この前ミトコンドリア病を遺伝させないために他人のミトコンドリアを卵に移植するということについて書いた。それが新しい情報が出てきた。その研究をしているのが富沢一仁・熊本大教授(分子生理学)らの研究チームである。
ミトコンドリア病はミトコンドリアのエネルギーを作り出す機能が落ちて起こる病気である。チームは、患者30人の血液細胞を分析した。その結果、特定の酵素の働きが低下し、ミトコンドリアがエネルギーを作り出すのに使うたんぱく質をうまく作れないことをを発見した。酵素の働きが低下すれば、それに応じて症状が重くなることも分かった。嬉しいことに、研究チームはこの酵素を代替する薬剤を開発している。マウスの細胞を使った実験では効果があったそうだ。この薬が実用化すれば、ミトコンドリアの移植という心に引っ掛かる治療をしなくてもよくなりそうだ。
河南省在住のコレクターで研究者でもある王趁意さんが、2009年ごろ、洛陽の骨董(こっとう)市で、市郊外の白馬寺付近の農民から三角縁神獣鏡と同じ形式の鏡を譲り受けたと発表した。魏志倭人伝に卑弥呼が魏から鏡を貰ったと記載されており、その鏡が三角縁神獣鏡ではないかという議論がある。三角縁神獣鏡がその鏡でないとする人たちの根拠の一つがが三角縁神獣鏡が中国で発見されていないということであった。もし王趁意さんの発表が正しければその根拠が一つ崩れたわけである。三角縁神獣鏡は大和を中心に九州から関東まで広範囲で発見されており、邪馬台国の場所を特定するための材料となっている。つまり、三角縁神獣鏡が卑弥呼が貰った鏡であれば、そのもっとも多く発見されている近畿が邪馬台国があったところである可能性が高くなる。
昔は植物などで違う性質を持ったものを交配させて品種改良を行ってきた。これは交配によって勾遺伝子の組み換えを行っているわけである。そのうちゲノムが解析されその働きが分かってくると、微生物やウイルスに組み換えを行いたいゲノムをくっつけて、それを目的の植物などに導入し、遺伝子の組み換えを行われている。これだけでも活気的だったのに、今は、特定の部分のゲノムを探して、その部分を切り取って、新しいゲノムを導入するということができるようになってきた。ゲノムが編集できるようになってきたのである。遺伝子異常や、遺伝子病をもったゲノムは、その部分を修正してから受精させると遺伝子病がなくなるかもしれない。でもそうなると、頭の良い子だとか、スポーツのできる子だとか、誰の子か分からなくなってしまいそうだ。問題が多いな。でも知らないうちにどんどん進んで行っている。
今すぐ始めるゲノム編集~TALEN&CRISPR/Cas9の必須知識と実験プロトコール (実験医学別冊 最強のステップUPシリーズ) | |
クリエーター情報なし | |
羊土社 |