![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/50/6b9c2d4d5b3d3cf1297da43ecde9df7d.jpg)
一番仕事への集中力の高い月曜日の夜にわざわざフレックスまで取って行って来た試写会。この映画をみました。
明日への遺言(公式サイト)
監督は、黒澤明の弟子にて『博士の愛した数式』『雨上がる』『阿弥陀堂だより』で有名な小泉堯史氏。題材は第二次世界大戦でB級戦犯となり、軍事裁判を一人で戦い抜いた岡田資(たすく)中将を中心とした日本人の誇りに訴えてくる内容。映画を観る前から「良い映画」だとは確信しておりましたが、観終っての感想はやはり同じものでした。
一方で観る前には一つの不安(勝手な心配?)がありました。
「この映画、どうやってマーケするん?」
今の時代、残念ながら、どんなにいい物でも我々を含む上の世代だけが気に入っただけでは爆発的には売れないわけであり、それこそ映画配給会社が、若手女優を育てたり、ジャーニーズの演技派を引っ張ってきたりで、あの手この手で若者層の集客を試みているわけです。
そうした意味で、キャストからして、その手の試みを一切排除したこの映画を観る前には、「大丈夫かいな」という心配があったわけです。
が、観終わった後には、考えは変わりました。
時代に、若者に、媚びる必要は全く無い。
『博士の愛した数式』がそうであった通り、淡々とした映画でも内容が良ければそこそこ売れるわけで。この映画も、きっとそうなってくれるはずと思いました。
他人に「是非観て!」とお勧めする種類の映画ではありませんが、良かったら見てやって下さい。観ても損は無いと思います。
以下は、個別論。ネタバレありです。
~~~~~~~~~以下、ネタバレあり!~~~~~~~~~
1.裁判の機会
この映画の場面の殆どが裁判シーン。敗戦国においては、「弁明の機会」さえ与えられない印象もありますが、少なくともこの法廷においては、しっかりとしたやり取りがなされております。果たして日本にも、こういった姿勢があったのかどうか。敵ながら、アメリカという国の凄い所であえうと思いました。
2.キャスト選び
媚びていないという一番の部分がキャスト選び。ナレーターが何故か竹野内豊であり、蒼井優が微妙なチョイ役で出ていること以外は、実に渋い配役。主題化が森山良子な辺りまで徹底しまくり。監督の強い意向でしょうか。こっちが、「よく企画が通ったな」と心配するくらいな感じです。
3.コンプライアンス
映画を観ていて何故か思い浮かんだのが、コンプライアンスのこと。企業人の性か。
劇中、岡田さんは「先日の極限状態であったことを理解して欲しい」とよく言っております。この発言を聞いて、経営破たんした○ネボウの元社長が言っていた台詞を思い出してしまいました。その状況下では実態としては当たり前だったことが、法律の厳格な適用をすれば、コンプライアンス違反となる。この部分に関しては、岡田さんの主張には同意出来ずでした。
4.製作意図・背景
そもそもの話として、「よく、この映画製作許可が下りたよね?」というのは率直な実感。末尾のインタビューにある通り、小泉監督は10年以上も構想を暖めてきたみたいですし、機が熟したと言うことですかね。『硫黄島からの手紙』効果かな?
5.全米公開
どこかの」記事で読みましたが、勇気のあることに全米で公開するのだとか。どんな反応があるのか、実に興味深いですね。
6.藤田まこと復活
子供の頃から大好きだった『必殺!仕事人』。その主人公:中村主水役が藤田まこと。そして、テレビドラマでも『はぐれ刑事純情派』での安浦刑事役。この「昼行灯」と称された彼の役柄が大好きでした。
借金問題以降、最近はすっかりテレビで観ることも無かったですが、この映画で見事な演技を魅せてくれました。
7.戦争
改めて、戦争の無い世の中がいいな、と思いました。シンプルですが、平和の時代には気づかないその大切さの再認識が戦争映画の一番の収穫ですね。
【参考サイト】
藤田まことインタビュー(産経新聞)
小泉監督インタビュー(産経新聞)
人物探訪: 岡田資中将の「法戦」(JOG)
映画評論家 兼 弁護士坂和章平の映画日記
明日への遺言(公式サイト)
監督は、黒澤明の弟子にて『博士の愛した数式』『雨上がる』『阿弥陀堂だより』で有名な小泉堯史氏。題材は第二次世界大戦でB級戦犯となり、軍事裁判を一人で戦い抜いた岡田資(たすく)中将を中心とした日本人の誇りに訴えてくる内容。映画を観る前から「良い映画」だとは確信しておりましたが、観終っての感想はやはり同じものでした。
一方で観る前には一つの不安(勝手な心配?)がありました。
「この映画、どうやってマーケするん?」
今の時代、残念ながら、どんなにいい物でも我々を含む上の世代だけが気に入っただけでは爆発的には売れないわけであり、それこそ映画配給会社が、若手女優を育てたり、ジャーニーズの演技派を引っ張ってきたりで、あの手この手で若者層の集客を試みているわけです。
そうした意味で、キャストからして、その手の試みを一切排除したこの映画を観る前には、「大丈夫かいな」という心配があったわけです。
が、観終わった後には、考えは変わりました。
時代に、若者に、媚びる必要は全く無い。
『博士の愛した数式』がそうであった通り、淡々とした映画でも内容が良ければそこそこ売れるわけで。この映画も、きっとそうなってくれるはずと思いました。
他人に「是非観て!」とお勧めする種類の映画ではありませんが、良かったら見てやって下さい。観ても損は無いと思います。
以下は、個別論。ネタバレありです。
~~~~~~~~~以下、ネタバレあり!~~~~~~~~~
1.裁判の機会
この映画の場面の殆どが裁判シーン。敗戦国においては、「弁明の機会」さえ与えられない印象もありますが、少なくともこの法廷においては、しっかりとしたやり取りがなされております。果たして日本にも、こういった姿勢があったのかどうか。敵ながら、アメリカという国の凄い所であえうと思いました。
2.キャスト選び
媚びていないという一番の部分がキャスト選び。ナレーターが何故か竹野内豊であり、蒼井優が微妙なチョイ役で出ていること以外は、実に渋い配役。主題化が森山良子な辺りまで徹底しまくり。監督の強い意向でしょうか。こっちが、「よく企画が通ったな」と心配するくらいな感じです。
3.コンプライアンス
映画を観ていて何故か思い浮かんだのが、コンプライアンスのこと。企業人の性か。
劇中、岡田さんは「先日の極限状態であったことを理解して欲しい」とよく言っております。この発言を聞いて、経営破たんした○ネボウの元社長が言っていた台詞を思い出してしまいました。その状況下では実態としては当たり前だったことが、法律の厳格な適用をすれば、コンプライアンス違反となる。この部分に関しては、岡田さんの主張には同意出来ずでした。
4.製作意図・背景
そもそもの話として、「よく、この映画製作許可が下りたよね?」というのは率直な実感。末尾のインタビューにある通り、小泉監督は10年以上も構想を暖めてきたみたいですし、機が熟したと言うことですかね。『硫黄島からの手紙』効果かな?
5.全米公開
どこかの」記事で読みましたが、勇気のあることに全米で公開するのだとか。どんな反応があるのか、実に興味深いですね。
6.藤田まこと復活
子供の頃から大好きだった『必殺!仕事人』。その主人公:中村主水役が藤田まこと。そして、テレビドラマでも『はぐれ刑事純情派』での安浦刑事役。この「昼行灯」と称された彼の役柄が大好きでした。
借金問題以降、最近はすっかりテレビで観ることも無かったですが、この映画で見事な演技を魅せてくれました。
7.戦争
改めて、戦争の無い世の中がいいな、と思いました。シンプルですが、平和の時代には気づかないその大切さの再認識が戦争映画の一番の収穫ですね。
【参考サイト】
藤田まことインタビュー(産経新聞)
小泉監督インタビュー(産経新聞)
人物探訪: 岡田資中将の「法戦」(JOG)
映画評論家 兼 弁護士坂和章平の映画日記