ここで言わせてください

過去や現在
おりまぜてます。

根無し草 ㉖

2021-12-28 12:40:00 | 根無し草
弟があのニュータウンの家に帰って行く日。
本当に辛かった。



その頃の私は絶望の中にいた。

希望が無いのでは無く

自分の人生に絶望していた。




それから何ヶ月か経ち、私達の生活が大きく変わる事になる。




かつて、父親、おかあさん、私、弟の4人で、幸せに暮らしていた、あの家。



知らないオヤコ4人に乗っ取られたあの家。



山を切り拓いてつくられた
ニュータウンのあの家。



それを処分して、父親が仕事で知り合った人と再婚する事になった。




中一の夏休み最後の日に飛び出して、とうとう戻ることが無かった。



幸せな日もあった。



あのお家にサヨナラもありがとうも言えなかった。




これからどうなるのだろう‥




弟が幸せになってくれたらそれで良い。




私はこの団地でおばあちゃんと一緒に住んでいく。


そう思っていた。



根無し草 ㉕

2021-12-27 14:30:00 | 根無し草
弟に会いたい…


その願いが叶う時が来た。


春休みの間、おばあちゃんの所で弟を預かる事になった。



私はとても嬉しくて早く来ないかなと、その日を待った。




待ち焦がれていた、
久しぶりに見る弟は…


ガリガリに痩せていて、眼つきや言葉遣いが酷く悪くなっていた。


それでもかわいい弟だった。


近くの公園やスーパーに手を繋いで連れて行った。


夜はおばあちゃんと私と弟の3人で一つの部屋で寝た。


夜中寝静まった頃、突然弟がむくりと起き出して、
床をドンドンと蹴ったり壁を叩いたりした。



私はびっくりして、「どうしたん?!」と何度も声をかけたが、
弟はやめなかった。


弟の目はしっかりと閉じられていた。


翌朝、弟は全くその事を覚えていなかった。


それは毎晩続いた。


何日か経った日に、下の階の人が見慣れないバスタオルを持って訪ねてきた。


ベランダに落ちてたんだけど、おたくのでは無いかと。



知らないですと言うと、


最近夜に外で騒ぐ声がするけど、おたくは眠れているかと聞かれた。


それも知らなかった。



階下の人が帰ってしばらくしてから、あれはうちに対する苦情だったのだと気づいた。


おばあちゃんは耳が全く聞こえないから、弟が暴れる事も階下の苦情も知らなかった。


夜中弟が暴れ出すと、私は弟はの口を塞いだりほっぺたを思い切り叩いたりした。

それでも弟は目を覚まさなかった。

私は泣いていた。

根無し草 ㉔

2021-12-13 23:35:22 | 根無し草
母親と月に一度買い物に行ける生活になり、随分心が軽くなった。


修学旅行の準備も難無くクリアできた。


自分でも不思議だったのが、甘えたいとか、一緒にくらしたいだとかそんな感情は全く無かった。


ただ、
あのニュータウンに置いてきた
幼い弟の事が気がかりだった。



もう小学生になっているはずだった。


母親と会ったその後は、
虚しさとともに弟に対する申し訳無い気持ちがこみ上げた。


会いたいなぁ。


自分にはどうする事も出来ない

無力よなぁ。