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人生を楽しく生きるための試行錯誤

宇宙メダカの不思議

2019-09-30 10:02:11 | 遺伝

けさのテレビで見たんですが、天才的な少女がいて、小学1年生~中学生の今までメダカの研究をやっているそうです。これがユニークな研究で、メダカの身体能力を測定する研究をしていました。この研究は測定項目や測定方法を自分で考え出さないといけません。非常に独創的で興味深いものでした。彼女の飼っているメダカの中で特別なメダカがあります。1994年7月にコロンビア号で、向井千秋宇宙飛行士とともに、宇宙に行って、産卵、孵化したメダカの子孫です。このメダカは、宇宙メダカの実験を提案した東京大学教授の井尻憲一さんから貰ったそうです。この天才少女は、宇宙メダカと普通のメダカを無重力状態にした時の宇宙酔いの観察をしました。これが面白いことに、宇宙メダカは宇宙酔いをしないそうです。宇宙での経験が遺伝子に書き込まれ、それが子孫にも伝えられていると考えられるのです。素晴らしい研究です。どの遺伝子がどう変わっているのかまで知りたいですね。

 


ショウジョウバエを暗闇で1400世代飼育するとどうなるか?

2009-12-11 00:27:15 | 遺伝

すごい人がいました。京都大学理学部動物学教室の森主一教授(故人)です。遺伝学の実験として1954年から50年以上にわたってショウジョウバエを真っ暗な暗室で育てたのです。この間1400世代になるそうです。なんという気の長さ、志の偉大さには驚かされます。ショウジョウバエは匂いを感じる感覚毛が10%長くなり、嗅覚が発達しました。そしてフェロモンの違いによって相手を察知し繁殖します。面白いことに通常のショウジョウバエとは交尾しなくなっています。光には敏感に反応します。DNAを調べたところ嗅覚やフェロモンに関する遺伝子などに40万箇所の変異が見られたそうです。暗闇に見事に適応し、通常のショウジョウバエと交尾しないのですから、新種のショウジョウバエに進化したと言えます。この進化は、ショウジョウバエの暗闇に強い個体が残ったと考えるより、暗闇に遺伝子が対応したと考える方が当を得ていると思います。私は、個体およびそれを形成する細胞の記憶、経験、環境への対応が遺伝し、その遺伝が何世代にも亘って重なると、強められて強く発現する遺伝子へと変わっていくと考えています。この実験は私の考え方をサポートしていると思います。


血液遺伝子の変化によるがん検査

2009-11-23 00:43:15 | 遺伝

血液検査でがんを発見する方法としては腫瘍マーカーによる検査があります。これはがん細胞の活動によって出てくる物質を検出する方法であるが発見率が20~50%と低かった。金沢大学の医学類は視点を変え、がん患者の血液遺伝子の変化を調べ、約1000個の遺伝子が健常者と違っていることを突き止めた。この方法によると発見率は90%程度になることが予測されている。検査方法は処理した血液をDNAチップに垂らして血液遺伝子の変化をチェックする方法であるが1万円以下の費用で検査できるそうである。

がん自身が遺伝子の変化によって起こる病気であるが、血液遺伝子も変化を起こしているのは興味深い。どの程度の量の血液遺伝子が変化しているのかはわからないが、簡単に遺伝子が変化するものであるということを再認識しました。


言語能力を司る遺伝子FOXP2

2009-11-15 22:41:51 | 遺伝

FOXP2という遺伝子は言語中枢の発達に関与する重要な遺伝子である。この遺伝子が突然変異を起こすと言語障害が発現する。人とチンパンジーのFOXP2で作られるたんぱく質はアミノ酸2個分しか違わないらしい。カリフォルニア大はこの違いによって、人とチンパンジーの言語能力に大きな差がもたらされていると発表した。人の培養細胞に、人のFOXP2とチンパンジーのFOXP2を働かせて見たところ、人のFOXP2はチンパンジーのFOXP2に比べて61個の遺伝子を活発化させ、55個の遺伝子を抑制することが分かったというのである。つまり、FOXP2は言語中枢を作るプロセスをコントロールしているわけである。このことから推測して、FOXP2はプロセスのプログラムとデータを持っているということは明白である。

蛇足かもしれないが遺伝子について私の考えを述べてみたい。人とチンパンジーのゲノムの違いは1.2%と言われている。この表現がチンパンジーと人が非常に近いものだという誤解を生んでいる。ソフトウエアを例にとって説明すると、同じ言語で書かれた2つのプログラムを比較すると、使われているコマンドは同じでも実現している機能はまったく違う。ソフトウエアの違いは実現している内容にある。人とチンパンジーも良く似た遺伝子を使っていても実現している機能や性能は違うのである。


アンチエージング、訪れるか美容革命

2009-11-08 15:59:11 | 遺伝

血管や肌など人体の組織の弾力性は弾性繊維というもので維持されているそうだ。弾性繊維が豊富に作られている間は人体の組織のしなやかさが維持される。この弾性繊維を作るために「ファイブリン4」というたんぱく質が必要であることを関西医大の中村智之教授、京都大医学研究科の堀口真仁准教授が発見した。「ファイブリン4」は弾性繊維を作る、別のたんぱく質同士の結合を促進する酵素をアシストする働きがあるらしい。さらに面白いことに遺伝子操作をして「ファイブリン4」を通常の8%しか作れないマウスを作ったことである。これは遺伝子を操作することで人体のミクロな損傷や劣化を極力遅らせる可能性を示している。このマウスを調べたところ動脈瘤を発生しており、動脈の伸縮性も悪かったということである。新しい医療技術、美容技術の分野が開かれそうである。


人工記憶

2009-10-23 18:24:57 | 遺伝

オックスフォード大学などの英米チームが人工記憶に成功した。内容はこうだ。ショウジョウバエにある匂いをかがせると同時に電気ショックを与えると12種類のニューロンに変化があることが分かった。そこでレーザをあてるとニューロンが活性化することを利用して、この12種類のニューロンに同様の変化を与えたところ、そのショウジョウバエは「匂い+電気ショック」の経験をさせていないにもかかわらず、他のショウジョウバエに「匂い+電気ショック」を与えていた時と同じ匂いを与えるとそれから回避する行動をとるようになった。つまり記憶を人工的に作り出したわけである。これは非常に大きな成果である。記憶がある種の記号であることを示唆しているからである。私は前に「おとしぶみ」のところで記憶が遺伝するという立場であると書いたが、この成果はそれをサポートする。


進化論を拒否するアメリカ人

2009-09-14 01:30:26 | 遺伝

今年はダーウィン生誕200年、「種の起源」出版から150年になります。そこでダーウィンが宗教と科学の間の矛盾をどう解決し、信念をどう守るかという姿を描いた映画「クリエーション」が作られました。ところがアメリカ人は神が人間を創造したというキリスト教の教義を信じている人が多く、ギャラップの調査によると進化論を信じているアメリカ人は39%にすぎなかったそうです。そういう世論のもとでは「クリエーション」を上映できないと判断され、米配給会社は配給を拒否しました。大半の日本人には理解できないでしょう。生物が進化してきたことは明白なことです。しかしただ一つの受精卵から人間ができるという途方もない事象を考えると、たんぱく質の塊と一つの細胞の間には大きな差異があるはずです。その差異が自然発生的に作られるには地球の歳は若すぎるように思うのですがいかがでしょうか?細胞の成長や進化のスピードを考えると、頭脳にあたるものが細胞の中に存在するはずです。その頭脳がどういう仕組みになっているのかを知り、その仕組みが自然発生的にできるものであるか(おそらくできるはずです)を知りたいものです。その仕組みができた時が生命の誕生と言えるのではないでしょうか?脳にあたるものができた後は、その脳が意図して環境に対応することで進化してきたのでしょう。そう考えて初めてこの急速な進化を説明することができます。


8500万年前のアリ

2009-09-04 22:49:09 | 遺伝

ジュラシックパークという映画では琥珀に閉じ込められた蚊が吸っていた恐竜の血液からDNAを取り出し恐竜を復活させていました。これは映画の話ですが現実の話として、琥珀中に8500万年前中生代・白亜紀後期のアリが閉じ込められているのが久慈琥珀博物館で発見されました。発見されたアリは2種類でそれぞれクンノコアリ(クンノコは久慈地方の方言で琥珀のこと)、クジアケボノアリと名づけられました。古代のものが蘇る話としては、2000年前の蓮の種が1971年発見されその種が実際に発芽し現在も繁殖しています。またシベリアの永久凍土に埋まっていたマンモスから実際にマンモスを復活させようというプロジェクトも存在します。琥珀に閉じ込められた8500万年前のアリに思いを馳せていると生命の神秘さに圧倒される思いです。


おとしぶみ

2009-08-24 21:30:37 | 遺伝

テレビで「おとしぶみ」のことを話していました。もともとは差出人がわかってはまずい時にわざと落としておく手紙を落とし文と言ったのですがここでは昆虫のことです。この昆虫には、卵を隠すためと、幼虫が大きくなるまでの食料とするために卵を葉っぱに巻いて落とすという習性があります。この葉っぱを巻いたものが落とし文に似ているので「おとしぶみ」の名が付いたのです。この巻き方もすごく凝っていて、葉っぱが開かないように一部を裏返しにしたり、差し込んだりします。10mm以下の小さい昆虫がこのような高度な知能を持っていること、そしてそれが代々受け継がれていくことに驚かされます。私は記憶も遺伝するという立場なので行動が受け継がれることに不思議はないのですが、記憶がどのようにして遺伝するのかについてアイデアがありませんでした。ところが「おとしぶみ」のすごい能力を見ていてよいアイデアが浮かんできました。つまり、コンピュータとプログラムとデータの関係と同じということです。プログラムとデータは記号を並べることで記述できます。この記号の並びを遺伝子に書き込めばよいのです。そして脳が作られていく時にこの記号の並びを、脳の決められた位置に書き移せばよいのです。それで記憶が遺伝します。

ブログの題材を探していると常にちょっとした緊張感が存在しますがその緊張感がアイデアを生んだような気がします。ブログの初の功績です。