偽史倭人伝 ~ Carnea Historia

march madness の次が April Foolなんて小粋ぢゃないか。

それでも山Pが成功できる7つの理由 ~ 同郷の大先輩・早川雪洲に続け

2020年11月18日 06時27分33秒 | ◎ツッコミ思案neo

デイブ・スペクター氏は山Pの成功は難しいと言い切った。
 筆者がかつてアメリカ&英語かぶれだった浪人時代、スペクター氏のジョークに関する本を読んだことがあって、その中の「アメリカは人種や障害もジョークにして笑い飛ばすことができる懐の深い社会」というくだりに深く感銘を受けた記憶があった。
 だが、後に「JOAN RIVERS : PIECE OF WORK」という毒舌女芸人のドキュメンタリー映画を見て
「デイブ、ハナシがちがうやんけ」と思わず叫んだ。
 いやスペクター氏の立ち位置からは、たしかにそう見えただけで、決して嘘をついた意識はなかったのかもしれない。
 彼は日本の芸能マスコミにおいて貴重な存在ではあるが、「情報屋」というスタイルからそのコメントが客観的な事実のように受け取られがちだが、彼の姿勢はニュースを単に右から左へ運ぶ「情報屋」などではなく主観バリバリのカルチャーキュレーターと見たほうがいい。
 別に彼の存在自体が否定されるものではないが、問題なのは「競合他者」がいないこと。主観が100集まったところでそれが客観に変化することはないが、「反論」に晒され、なお耐えきった後ならその見解の信頼の強度は増すだろう。

…というか今回はそもそも聞く人を間違っているのではないか?デイブは子役の経験はあるらしいが演技のオーソリティとは言い難い。ここは何人ものの日本人俳優をハリウッドに送り出したキャスティングディレクターの奈良橋陽子さんに聞けばよかったのだ。
 なんか大統領選の情報源にアメリカではなくイギリスの、しかもタブロイド紙なんかを引用してたりする日本のマスコミって…


 さて今回の論議ではまずは「大前提」にまで立ち返る必要がある。それは何をもって成功とするのかということ。そして「需要予測」の再考だ。
 デイブは今の彼の語学力では日本人の役しかできないと悲観的に解説したが、日本人の役という需要がもし人手に困るほど多数あった場合でも、それは悲観的な状況といえるだろうか。

 もう10年以上前になるがNHKの「英語でしゃべらナイト」という番組で、漫才コンビ・パックンマックンの二人がハリウッド関係者に「映画に出してくれ」と売り込みに行くという企画があった。
 するとパックンはありふれた男前な白人ということでいらないとあっさり断られた一方で日本人のマックンに関しては「アジア人の需要が高まっている」ということで好感触連発。
「HEROES」におけるマシオカを見ればわかるように当時のキャスティングは日本語ネイティブが見たら大根、棒読みみたいな演技でもアメリカ人さえ騙せればいいという姿勢だった。事実、マシオカの同僚・安藤役は韓国系俳優だったので怪しげな日本語を話していた。それはハリウッドにおいて日本人俳優が不足していることの証左でもあるが、同時に日本人はアジア人の中でも群を抜いて英語が苦手だということの結果でもある。

相貌認知問題とイャオ
 俳優の石黒賢氏がアメリカの映画関係者から「アジア人の顔がスクリーンに映るのなんて誰も見たがらないよ」と屈辱的なことを言われたとたいそうご立腹だったが、これは単純な人種差別の問題ではないのではないかと思った。
 相貌認知、つまり個々人の顔の見分けがつくかという問題も見過ごせない。コアなアメフトファンの友人は外国人の顔の区別が苦手でユニフォームを着てないと(背番号がないと)誰が誰だかわからないっていた。
 多くのアメリカ人もかつては東洋人の顔の判別がつかなかったようだ。実際、日本の首相や外務大臣の写真が大手新聞で間違って掲載されることがたまにあった。
 それがここにきて潮目が変わってきたように見える。映画「クレイジー・リッチ」は主要キャラクターのほとんどがアジア人というキャスティングにもかかわらず北米だけでも2億ドル近い興行収入を稼いだ。
 韓国映画の「パラサイト」もアカデミー賞の外国語映画賞ではなく作品賞に輝いた。
 われらが中邑真輔のWWEプロレスにおける活躍についても忘れちゃならない。日本人ではじめてタッグ王者などいくつかのタイトルを獲得した。ハチミツ二郎がこの快挙を「ワイドナショー」で紹介したときに古市憲寿氏が「これって本気でやってるんですか?」とつっこんだ。ピンボケもいいとこだが、ここに重要なポイントがある。
 アメリカンプロレスがもし「真剣勝負」の世界だったら日本人王座に価値はない…とまではいわないが、それはいわばオリンピックメダルの延長のようなもので新奇性はまるでない。グレート・ムタの名でアメリカでも活躍した武藤敬司 をして「アメリカンプロレスはファンタジー、全肯定します」といわしめたスーパーエンタテインメントの世界で日本人が日本人キャラで王座に輝けたのはハリウッドの大作で主演を勝ち取ったようなものだ。WWEは最近まで黒人王者もいなかったのだから。つまり個人の努力だけではどうしようもなかった大きな壁が音をたてい崩れはじめたのだ。これはデカい。

 中邑真輔は日本人もアメリカで愛されるキャラを演じられることを証明してみせた。あの独特のクネクネキャラがハマったのは運もあるかもしれないが、同時に自己演出もまた重要だというヒントも示してくれた。


 需要の問題さらに掘り下げるなら、買い手の視点から考えてみると見えてくるものがある。つまり山Pは金になるかどうかという視点。あるいは山Pで稼ぐにはどうしたらいいかという課題。
 ジャニーズ・タレントは大国中国をはじめアジアの広域で人気なので客寄せパンダになるかもしれない。あるいはその集客力を最大限に利用するにはどうしたらいいだろうという考察。客寄せパンダとは失礼な?いやとりあえず出ちゃえばこっちのもんだってことよ。

文化の盗用への批判
 スーパーモデルのカーリー・クロスがヴォーグ誌の撮影で着物姿になり、それが"文化の盗用"と批判されたことがあった。


日本人にしてみればスーパーモデルが日本でロケをしてくれたなどとうっかり大喜びしてしまいそうだが、映画などでもマイノリティの役は同じマイノリティ属性の俳優が演じるべきだという風潮が高まっている。これは人種のみならず例えばトランスジェンダーの役はトランスジェンダーが演じるべきということらしい。非当事者の役者が当事者から見ても違和感のない演技ができたら役者冥利な気がしなくもないがこれらの後ろには「文化的な積み重ね」があるのでうかつなつっこみはできない。ただこの流れは日本人役需要が高まってる中では日本人には追い風ではあるかもしれない。

Netflixなどサブスク勢の台頭。
 映像コンテンツ配信におけるサブスクリプションというビジネスモデルは全体で儲けを出すというカタチをとっているので文化事業的なハイブロウな作品とかコアでマニアックなミニシアター系作品みたいな単体なら採算の難しいような作品でも作ることができる。
 今やスパークジョイでお馴染み、断捨離の女神・こんまりの成功もサブスクの柔軟性と配信力を生かした結果といえる。
 サブスク的な入口もさることながらベンチャー先進国のアメリカはそもそも新奇なものに対するハードルが日本より低い。

パイは全世界
 タカトシのネタ「欧米かっ!」に対して外国人タレントが
「おまえらそれ全部「米」で「欧」がないじゃないか」
と突っ込んでいたことがあった。
 実は日本人はヨーロッパとアメリカをごっちゃにしていて、しかもそのほとんどの知識は米国のものかもしれない。
 こっちが知らなくても向こうは意外と見てくれてたりもする。その昔、「新幹線大爆破」がフランスでヒットしたことがあったし、「おしん」は欧でも米でもないイランやキューバで人気だった。昨今のネット時代はアーカイブ力がモノを言い、多様なものが掘られている。たとえば日本の「シティポップ」が海外の音楽ファンの間で静かなブームだ。ひとつひとつのパイは小さいかもしれないがかき集めたらけっこうなものになるだろう。そこに配信メディアの「プッシュ力」が加われば可能性は計りしれない。それこそ今まで誰も考えなかったようなものがスパークするかもしれない。

 新日本プロレスの配信サービスのユーザーの4割は海外だったりするがこれに関しては実は昔から海外で日本のプロレスは放映されていたという歴史があり、あの元イタリア代表デルピエロも新日ファンだと明かしていた。ただこのことと中邑真輔の成功は広義で地続きではあっても隣地ではない。その詳しい説明は今回は省く。

続編とリメイクばかり。
 ダイバーシティを発揮するサブスク勢と対照的にリスクをさけているのか、劇場映画の世界は続編とリメイクの嵐だ。しかしこれはネガティブなことばかりともいえない。たとえばMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のようなシリーズものはマーチャンダイズを含め手堅く金になるということだ。

クールジャパン未踏の鉱脈
 トム・クルーズの「オール・ユー・ニード・イズ・キル」は興行的にはいまひとつだったが、日本のライトノベルが原作というのは画期的な出来事だった。
 日本の小説の翻訳は圧倒的に足りてないのだという。先述の「続編とリメイクばかり」は言い換えれば世界的に慢性的なネタ不足ということがいえる。
 つまり日本のストーリーテラーたちに勝機ありということだ。



 カモがネギを背負っやってくるんだったら、俳優が企画書携えてネットフリックスに売り込みをかけてもいい。
 めぼしい原作候補を見つけたとしても、まるまる翻訳するのは時間的にも費用的にも現実的でないので、とりあえずプレゼン用に「プロット化」すればいい。
 キャラ作りも忘れちゃいけない。中邑真輔のクネクネキャラはどこか「野ブタ。をプロデュース」の彰を彷彿とさせる。結局のところジョニーデップも人々の印象に残っているのは怪人キャラだったりするのだから山Pも超個性派で責めたらどうだろう。埋もれがちな正統派のハンサムキャラにこだわる必要もないし、クセのある役のほうが演じるほうもよりクリエイティブになれる…かも。というか客としては怪人山Pが見たい。非ネイティブを逆手にとって山Pアクセントを編み出して、一大ブームを狙おう。

 絵本は子供より前にまず親に気にいられないと売れないという仕組みがあるが、これは企画書、プレゼン、営業などのプロセスが重要なことにも通じる。実力本位のアスリートの世界でも代理人の占める役割は大きい。
 ここはパワポレスラーのスーパー・ササダンゴ・マシンに協力を仰ごう。
となぜかすべての話題がリングへと向いていく(笑)
 トランプのキャラ作りも何パーセントかはWWEが影響しているに違いないししタッキーもプロリスファンだったよな。
 ここはWWEを見て「キャラ立て」とマイクパフォーマンスの研究をしよう。
 
ガンバレ山P。
you're hired !

↑このワーズと下のしんぶんしの意味を知りたい方は↓こちらも読んでいただけると幸い。

 


ロック様は山Pと演劇学校の同門だ!



続き2本書きました

   



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