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みんな山が大好きだった ノンフィクション

2008-10-30 | 本の山
だった・・と過去形です。そうです・この本に登場するアルピニスト達は皆、愛する山々に還っていきました。「みんな山が大好きだった」(山際淳司著・中公文庫)はそんなアルピニストたちの生き様にスポットを当てたノンフィクション文庫です。

文庫本になる前のタイトルは「山男たちの死に方 雪煙の彼方に何があるか」だったそうです。掲載されているアルピニスト達の死に方(遭難による死)を読むと、前のタイトルがしっくりきます。「みんな山が大好きだった」にタイトルが変更したのは、著者の山男達への愛情からでしょうか。
本には長谷川恒男氏をはじめ、森田勝、加藤保男、松濤(まつなみ)明、加藤文太郎ら日本を代表するアルピニスト達の生き様と死に方が読みやすいコラム形式で書いてあります。もしもそういった方々が居酒屋で一つのテーブルを囲んだら、どんな山談義になるのでしょうか(笑)。酒とか強そうだなあ~。

山の魅力に引き込まれた人達。ある人は生還し、ある人は山に還っていく。人側からみると生死は大きな違いがあるが、山側からみればそれは自然の中の一瞬の出来事なのかも。
皆自然に帰っていくように遭難し、消え去っていくアルピニスト達。凍傷で指を失ってもなお、山に焦がれる彼等。自分の命を賭すほどの対象に出会えた山男達の心情はとても計り知れないけれど、意味ある一生を見出せて幸せだなあと思う。
そういった山々と山が大好きだった男達をやさしい眼差しで筆者は見つめている。そんな本です。

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2 コメント

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Unknown (yoshio715)
2008-10-31 00:17:52
自分は小西政継や長谷川恒男、加藤保男らが活躍していた時代に山を登っていました。
また、植村直己氏や加藤保男氏とは、直接話を聞く機会もありましたが、その内容に夢とともにロマンを感じました。
実は、このロマンに危険性が潜んでいたと思います。
あの時代、多くの著名なアルピニストが山で命を失ったことを思い出しました。



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アルピニスト達 (s)
2008-10-31 23:24:13
yoshio715さま~。
もともと山が苦手な自分にとって、この本に載っているアルピニスト達の気持ちの奥底は計りしれません。ただ想像するのみです。
大好きな山に抱かれながら、永久の眠りについたアルピニスト達のご冥福をお祈り致します。
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