、発酵や味噌について様々な研究を行い、全国の機関とも連携して成果を公開しています。
青木
抗がん作用など見逃せない効能がたくさんあるんですよね。
吉川
味噌は、原料である大豆そのものが良質なタンパク質・ビタミンを豊富に含む栄養価の高い食品です。
さらに大豆に含まれるイソフラボン・リノール酸などが、発酵の過程で生じるエチルアルコールと一緒になって「抗変異原性物質」という抗がん作用を持ついくつかの物質を作り出すことが確認されています。
味噌を食べ続けることで、乳がん・肝臓がんへの予防効果があることも明らかになっているんですよ。
大変興味深いことに、大豆を原料とする食品は豆腐・油揚げなどいろいろありますが、圧倒的に味噌の抗変異原性が高いのです。発酵・熟成という過程が大事なんですね。
青木
頼もしいですね。
吉川
ほかにも細胞の保水機能の低下を遅らせたり、肝臓内の過酸化脂質の増加を抑える抗酸化作用、コレステロール低下作用、胃潰瘍の防止効果、疲労回復機能、精神安定作用など、いろんな効用が確認されています。
青木
いいことずくめですね!
1つひとつ具体的に教えてください。
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対談はまだまだ続きます。
糀や味噌の期になる効能については次号をお楽しみに。