時のうてなに立ちて風を感ず。

To the happy few (Henri Beyle)

本気の警告

2024年06月07日 | 考察メモ

 
こんにちは、ラリー・ジョンソン(元CIA分析官)です。 セルゲイ・ラブロフ外相とセルゲイ・リャブコフ外務次官の最近の発言に注目して欲しい。二人とも真面目なプロの外交官だ。私はリャブコフ氏に会う機会に恵まれたが、実際に会ってみると、彼は物静かなプロフェッショナルだと言える。彼はとても控えめで、大げさなことやくだらない脅しはしない。 単なる歓談のために会うのであれば、彼はとても話しやすい人だ。だから、今日彼が次のように言ったのを聞いて私は仰天した。バイデン政権がアメリカの武器を使ってウクライナからロシアへの攻撃を許可する決定を下したことについて、彼はバイデン政権の動きは致命的な結果をもたらすかもしれないと言った。 彼はさらに、理由はわからないが、バイデン政権は自分達が受けるかもしれない反撃の深刻さを過小評価している、と付け加えた。また、ウクライナがロシアの戦略レーダーシステムを攻撃しようとしていることを懸念しているとコメントした。戦略レーダーシステムとは、ロシアがアメリカやヨーロッパからの潜在的な核攻撃を知らせるために頼りにしている早期警戒システムに関するものである。 リャブコフ外務次官のこの発言は、ワシントンでしっかりと聞く必要がある。しかし、これを言っているのはリャブコフ氏だけではない。セルゲイ・ラブロフ外相は、リャブコフ外務次官とまったく同じ警告を繰り返した。 米国がウクライナにF-16を配備すると決めた場合、ロシアは核兵器を搭載できる戦闘機を米国が配備したと想定しなければならない。仮にロシアがキューバに配備したら、米国はそれに気付き、最悪の事態を想定しなければならない。 さて、どうなるか? ロシアも同じような世界に住んでいる。 彼らは、米国がウクライナの攻撃、ストームシャドウ、そしておそらくはロシア国内を300マイルも飛行できるドイツのタウルスミサイルの使用を積極的に奨励し支援していることを見ているだけでなく、ロシア側も懸念せざるを得ず、米国が核弾頭を搭載した核弾頭を配備していないと確信できないと懸念を表明している。 大陸間弾道ミサイルを探知するための戦略レーダーに対する先週の無人機による攻撃を受けて、ロシアにとってこの懸念は特に深刻なものとなっている。これらのレーダーを攻撃する正当な理由は何もない。 ウクライナにおけるロシアとの陸上戦において、ウクライナの大義を推進するものではないからだ。このような攻撃を行う唯一の理由は、ロシアの早期警戒システムを破壊することである。したがって、この問題に関するロシアのレトリックは劇的に変化し、彼らは報復をためらわず、先制的な積極的措置を取ると警告している。 彼らは本気で、本気であるがゆえに、米国に警告を発している。だが問題は、バイデンのホワイトハウス、国務省、そしてCIAの中で意思決定をする立場にあるアメリカ人の多くが、単なる脅しとして片付けていることだ。 特別軍事作戦の開始以来、ロシアの軍事行動を監視してきた私の観察によれば、ロシアは無為な脅しはしない。 ロシアは、その目的、何をするつもりなのか、越えてはならないレッドラインとして何を考えているのか、非常に率直に表明する。 西側諸国は、ロシアがこれまで忍耐強く、例えばクレムリンを攻撃した無人機攻撃で報復しなかったのは、ロシアの弱さや恐怖の表れだと思い込んでいる。 そんなことはない。ロシアの忍耐強さの表れなのだ。だが、我々西側諸国は、ロシアの忍耐強さをロシアの愚かさと勘違いしている。これこそ、先日の警告を発したセルゲイ・リャブコフが念頭に置いていた致命的な誤りだと思う。 私は、全てのアメリカ人が、自分の議員や上院議員に連絡を取り、ロシアと戦争をしたくないと伝える義務があると思う。ロシアと核戦争をするリスクは冒したくない。我々はロシアと腰を据えて話し合う必要がある。キューバ・ミサイル危機の最中でさえ、ロシアとの核戦争に突入する寸前まで至ったのは、当時のソ連だった。 その危機の最中でさえ、ジョン・F・ケネディ大統領の弟であるロバート・F・ケネディはロシアと直接話をしていた。彼らは連絡を取り合っていた。その危機の際には、双方に多くの誤報と誤解があったことが判明した。 ジョン・F・ケネディ大統領でさえ、米国がロシアに届く核ミサイルをトルコに配備していることをこの出来事の前には知らなかった。ロシアがキューバにミサイルを配備したことを味わった時、我々は全く気に入らず、自分達がロシアや当時のソビエト連邦のこのような反応を実際に引き起こしたことに気付かずに怒った。 その危機は、冷静さが勝って平和的に終わった。私は今、ワシントンには冷静な頭脳がいないことをとてもとても心配している。 民主党側には、気弱で頭の悪いジョー・バイデンや、同じく気弱で無能なアントニー・ブリンケン国務長官、無能なジェイク・サリバンがいる。このような人たちは誰もが核の炎をもてあそび、アメリカ市民を危険にさらしていることを理解していない。同じように、共和党側からも声はほとんどない。 上院側のJ・D・ヴァンスとランド・ポールだけが、理性と常識を語り、緊張緩和のための協議と交渉の開始を促そうとしている。それどころか、バイデン政権は火に油を注いでいる。これは核の影響を伴う火遊びだ。 もっと明るいメッセージをお伝えしたいところだが、ロシア高官の発言に注意を払うことの緊急性を強調せずにはいられない。彼らは冗談を言っているのではない。口先だけの脅しでもない。彼らは本気で、我々は注意を払う必要がある。 Thank you for listening.


◆ここに来て米国とロシアの対立は、
新たなフェイズ、段階に踏み込んだ様に察える。
米ソ冷戦の時代には、何度か大きな危機があり、
何とかそれらを回避してきました。
今回のウクライナ紛争のエスカレートは、
米国とNATOの敗北か、それとも核戦争へと、
更に拡大してゆくのか。
或いは、ロシアも米国がして来た事と同じ様に、
アメリカと敵対している集団に武器弾薬を提供して、
米国を戦乱に巻き込むのか。
いずれにしても、明るい見通しは無い。
アメリカ(NATO)が敗北を認めて幕を引くのが、
一番無難だと思いますが、
11月の大統領選挙まではそれは無いでしょう。

それにしても、西側の政治やメディアの劣化が酷い。
西欧文明の凋落が表面化してきた。
日本の国内メディアの能天気さにも呆れ果ててしまう。