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根無し草 ⑲

2021-08-30 06:17:05 | 根無し草
私は中学生になった。

3つの小学校が集まり、新しい

友達がたくさん出来た。

ほみみ、というあだ名のほんわ

かした雰囲気の友達ができた。

ほみみのお弁当はいつも可愛ら

しく、愛情いっぱいといった感

じだった。

初めて一緒にお弁当を食べた時

にそのお弁当を見て「かわい

い、美味しそう💞」


と心からそう言った。


それから毎日ほみみはお弁当を

見せてくれた。


席替えをしてお弁当を一緒に食

べなくなっても、遠くの席から

お弁当を見せに来てくれた。


そのたびに「ほみみのお母さん

上手だねぇ」等と私は絶賛し、

満足そうにほみみは席に戻る。


ある日、お弁当が終わる頃に


ほみみが「てのちゃん見てー」


と自分の席から叫んできた。


フルーツにホイップクリームが

のせてあるデザートが、別容器

入っていた。


「こんなに食べられないー」と

ほみみは苦笑いしていた。

私はチラッと見ただけで、それ

を無視した。


その日から私はほみみを避け

た。

普通なら、一緒に居て楽しいは

ずの友達。


何でもキャッキャ笑い合える友

達。

私は人の喜びや感動を共感出来

ない、意地の悪い人間に育っ

た。