すや亀 信州香味だより

酢屋亀本店が年4回発行する、
パンフレットに記載されたすや亀だよりを
インターネットでお読みいただけます。

すやかめだより '06-118号 お客さまを訪ねて6

2006-05-16 | Weblog
ここにも善光寺"門前みそ"
お客さまを訪ねて 第6回
戸隠流 手打ちそば処 うずら家様 長野市戸隠


香り、甘味、コシの強さに定評がある「霧下そば」にこだわり、
戸隠という土地柄に根ざした「もてなしの心」を大切に、
伝統の「戸隠そば」に情熱を注ぐ「うずら家」の徳武社長をお訪ねしました。
(対談中敬称略)

一期一会のおもてなしを大切に
青木(店主)今日もご盛況で何よりです。
     社長さん自らお客様を元気にお迎えになる姿勢には、
     いつも感心させられます。
     店の皆さんの応対も気持ちがいいですね。
徳武社長 ありがとうございます。
(以下徳武)「戸隠そば」を楽しみに、全国からここまでお越しくださるお客さまに
     心から喜んでいただきたい一心なのです。
     「戸隠そば」の知名度と「戸隠」という場所の恩恵あっての商売だけに、
     お客さまとの出会いはまさに一期一会。
     ご期待を裏切ってはならない痛感します。
     私どもがお客さまと心を通わせられるかどうかで、
     ご満足の度合いが変わってくるということを、
     スタッフ一同、常々肝に銘じています。

「戸隠そば」への徹底したこだわり
青木 「戸隠そば」へのこだわりをお聞かせください。
徳武 戸隠高原と、隣接する黒姫高原で秋に収穫される
   質の良い「霧下そば」だけを使うようにしています。
   北海道産のそばも味に遜色なく、新そばを一足早く味わえるため、
   以前、地元産の端境期に使ったことがあるのです。
   ところが、お客さまからかえってお叱りを受けました。
   味が良くても代替品ではお客さまのご期待に応えられないんですね。
   戸隠そばを食べに戸隠へいらっしゃる、
   その思いにお応えできなければ意味がないわけです。
青木 しかし現実的に地元産のそばだけでまかなえるのですか。
   季節によっても味が変わるのでは?
徳武 そこで、戸隠と黒姫のそば農家から、
   毎年秋の収穫期に玄そばを1年分買いつけて確保しています。
   玄そばは1~2月の氷温期に熟成が始まって甘味が増し、
   風味がぐんと深まります。
   この時期に全部製粉してしまい、
   マイナス20度の冷凍庫で保管することにより、
   1年中新そばのおいしさを味わっていただけるのです。
青木 そこまでしておられるとは、驚きです。
徳武 元来「そば切り」というのは、
   そば粉を打って、切って、ゆでて、水にさらすという、
   あえて手間をかけた「おもてなし」の心の表現なんです。
   戸隠独自の「ぼっち盛り」も、
   食べやすさに配慮したおもてなしの表現だと私は考えています。
   また、「ぼっち」に取り分ける時は、戸隠の澄み切った冷水の中で行い、
   地元の竹ザルに盛りつけます。
   つまり、そばと一緒に戸隠の水のおいしさもあじわっていただけるのです。
青木 そばのうまさ、冷たい水のうまさ、そして竹ザルの風情・・・
   なるほど、まさに戸隠ならではの「おもてなし」が凝縮されているのですね。

「そばみそ」の楽しみ
青木 ところで東京のお客さまに、当店の「そば味噌」がたいへん好評とうかがい、
   うれしく思っています。
徳武 東京のそば屋では、
   そば味噌や板わさなどを肴に清酒を一杯やり、仕上げにそばを一枚・・・    というのが、昔も今も「粋なそばの味わい方」と言われています。
   当店にそば味噌があるのをご覧になって、
   感心される方も少なくありませんよ。
青木 戸隠のおもてなしに一役買うことが出来て、ありがたいことです。
   今後ともよろしくお願いいたします。


『うずら家プロフィール』
信州そばを代表する「戸隠そば」のふるさととして全国に知られる戸隠で、
先代が創業のそば専門店を営んでいます。
戸隠神社中社の門前、巨大な杉の古木に寄り添うように店舗があり、
地元産「霧下そば」を使ったこだわりの味で、全国にファンを持つ名店です。
長野市戸隠中社3356(中社門前)
TEL026-254-2219
水曜定休・11月末~12月中旬休業

すやかめだより '06-117号 新名所

2006-05-12 | Weblog
長野に新名所
「ぱてぃお大門蔵楽庭~くらにわ」誕生


善光寺さんのおひざ元に、門前の街並みを再現した商家や蔵が誕生しました。
趣のある白壁と黒い甍で気分は明治・大正ロマン・・・。
信州ならではの商品やメニューなど個性あふれる20店舗が連ねています。


「小さな旅気分を味わえるまち」をテーマに古い商家や蔵を活用した
「テナントミックス」による新しい商業施設が誕生しました。
場所は大門町南、善光寺さんの南300メートルです。
約1000坪(3000平方メートル)の敷地に明治、大正時代の建物を再生し、
パティオ(中庭)を中心に20の物販、飲食の店舗の集まりです。

物販では寒天メーカーのお店や、
当店も加盟している善光寺名称保護会のメンバーの商品を中心とした
名産品の販売店、パン屋、インテリアショップ等です。
飲食店では金曜・土用に1日1組しか受けない超高級店から、
とうふカフェ、うどん屋、ラーメン屋、イタリアン、フレンチ等
バラエティに富んだテナントが集まっております。

どちらかというと地元のお客さんを想定した構成ですが、
地元客が集まるところは、善光寺さんに近いという立地でもあり、
今後は観光客の集客も大いに期待できます。

伊勢赤福さんの「おかげ横丁」を思わせるところもありますが、
地元客向けである事、建物が古い土蔵を再生した本物である
といったところが異なり、長野の新しい観光拠点になると
地元では期待をかけております。
長野へお越しの折にはぜひお立ちよりいただきたいスポットです。



すやかめだより '05-116号 お客様を訪ねて5

2006-05-09 | Weblog
ここにも善光寺"門前みそ"
お客さまを訪ねて 第5回
有限会社 すき亭様 長野市妻科


すき亭は、10年をかけて信州各地から収集した由緒ある銘木を使い、
伝統の粋を集めて昭和47年に建築されたもの。
隣に建つ湯殿造りの「洗心亭」とあわせ、
信州の素晴らしさを最高級の味覚と空間で満喫できる場所として、
全国に知られる存在です。
「りんごで育った信州牛」の品質と味わいに徹底したこだわりを持つ
掛川健夫社長にお話をうかがいました。
(対談中敬称略)

牛肉と信州味噌との出会い
青木(店主)すき亭さんが贈答用の牛肉味噌漬を開発されるにあたり、
当社に初めて味噌をご依頼いただいてから30年近い年月が経ちました。
掛川社長 創業当初は全国各地の例にならい、
(以下掛川)京味噌の味噌漬を販売していましたが、
     もっと信州らしい味を世に送り出すため、
     信州味噌との組み合わせを考えたのです。
青木   その頃、当社で作る味噌の塩分は12%ぐらい。
     ところが京味噌はわずか5%。
     塩分を抑えた信州味噌を作る技術がまだなく、
     試行錯誤を繰り返したことが懐かしく思い出されます。
掛川   塩分はもちろん味噌の固さ、熟成度合いなど、厳しく指示しましたね。
     当時は冷蔵や流通の技術も今ほど進化していませんから、
     味や品質を納得のいくものに保つ上で、厳密さは欠かせませんでした。
青木   ええ。
     絶妙なポイントを探り出し、
     ご納得いただける味噌を安定供給できるようになるまで、
     ずいぶんご辛抱いただきました。
     かつては厨房の横で少量漬け込んでおられた肉の味噌漬けが、
     今は工場で作られるほど需要があるとうかがい、
     うれしく思います。
掛川   肉と信州味噌は非常に相性がいいと思います。
     私自身おいしいと感じますし、
     全国のお客さまからのアンケートでも大変評判がいいですね。


裾花河畔の閑静な味わい空間
青木 ここに本店をお建てになった当時、裾花川の畔は本当に寂しい場所で、
   正直「この場所になぜ?」と感じたものです。
掛川 実際、建築中に「どうも怪しいものを建てている」
   との噂が飛び交うほどの場所でしたからね(笑)。
青木 実はそれこそVIPの会食にふさわしい立地だった・・・。
掛川 おかげさまで落成以来、
   地元のお客さまから観光のお客さまや著名人まで
   実にさまざまな方々にご愛顧いただいています。
   長野へお越しになるたびにご家族ぐるみでご利用くださる方や、
   海外からわざわざお立ち寄りくださる方などもいらっしゃいます。

高品質へのこだわりを貫く
青木 立地もさることながら、
   品質と味を大切にし、決して妥協されないところが、
   すき亭さんが一流といわれるゆえんでしょうね。
掛川 創業以来、何よりも品質に重きを置いて営業してきました。
   生まれたときから環境もエサも管理して育て上げた純血の黒毛和牛
   「りんごで育った信州牛」の最高級の肉を厳選して
   ご提供する方針を貫いています。
   狂牛病騒動では元牛の価格が上がるなどの打撃を受けたものの、
   品質に関してはお客様のご信頼を裏切らない体制を確立しています。
   これからも品質を守り、サービス向上に努めていく所存です。
青木 すき亭さんは、お取引先としてだけでなく、
   「善光寺門前会」の会員仲間としても、私どもにとって大切な存在です。
掛川 今後とも幅広い情報交換を重ね、
   他の仲間とともにお互いの発展を模索していきたいものですね。



『企業プロフィール』
鬼無里から長野市街地へ注ぐ清流、
裾花川の畔に位置する純和風建築の味どころ、すき亭。
飼育から精肉、加工、調理まで一貫した品質管理体制の下で生産する
最高級の信州牛を提供するすき焼き、しゃぶしゃぶの専門店。
贈答用の精肉、味噌漬け、佃煮も全国にファンの多い逸品です。
長野市南長野妻科112-1
TEL026-234-1123



すやかめだより '05-115号 お客様を訪ねて4

2006-05-06 | Weblog
ここにも善光寺"門前みそ"
お客さまを訪ねて 第4回
株式会社 仙仁温泉 岩の湯様 須坂市仁礼


仙仁温泉"岩の湯"は、
きめ細かなおもてなしと風情満点の「洞窟風呂」で
全国的にも注目される信州の宿です。
数ある温泉旅館の中でもトップレベルのサービスに定評があり、
今からでは年内の宿泊予約が困難な程人気の宿です。
それを支える社長、マネージャー、料理長の3人をお訪ねしました。

深まる「個」に対応する宿
青木(店主)岩の湯さんは、環境や施設の素晴らしさのみならず、
     個々のお客さまに対応するサービスのきめ細かさに定評がありますね。
金井社長 ありがとうございます。
(以下金井)旅のスタイルは、ますます団体から「個」に移行する傾向ですが、
     特に昨今は「個の深化」を感じます。
     たとえば一組のご家族でも、
     父、母、子ども、それぞれが社会との関わりの中で複雑な悩みを抱き、
     満足に対する思いが異なります。
     その一人ひとりが少しでも癒しを感じ、
     満ち足りた思いで時間を過ごしていただけるような
     宿をめざしています。
佐藤マネージャー(以下佐藤)
     私どもは、
     観光の立ち寄りスポットではなく
     「ふるさと」をご提供したいと考えています。
     人の家を訪ねた時、そこのご家族のひとりでもシラけていたら、
     なんとなく居心地が悪いですね。
     ふるさとはそんな場所であってはなりません。
     お客さまが居心地よく、充足した思いでお過ごしになれるよう、
     スタッフ全員が呼吸を合わせ、プロとしてのそつのない対応よりも、
     人間として心のこもった真摯な対応を大切にしたいと
     心がけているのです。
青木   なるほど。
     社長が提唱しておられる「理想土=リゾート」の神髄ですね。
     
「絵心」のある味わいを大切に
青木   「ふるさと」を満喫してもらう上で、味わいも重要な要素ですね。
金井   もちろんです。
     単に立派な器に
     上等の素材を見た目よく盛り付けるという料理ではなく、
     見ること、味わうことで、気持ちがやさしくなれるような
     「絵心」のある料理が、うちの持ち味です。
櫻井料理長物流が進み、常にいい素材が確保できる今は、おいしいのが当たり前。
(以下櫻井)周囲の緑を枝ごと添えるなど、
     ここだけの雰囲気や季節感を楽しんでいただける工夫をしています。
     またお客さまの情報を事前にスタッフから得て、
     年齢、量、好みなど、
     それぞれに対応したお料理をお出しするよう心がけています。
     単にうまいものを作るのではなく、
     心をこめた料理を喜んでいただけることが、
     料理人として最大の喜びです。

「健康」も、おもてなしの要素
青木   大切な味の一環で、当店の商品をお使いいただき、
     ありがたく思います。
櫻井   朝のサラダに添えるごま味噌ドレッシングも、
     夜食の海苔巻きに使うおむすび梅も好評です。
     信州らしく、しかも体にいいという点でも、
     うちの料理にぴったりですね。
佐藤   「健康」もふるさとの生活文化の重要な要素だと思うんです。
金井   その心地よさをおみやげにしていただこうと、
     売店でも信州の生活商品を販売しています。
     ドレッシングは人気商品ですよ。



『企業プロフィール』
仙仁温泉は平安時代末期に発見されたと伝わる古湯。
須坂長野東ICから菅平へ向かう国道406号沿いに位置し、
仙仁川のほとりに本館、仙寿館、離れからなる和風旅館です。
泉質は単純温泉で、リウマチ、美肌、高血圧などに効能があります。
長野県須坂市仁礼3159
TEL 026-245-2453

すやかめだより '05-114号 お客様を訪ねて3

2006-05-01 | Weblog
ここにも善光寺門前みそ
お客さまを訪ねて 第3回
"北信濃を代表する味わいに一役"
有限会社 いろは堂様 長野市鬼無里



「いろは堂」さんの人気の秘密は、おやきのおいしさに加え、
お店で迎えてくれる皆さんのお人柄にあると、
お客さまの多くが口をそろえます。
若女将さんの笑顔が、それを実感させてくれました。
(対談中敬称略)

創業80周年の節目の年
青木(店主)  ミズバショウのシーズンを迎え、ますますご繁昌で何よりです。
伊藤(若女将) おかげさまで、今年、創業80周年を迎えます。
       曽祖父が小川村で落雁などを作って
       鬼無里へ行商に来ていたのが始まりで、
       鬼無里へ店を出したのは、先代つまり父の頃。
       和洋菓子の製造と併せ、
       昭和30年頃から給食のパンを作るようになりました。
       当時は鬼無里に2000人もの子どもがいたんですよ。
       父はそれまでパンなど作ったこともなかったので、
       仕事を引き受けてから住み込みの職人を雇い、
       自分もパン作りを学んだようです。
青木     冒険心と進取の気風に富んだ方だったのですね。
       「おやき」を商売にされたという意味でも、
       先駆的な役割を果たされた。

初めての「おやき」専門店
伊藤 「時代の変化に対応する新しいものを」と考えていた頃、
    鬼無里にミズバショウの大群落が発見されました。
    調査に訪れる県の職員の方々に、
    母がお弁当代わりに作った「おやき」が大好評をいただいて。
青木 いろは堂さんの顔として、永年ご活躍の大女将さんですね。
伊藤 はい。
    この地域では、
    囲炉裏の灰の中で蒸し焼きする"灰焼き"が伝統ですが、
    それでは冷えると固くなってしまいます。
    そこで粉にそばを混ぜ、仕上げに焦げ目をつけて、
    冷えても柔らかくておいしい新しいおやきを工夫したのです。
青木 今のいろは堂さんのおやきの、まさに原型ですね。
伊藤 ええ。
    当初はおやきを商売にすることに大反対だった父も、
    母の熱意に動かされ、
    味や製法を研究するようになりました。
    でも昭和50年代頃までは、
    県庁の売店や戸隠のおみやげ店にお願いして、
    置いていただくのがせいぜいでした。
    おやきを販売すること自体が珍しい時代でしたから。
    ある時、
    名古屋のデパートの物産展に出店させてもらったのをきっかけに、
    遠くから「鬼無里のおやき」を食べにみえる方が現れ、
    ミズバショウの人気とあいまって、
    急激にお客さまが増えました。

「いろは堂の味」へのこだわり
青木 当社の味噌をお使いいただくようになったのは10年前頃でしたね。
伊藤 はい。
    おやきの味を決める上で、
    皮の次に大事な味噌ですから、
    おつきあいはあくまで慎重でしたけれど(笑)。
青木 お取引いただくまでにも時間がかかりましたが、
    その後、ご信頼いただける味を創り出すまでが、
    試行錯誤の繰り返しで苦心しました。
    「いろは堂さんの味」としてふさわしいか、
    何度も味見していただき、意見交換したのが印象深いですね。
伊藤 山深い鬼無里までわざわざ来てくださるお客さまの思いを大切に、
    いつも変わらぬ味と、
    田舎ならではのくつろぎをご提供し続けたい一念なのです。
青木 その気持ちに応える味噌をお届けできるよう、
    これからも均質な製品づくりに力を注ぎたいと思います。


『企業プロフィール』
鬼無里の真ん中に位置するおやき専門店。
北信濃の家庭で作られてきた伝統の郷土食「おやき」を、
独自の工夫で"売れる味みやげ"に育て上げ、全国に認知されるほどに。
店舗、ギャラリーは鬼無里の文化発信地としても愛されています。
長野市鬼無里1687-1
TEL 026-256-2033
http://www.irohado.com