すや亀 信州香味だより

酢屋亀本店が年4回発行する、
パンフレットに記載されたすや亀だよりを
インターネットでお読みいただけます。

信州香味だより174号亀のかたらい~暖簾の向こうから

2020-06-16 | Weblog
★ 本店前で笑顔の成沢課長。「すや亀の製品を愛してくださるお客様、すや亀の皆さん、お世 話になりました! 感謝の気持ちでいっぱいです」


亀のかたらい
すや亀スタッフの裏ばなし・表ばなし
成沢製造課長、 蔵を去る。

28年にわたり当店の製造部門を支えてきた製造責任者の成沢和弘課長がこの夏、引退します。
退職を前に、みそづくりへの思いや、すや亀で働く日々の思い出などを聞きました。
今回の本コーナーは番外編として成沢課長へのインタビューをお届けします。
インタビュアー:浅野ひろこ

製造課長 成沢 和弘(なるさわ かずひろ)


入社のきっかけは みそソフトクリーム

◆成沢課長は調理師免許を持つ料理人やトラックドライバーを経験後、すや亀に入社という経歴の持ち主。
入社の経緯をお聞かせください。

30歳を過ぎ、地元で腰を据えて働こうと思っていた時、家族から「みそソフトクリーム」 を販売しているみそ屋さんがあると聞き、関心を持ったのです。
みそとソフトクリームという誰も考えつかないようなコラボを地方の小さなみそ店がやってのけ、しかもヒットを飛ば していることに心ひかれました。
実際、発案者の青木社長にも、会社自体にも勢いを感じ、入社に迷いはありませんでした。


◆入社当時の仕事は?
6.7年は漬物を担当しました。
野沢菜漬け、たくあん漬けが全盛の時代で、有名タレントさんが全国展開する漬物店のOEM(他社ブランドの製品作り)も受けていたので、ひたすら忙しかったですね。


五感を駆使して 取り組むみそづくり

◆その後みそづくりを担うことになったのですね。
引退が近づいた前任の小林工場長から直接教えを受けて取り組みました。朝早くから大豆を煮たり、材料をていねいにチェックしたりする工場長の姿が今も目に浮かびます。
実をいうと、当時の私はみそづくりに対してたかをくくっていたんです。


◆どういうことですか?
手順通り仕込めば、あとは酵母と微生物がやってくれる、人の手でやることなんてたかが 知れてると思っていました。
ところが実際にやってみると、色、香り、風味、食感など微妙な部分で毎回できが違うん です。特に色の違いでお客様のクレームをいただくこともありました。
温度をはじめ繊細な 環境管理をしっかりやり、発酵を制御するのが「技術」なのだと思い知りました。
小林工場長は「いいみそはいい原料から」が口癖でしたが、それに加え、常に五感を研ぎ 澄まし「原料の特性に沿ったみそづくり」に精魂込めていました。
原料を厳選し、工程による変化を自分で見、音を聞き、香りをかぎ、手触りを確かめ、味をみて製品を仕上げていく みそづくりを行動で見せ、ていねいに教えてくれました。



1999年、小林工場長とともに


◆納得の製品をつくれるようになりましたか?
経験を積んだおかげで、間違いない商品を安定してつくる自信は持てるようになりました。
けれど100%納得、満足というわけにはいきません。引退を目の前にした今も、この 仕事に終わりはないと感じます。
それでもむずかしい無添加に挑戦し、試行錯誤を繰り返して完成した「こがね」は、自信をもって召し上がっていただけるものになったと思います。28年の集大成ですね。


刺激を受け鍛えられ続けた 日々を今後の力に

◆製造部門の責任者として後輩に技術を伝える役割も担いました。
とにかく自分が率先して動き、なぜ必要なのか、何が大切なのかを実感してもらえるよう努力はしてきたつもりです。


◆製造環境や会社の仕組みも変革の繰り返しでしたね。
ことに工場の衛生面での進化には目を見張りました。指導の専門家さんはもちろん、取引先の意見やアドバイスに社長が常に謙虚に耳を傾け、変化を恐れず向上に前向きでした。しかも対応のスピードがすごい!それが大いに刺激になり、またずいぶん鍛えられました。


◆社外でも活躍されました。
「信州青年の船」で中国・韓国への2週間の洋上セミナーに参加させてもらいました。数十人をまとめる「組長」の経験は、その後の仕事にも、人間としての生き方にも大きく役立 っています。
また「長野味噌醤油技術会」の会長を4年務めさせていただき、同業の方々と交流や切磋 琢磨ができたのも、素晴らしい経験でした。


◆引退にあたってメッセージをいただけますか。
技術面でお世話になった信州味噌研究所の皆さん、ISO取得の指導に来られた先生、厳 しく育ててくださった社長、ともに働いた皆さん、そしてすや亀の商品を愛してくださる全 国のお客様に心から感謝を伝えたいと思います。
引退後は佐久に居を移し、妻とともに福祉関係の仕事に取り組みます。初めての土地で、初めて会う人々と、初めての仕事に挑戦することにワクワクしています。
その勇気もすや亀 でいただきました。これまで学んだこと、体験したことを自分の力として今後も生きていきます。

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