goo blog サービス終了のお知らせ 

SuperDryな一徹の徒然草

自称・アサヒビール・スーパードライのアンバサダー 見たり、聴いたり、触ったり、歩いたり、走ったり。呑む他に暇なしの徒然草

松尾芭蕉に学ぶ

2010-05-21 17:57:00 | 読書
「格に入て格を出ざる時はせばく、格に入ざる時は邪路にはしる。格に入格を出て、初めて自在得べし(はじめてじざいうべし)」松尾芭蕉全集 岩波書店

松尾芭蕉が“俳諧の心得”として述べた言葉です。格は規格の格で、基本のこと。基本を繰り返して学び、身に付けることが肝要と言うことです。基本通りに出来るようになれば、そこからその人なりの個性や独創性が発揮されていきます。

プロ野球の王貞治を育てた荒川博氏は「人間というのは気の遠くなるような反復練習で、何かを会得することが出来る」と。基本に徹することは、土台を作ること。土台なしに家もビルも建たない。一見、平凡に見えることを持続していくと、やがて非凡に通じていく。地道な努力を積み重ねた人が、人生の勝利者になる。一日一日が、新しい自分を創造しゆく日々でありたい。日夜朝暮に又懈らず(おこたらず)磨くべし。

本日の読書:1/771冊目 角川歴彦著 クラウド時代と<クール革命> 新潮社


あ・うん

2010-04-12 17:44:00 | 読書
向田邦子の「あ・うん」を読書のおすすめで大先輩から紹介してもらった。早速、紀伊国屋に走って買い求めました。作者が冒頭に「女は具体的な動物。夫を愛し子供を愛する本能はすぐれていますが、友情という抽象的な精神は男にはかなわないでしょう。」と記述しています。そこはかない私のイメージを膨らませて考えても、甘く美しく見える友情・愛情はけっして甘くないのでしょう。小説ではなくシナリオ集です。実本の小説「あ・うん」では読み取れない男女の機微を読み解く面白さがあります。結婚・子育て・巣立ちと夫婦二人きりの生活が始まると格段に男女の違いが如実に現象します。打算とか妥協とかで夫婦関係は継続できるものではありません。男女の違いをお互いが認め合うことが出来るということが実に凄いことか。悩みや苦しみを喜んで・楽しんで過ごしていける熟年夫婦の生活が滲んでいます。ちなみに「あ・うん」は神社に左右に鎮座している一対の狛犬です。

本日の読書:1/737冊目 松浦元男著 世界で一番小さな歯車を作った会社 中経文庫


クライシス 医薬品編

2010-02-22 17:52:00 | 読書


ゼネリック医薬品はいわゆるパテント切れ。新薬開発費の膨張など、あちこち聞きかじっていましたが、こうやって具体例を示されると、ぞっとします。製薬会社は確かに巨大で、社員の待遇も良い(大企業は大抵どこもそう)。しかし、家電や自動車メーカーは、愛されるのに、製薬会社は嫌われる。

「なぜ、理解してもらえない」という悲哀が、あちこちに感じられました。実のところ私は仕事上、製薬会社との関係は意外に深いのです。悲哀は共感できます。私は、ジェネリックのCMが苦手です。公共イメージの高いタレントを起用し、ジェネリックを使うことが正義のように訴えるのが、どうも気分がしっくり来ない。仕事ではジェネリック啓蒙品を山のように作成しました。新薬を開発できるのは製薬会社だけ。その手足を縛って、最終的に不利益を被るのは誰なのか。

タミフルの「副作用」騒動も、なぜ冷静にリスクを測れない? 誰も、母数を言わない。「20人目の死亡者が出ました」という報道を見る度に、「母数を出せ!!」とテレビに向かって怒鳴っていましたが、この本に出てきた。4千万分の20 だそうです。(タミフルの服用者=4千万 タミフル服用後の異常行動による死者=20)まだ知りたい数字があります。タミフルが登場する前、インフルエンザになって高熱による異常行動で死亡した人の割合(統計があっても隠している?)。 そして、タミフルの服用の有無による死亡率の差。これらの数字が示されていたら、報道されるような論調になっていだろうか?

新型インフルエンザのワクチンが余っているというのも、なにかと批判的に報道されている。輸入ワクチンの安全性も云々されている。その前は、足りないことが問題になっていたはずなのに。余るほど確保したことを褒めてあげたい。そもそも、日本のワクチン製造能力を叩き潰したのは、世論と思っています。自ら潰しておいて、生産能力が無いと罵り、余ればまた批判する。腹立たしいことこの上ない。ボランティアで寄贈した寄付金をどういう風に上層団体が使ったのか?上層団体を敵視するボランティア団体にも似たような風潮が多くなってきています。朝青龍事件もバンクーバー五輪の国母選手もヒステリックな批判が頻出しています。

「2010年、もう新薬は生まれない。」この本の帯のコピー。技術的な問題。副作用への対応が過剰に重くのしかかっていることは否めない。薬を飲む前にお勧めしたい図書です。

本日の読書:1/668冊目 佐藤健太郎著 医薬品クライシス 78兆円市場の激震 新潮新書


張り込み姫

2010-02-01 17:30:00 | 読書
張り込み姫は垣根涼介の「君たちに明日はない」の3部作です。1/16から始まったドラマ(NHK総合 土曜 午後九時)を見ています。原作に忠実にドラマが展開されています。2部作の「借金取りの王子」も読み終え今3部作を読んでいます。

3部作になると実在の会社とダブります。旅行会社のリストラ請負では「日本ツーリスト」なる会社。たぶん近畿日本ツーリストと日本旅行を足して二で割ったような社名。文中では「ニッツリ」として登場します。大手旅行会社はガリバーなJTB・近畿日本ツーリスト・日本旅行・東急観光などがあります。いずれの会社も利益率は上場会社といっても利益率は低く、社員の給与体系も低レベルなようです。ここでは利益率より貢献利益高が優先されるシステムです。

かつて東急観光は、修学旅行取扱高は業界1位だったこともあります。旅行業界を取り巻く環境は少子化・地震などの天災・疫病・政情不安・経済不安で揺るぐ業界です。ストーリーの展開は皆様が読んでお楽しみということで・・・。

作品を読んでいてリストラ対象の社員よりむしろ会社の構造・システムに欠陥があるように思えてなりません。社員のエネルギーは会社の経営方針でよい方向に伸ばせば世界を切り開けるように思います。

先週のドラマで音楽業界のストーリーが展開されましたが、結局は会社に利益をもたらす社員を選択しました。永年、社長と苦労を共に、経営に支障のない営業路線を求めた社員がリストラ対象となりました。やり方が違っても二人の社員は社を思う熱いエネルギーで満ち溢れています。エネルギーに善悪はありません。使い手によることで善悪が生じるように思います。

本日の読書:1/647冊目 西 健一郎・平岩弓枝共著 京味の十二ヶ月 文芸春秋第二出版局


君たちに明日はない・請負仕分け人

2010-01-14 17:51:00 | 読書
事業仕分けは昨年、与党が並み居る官僚を集めてバサッバサッと切り分けたことで有名ですが、民間でも仕分けを生業としている業種が存在していることを知りました。

山本周五郎賞を受賞した垣根涼介著の「君たちに明日はない」と続編の「借金取りの王子」 新潮文庫 今月の16日土曜日から坂口憲二主演でNHKがドラマ化されます。総合夜9時スタート

この小説でリストラ請負会社に勤める主人公・村上真介の仕事はクビ切り面接官。自主退職勧告(リストラ)は人事部がやるべき仕事なのですが、怨恨を恐れてアウトソーシングする様々な企業に浮沈するサラリーマンの悲哀を感じる作品です。作品の中で合併を繰り返した銀行で主導権を他行にとられた銀行員や大手生命保険会社の待遇は出世という文字が削除されていました。

本日の読書:1/629冊目 中島清成著 無名記者の挽歌 中央公論新社