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SuperDryな一徹の徒然草

自称・アサヒビール・スーパードライのアンバサダー 見たり、聴いたり、触ったり、歩いたり、走ったり。呑む他に暇なしの徒然草

雄弁

2012-12-26 08:42:16 | アサヒビール
戦前から戦後にかけてメガホンを取った映画監督の小津安二郎。人々の心が荒んだ戦後の混乱期にあって「長屋紳士録」「晩春」など、戦前と変わらず、一貫して庶民の美しい心を撮り続けた。時に懐古趣味との批評を浴びた監督は、“確かに今の世相が汚いのは現実”とした上で、「それと共につつましく、美しく、そ して潔らかに咲いている生命もあるんです、これだって現実だ」と主張。「泥中の蓮を描きたい」と、最後まで人間の美徳を描く姿勢を貫いた(『僕はトウフ屋 だからトウフしか作らない』日本図書センター) 泥と無縁の花々にも幽玄、華麗を味わうことはできる。だが監督は、強くたくましく生きる「泥中の蓮」に美しさを見いだしたのだろう。仏典の法華経では、末法の民衆救済を誓った地涌の菩薩を「世間の法に染まらざること蓮華の水に在るが如し」と喩える。蓮華は泥土から養分を吸収して成長する。泥土の中で美しい華を咲かせる。同じように、欲望や争いの渦巻く社会の中で、仏法の輝きを放ちながら人々の幸福に尽くす。この実践が、蓮華の華のような福徳となって、わが心に咲き薫るという。蓮の花言葉は「雄弁」。誠実に、真っすぐに正義を語り、友情の大輪を咲かせゆく師走としたい。

本日の読書:1/1,943冊目 ガバナンスの再設計 統治能力 イェヘッケル・ドロア著 ミネルヴァ書房
統治能力: ガバナンスの再設計 (MINERVA人文・社会科学叢書)統治能力: ガバナンスの再設計 (MINERVA人文・社会科学叢書)
価格:¥ 7,350(税込)
発売日:2012-07-30





歓喜

2012-12-21 08:47:27 | アサヒビール
師走に入ると全国に「第九」の歌声が響く。中でも市民参加の草分け的なイベントが、12月2日に大阪で開かれる「サントリー1万人の第九」。今年で30回の節を刻む。昨年に続き、東日本大震災の被災地・東北の宮城と映像で結んで行われるという。「宮城で〝1万人の第九〟に参加するんです」と、岩手・陸前高田のご婦人が教えてくれた。地元の市民合唱団で歌声を磨く彼女。今回、関西と東北を結んで〝歓喜の歌〟を歌うことに、人一倍の思いがある。昨年4月のある 朝、被災地の友の様子を伝える新聞の紙面に、兵庫県西宮市にある「広田地区」の友の目はくぎ付けになった。記事は、岩手に「広田地区」がある。阪神・淡路大震災を経験しただけに、強い縁を感じた。〝負けたらあかん〟との深い祈りを込め、激励の寄せ書きなどを送った。それから、両地区の心温まる交流が始まった。今も、全国、全世界の友からのエールが大切に並べられている。「苦悩を突き抜けて歓喜へ」・・・誓いを胸に、限りない応援を支えに、東北の挑戦は続く。

本日の読書:1/1,938冊目 64(ロクヨン) 横山秀夫著 文芸春秋
64(ロクヨン)64(ロクヨン)
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2012-10-26




鳴かず飛ばず

2012-12-19 08:47:34 | アサヒビール
私の営業成績が9月以降急落している。どん底にいると言ってもいいほどだ。自身の欠点を見直し、修正や改革を試みている。女優の森光子さんが初主演の舞台を踏んだのは41歳の時だったと、訃報に接して知った。大女優としては、あまりに遅咲き。鳴かず飛ばずの悔しい青年時代に負けなかったことが、人生の大輪を咲かせた原動力になったと思うと、「艱難汝を玉にす」と、あらためて教えられる。「あいつより うまいはずだが なぜ売れぬ」。森さんが下積み時代に詠んだ句という。不屈、自身の可能性を信じる強さこそ、森さんの人生を支えていた。「鳴かず飛ばず」は元来、“飛躍の時を じっと待つ”という意味である。中国の故事に由来する。3年間飛ばず鳴かずにいる鳥は、ひとたび飛ぶと天まで上がり、ひとたび鳴けば人を驚かすという。その“時”が来ることを信じ、人に倍するような努力を持続できるか。途中でやめてしまうか。勝負は紙一重だ。自身も心掛けている。福島県で1級建築士の友人。長引く不況でリストラに。職が見つからず苦しむが、この地で生きると決めた。何とか仕事が見つかったところに震災が起きた。同志を懸命に励ましながら、今は地元で第1号の災害公営住宅の建設へ、現場監督として汗を流す。何があっても諦めず、耐え忍び、前へ進み続けたい。人生を開く決定打は、常に自分自身の中にあると信じて。

本日の読書:1/1,936冊目 ヘラクレイトスの仲間たち 坂口ふみ著 ぶねうま舎
ヘラクレイトスの仲間たち (人でつむぐ思想史 1)ヘラクレイトスの仲間たち (人でつむぐ思想史 1)
価格:¥ 2,625(税込)
発売日:2012-09-26



役割

2012-12-17 08:36:30 | アサヒビール
友人に請われて彼の後輩を知り合いの会社に紹介した。最初は好青年の印象だったのだが、入社した途端、我流の仕事の仕方と意地っ張りの性格が災いして自ら職場を離れざるを得なくなった苦い経験がある。厚生労働省の調査によれば、2009年の新規学卒者の3年以内の離職率は中学卒でおよそ64%、高校卒で36%、大学卒で29%に上る。離職が一概に悪いとはいえないが、仕事を覚えるには一定の期間が必要なことも事実だろう。例えばプロ野球では、投手は先発、中継ぎ、抑えの分業制。試合の中で、それぞれの役割がある。対応力、忍耐力を問われるのは中継ぎだ。登板の場面は、勝ち試合、敗戦処理、接戦など、さまざまである。「調子が悪くても、疲れていても嫌とは言えず、投げられるところまで、投げてしまう」と、ある中継ぎ投手。別の投手は「一球で流れを呼び込むこともできるし、壊してしまう怖さもある」(『中継ぎ投手』澤宮優著、河出書房新社)場面を選べず、与えられた条件の中で苦心して打者を封じる。それを積み重ねて、ある者は一流の中継ぎへ、ある者は先発、抑えへと成長していく。仕事とは、そういうものかもしれない。アサヒビールの先輩は若き日の私に、「はじめから自分の希望通りの仕事ができる人は、多くありません」 「単調で地味に見える基本を、着実に身につけてこそ、将来、大きく飛翔するための力となる」と。今いる場所で、最善の力を注ぐ。そこから必ず見えてくるものがある。と教えられたことを思い出す。

本日の読書:1/1,934冊目 天平グレート・ジャーニー 上野誠著 講談社
天平グレート・ジャーニー─遣唐使・平群広成の数奇な冒険天平グレート・ジャーニー─遣唐使・平群広成の数奇な冒険
価格:¥ 2,625(税込)
発売日:2012-09-21




褒める

2012-12-14 08:42:45 | アサヒビール
毎日、娘は忙しく生活している。気持ちに余裕がないかもしれない。孫娘にキツイ言葉を浴びせて、たまにこちらが冷っとすることがある。人間は、褒められた方がより記憶でき、効果的に学習できることが科学的に証明された・・・との報道を読んだ。携わった生理学研究所(愛知県岡崎市)の定藤規弘教授は、「教育やリハビリの現場でも、褒めることが効果的な習得につながるのでは」と話している。教師として「実践記録」を綴ってきた友人の話。当初は、目につく子どもの欠点ばかりを書いたが、途中から「プラス志向の記録」を心掛けるように。一人一人の「よさ」に目を向け、褒めることで、互いを認め、尊敬 する“学級文化”が生まれたという。では、具体的に何を褒めるのがいいか。米国の心理学者、C・ドゥエック博士の実証研究によれば、「能力」を褒めるか、「努力」を褒めるかで、結果は異なる。何にでも挑戦し、失敗にもめげないのは、「努力」を褒められた子たちだという。才能は努力次第で伸びるという“増大的知能観”を得るからだ(『「やればできる!」の研究』草思社)「褒める」とは、人間の無限の可能性を信じること。そこから、困難に立ち向かう勇気が皆に生まれてくる。

本日の読書:1/1,931冊目 江分利満家の崩壊 山口正介著 新潮社
江分利満家の崩壊江分利満家の崩壊
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2012-10-22